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いくつかの新機能を追加した「GeForce 441.87 Driver」が登場。レイトレ対応版「Wolfenstein: Youngblood」への最適化も
Release 440世代のWHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版ドライバとなるGeForce 441.87 Driverは,米国ラスベガスで行われた大規模展示会「CES 2020」に合わせて公開となったため,NVIDIAは「CES 2020 Game Ready Driver」と称している。もちろん,CES 2020に関する機能があるわけではないが,イベントに合わせて発表となった新機能(関連記事)がいくつか盛り込まれているのが特徴だ。
新機能の概要を簡単にまとめておこう。
●Max Frame Rate
ゲームにおける最大フレームレート(Max Frame Rate)を設定できるようになった。AMDのRadeonシリーズにおいて,「Frame Rate Target Control」(FRTC)という名前で存在した機能(※現在は「Radeon Chill」に統合)に似たものだが,最大フレームレートの設定によって,いくつかの副次的効果もあるそうだ。
まずノートPCの場合,ゲームの最大フレームレートを低めに抑えることで,GPUクロックの上昇を抑えて消費電力を低減できるという。これはFRTCでも謳われていたので理解しやすいだろう。
また,フレームレートの変化が比較的少ないゲームでは,電源管理を最大パフォーマンスに設定したうえで,Max Frame Rateを平均フレームレートよりわずかに低い値に設定し,さらにLow Latency Modeを「Ultra」に設定することで,操作遅延が最小の状態になる効果があるそうだ。
●Variable Rate Super Sampling(VRSS)
VRの画質向上を実現する機能。とくにVRでは,視野中央付近の画質が目立つ一方で,視野周辺の画像は注視しにくいため,画質が多少粗くても違和感がないという特性がある。GeForce 441.87 Driverで加わったVRSSは,この特性を生かして,視野中央付近の画質をスーパーサンプリング技術で向上させることで,VRの画質向上を図る機能だ。
視野の中央付近だけスーパーサンプリングを行うので,画像全体をスーパーサンプリングするのに比べると処理負荷は軽いが,それでいて画質の大きな向上が得られるのがVRSSの効用というわけだ。
●NVIDIA FreeStyleにおける画面分割表示
GPUのポストエフェクトによって,ゲーム映像の見た目を変化させるNVIDIA FreeStyle(以下,FreeStyle)で,エフェクトの確認に役立つ画面分割表示(スプリットスクリーン)の機能が追加となった。さまざまなエフェクトをかけた結果を画面上で並べて確認できるので,FreeStyleを使って好みの映像を作りやすくなるとのことだ。
●Image SharpeningでGPUスケーリングの設定が可能に
GPUによるポストエフェクト処理で映像を先鋭化する「Image Sharpening」で,GPUを使った画像の拡大表示(GPUスケーリング)の有効,無効を設定できるようになった。GPUスケーリングを有効にすれば,Image Sharpeningで先鋭化したまま任意の解像度の設定ができる。一方,GPUスケーリングを無効にすると解像度が固定されるそうだ。
GPUスケーリングで拡大表示を行うとき,Image Sharpeningが有効のままだと不自然な映像になることがあるので,この設定が追加されたのだろう。
そのほかに,GeForce 441.87 Driverでは,FPSタイトル「Wolfenstein: Youngblood」に対する最適化が行われている。これは,Wolfenstein: Youngbloodのアップデートで追加となったレイトレーシング対応モードに対するもので,NVIDIAによると,レイトレーシングに加えて,ディープラーニングを使用した超解像技術「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)にも対応しているという。
また,G-SYNC Compatible Monitorsにディスプレイやテレビなど8機種が追加されるといった更新も行われている。
なお,理由は書かれていないのだが,GeForce 441.87 DriverのStandard版は,NVIDIA公式ダウンロードページから直接検索するのではなく,「ベータドライバ & 過去のドライバ」から検索するようになっている。公式声明がないので意図は不明だが,ドライバソフトウェアをStandard版からDHC版へと完全移行する準備かもしれない。Standard版をインストール済みの環境に,DCH版を上書きインストールすれば,GeForce Driverの設定はそのまま引き継いでDCH版に移行できるので,これを機に移行してしまうのもありだろう。
GeForce Experienceのドライバアップデート機能を使うと,Standard版をインストールした環境では,GeForce 441.87 DriverもStandard版で更新されることを確認済みである。そのため,Standard版が必要な人は,GeForce Experienceでドライバアップデートを行うのが一番確実かと思う。
→64bit版Windows 10用GeForce 441.87 Driver(529.25MB,DCH)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/156374/jp
→64bit版Windows 10用GeForce 441.87 Driver(575.33MB,Standard)
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/156320/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 10用GeForce 441.87 Driver
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/156392/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 10用GeForce 441.87 Driver
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/156356/jp
→GeForce RTX 20シリーズ向け64bit版Windows 7用GeForce 441.87 Driver(528.83MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/156302/jp
→GeForce GTXシリーズ向け64bit版Windows 8.x・7用GeForce 441.87 Driver(528.83MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/156284/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 8.x・7用GeForce 441.87 Driver(528.83MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/156338/jp
→4Gamerの最新ドライバリンクページ
https://www.4gamer.net/games/999/G999902/FC20110422001/
(リンク先はPDF)
●GeForce 441.87 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN X,Zシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITANシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜600シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GT 600シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ(※Windows 10のみ)
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 441.87 Driverが統合するソフトウェアモジュール(※比較対象はGeForce 441.66 Driver)
- GeForce Experience:3.20.2.34(←3.20.1.57)
- HD Audio Driver: 1.3.38.21
- PhysX System Software:9.19.0218
- Vulkan RT:記載なし
- nView:149.77
- CUDA:10.2
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.956.0
- NVIDIA Control Panel(Standard):8.1.940.0
●GeForce 441.87 Driverにおけるゲームへの最適化
- 「Wolfenstein: Youngblood」レイトレーシング対応版への最適化
●GeForce 441.87 Driverの新要素
- 「Maximum Frame Rate」「Variable Rate Super Sampling」機能を追加
- 「Image Sharpening」にGPUスケーリングの設定を追加
- 「FreeStyle」にスプリットスクリーンの機能を追加
- G-SYNC Compatible Displaysに7機種のディスプレイ製品を追加
- ゲーム設定に33タイトルを追加
●GeForce 441.87 Driverで解決した問題
- 「Red Dead Redemption 2」のVulkanモードで,Image Sharpeningの処理性能を向上した
- SLI構成で「Strange Brigade」をVulkanモードで実行すると,G-SYNCが機能しないことのあった問題
●GeForce 441.87 Driverにおける既知の不具合
・Windows 7で「World of Warcraft: Battle for Azeroth」をDirectX 11モードからDirectX 12モードに切り替えると,ゲームがクラッシュすることがある
- G-SYNCを有効化した状態で「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」をVulkanモードでプレイすると,フルスクリーンとウインドウモードの切り替え時に画面が点滅することがある。APIとしてVulkanを選択しないか,G-SYNCを無効にすればこの問題は解決できる
- GeForce GTX 600および700シリーズで「DOOM(2016)」がクラッシュすることがある
- Low Latency Modeを「Ultra」に設定してチート防止システム「BattlEye」を使用するタイトルを起動すると,バックグラウンドアプリが閉じてしまうことがある
- 2-Way SLI構成で「Wolfenstein: Youngblood」の描画性能が低下することがある
- SLI構成で「Red Dead Redemption 2」をVulkanモードで起動し,グラフィックス品質を「Ultra」に設定してベンチマークを実行するとクラッシュすることがある
NVIDIAによるGeForce 441.87 Driverのニュースリリース(英語)
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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