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AMD,「Radeon Software」の大規模アップデート「Adrenalin 2019」を発表。PCゲームをスマートフォンでリモートプレイ可能に
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印刷2018/12/13 23:00

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AMD,「Radeon Software」の大規模アップデート「Adrenalin 2019」を発表。PCゲームをスマートフォンでリモートプレイ可能に

画像集 No.002のサムネイル画像 / AMD,「Radeon Software」の大規模アップデート「Adrenalin 2019」を発表。PCゲームをスマートフォンでリモートプレイ可能に
 AMDはここ数年,同社製GPU向けドライバソフトウェア「Radeon Software」の大規模アップデートを毎年リリースしている。心待ちにしていたRadeonユーザーもいるだろう。2018年もその例にならって,新たな大規模アップデート「Radeon Software Adrenalin 2019 Edition」(以下,Adrenalin 2019)が発表となった。
 Adrenalin 2019は,大型アップデートにふさわしく多彩な新機能が盛り込まれている。その中でも,PC上で動作しているゲームをスマートフォンやタブレット上でプレイできるようにするリモートプレイ機能は,大きな目玉となるだろう。VRゲームのリモートプレイまで実現しているというから驚きだ。

AMD製GPU向けドライバソフトウェアのロードマップ。機能だけでなく名称も変わり続けてきたが,Adrenalin 2019では,名称の変更はない
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 本稿では,Adrenalin 2019における注目の新機能を中心に紹介しよう。


Adrenalin 2019では,15種類もの機能追加や改良を実施


 筆者の手元には,Adrenalin 2019のレビュワー向けプレリリース版となる「Radeon Software Adrenalin Edition 18.12.2」が届いている。以降は,このプレリリース版をもとに新機能を紹介していく。

試用したプレリリース版Adrenalin Edition 18.12.2のRadeon Settingでバージョン情報を確認したところ。「Driver Package」のバージョンは[18.50-181206a-336727E-RadeonSoftwareAdrenalin」となっている
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 Radeon Settingsの画面自体は,現行のRadeon Software Adrenalin Edition(以下,Adrenalin Edition)とさほど変わっておらず,タイトルバーの右側に新機能のアイコンが追加されていることくらいの違いしかない。

Adrenalin 2019のトップ画面。これまでのAdrenalin Editionとほぼ同じだが,後述する「Radeon Settings Advisor」のアイコンがタイトルバーの右側に追加されていた
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 Adrenalin 2019で追加,あるいは強化された機能をざっくりとまとめておこう。

  • スマートフォンやタブレットでPCゲームをリモートプレイ可能にする「Game Streaming」
  • PCのVRタイトルをスタンドアロン型VR HMDでリモートプレイ可能にする「Radeon ReLive VR」
  • AMD Linkに音声認識機能を追加
  • AMD Linkのユーザーインタフェースを改善
  • Radeon Overlayに,ディスプレイ設定などの新メニューを追加
  • Radeon Overlayに「Game Advisor」を追加
  • Radeon ReLiveに「シーンエディタ」を追加
  • Radeon ReLiveに「In-Game Replay」機能を追加
  • Radeon ReLiveでGIFアニメが作成可能に
  • 「WattMan」にワンクリックオーバークロックやファンコントロールの機能を追加
  • 推奨設定を通知する「Settings Advisor」を新規実装
  • 推奨ハードウェア構成を表示する「Upgrade Advisor」の新設
  • 「Enhanced Sync」や「FreeSync」がゲームタイトルごとに設定可能となった
  • 「Radeon Chill」の省電力機能を強化
  • 性能の改善

 いろいろと盛りだくさんで驚かされるが,本稿では重要なものを紹介していきたい。


PCゲームをスマートフォンでリモートプレイできる「Game Streaming」


 Adrenalin 2019の新機能で,最も注目に値する「Game Streaming」から見ていこう。
 忘れている人もいるだろうが,Radeon SoftwareはAdrenalin Editionで「AMD Link」というスマートフォン連携機能を導入していた(関連記事)。

Game Streamingのデモを披露するドライバソフトウェア担当のTerry Makedon
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 これまでのAMD Linkは,スマートフォン(タブレット含む)上で動作する同名のアプリを使って,Radeon ReLive(以下,ReLive)で録画した映像を視聴したり,実況配信のコントロールを行ったりできるものだった。とはいえ,AMD Linkと同じことは,PC上のRadeon Overlayやホットキー操作でもできるうえ,ゲームのプレイ中はキーボードから手を離さずに済むというのが実情で,ゲーマーが積極的に使う理由が乏しい面があった。このため使ったことがないというRadeonユーザーも少なくないだろう。
 そんなAMD Linkが,Adrenalin 2019でGame Streamingを実装することで,PCゲームのリモートプレイ用として大きく生まれ変わったわけだ。

韓国で行われたAdrenalin 2019の事前説明イベントでは,PC版「Assassin’s Creed Odyssey」をスマートフォン上でプレイするデモが披露された
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 なお,Game Streamingに対応するGPUは,「GCN世代の単体GPU」とのこと。単体GPUと明言されているということは,GCN世代であってもAPUの統合型GPUは対象外のようだ。
 一方,スマートフォン側は,iOS 10以降のiOS端末か,Android 5.0以降のAndroid端末が対象となっている。また,スマートフォンはGame Streamingを実行するPCと同じLANに接続している必要があるとのこと。携帯電話回線経由でのリモートプレイには対応していないそうだ。

Game Streamingの実行に必要なものを示したスライド。最大で4K解像度60fpsで,ハードウェア支援による低遅延のリモートプレイが可能とAMDは主張している
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 Game Streamingを使ってリモートプレイを行うには,PC側にAdrenalin 2019をインストールしておくだけでなく,スマートフォン側にもAdrenalin 2019対応の新しいAMD Linkアプリをインストールしておく必要がある。今回,AMDからレビュワー向けにβ版のAMD Linkアプリ(version 1.3.181206)が提供されたので,ここからはβ版をもとに説明していこう。

 AMD LinkアプリをPCと接続する方法は,これまでのAdrenalin Editionにおける設定と変わらない。詳しくは,Adrenalin Editionの紹介記事におけるAMD Linkの説明を参照してほしいが,ここでも簡単に説明しておこう。ちなみに,設定方法自体は,既存のAdrenalin Editionから変わっていないのだが,AMDによると,Adrenalin Editionよりも接続の安定性を改善したという。

 接続方法だが,PCのRadeon Settings上で「AMD Link」を開き,「AMD Linkサーバー」をオンにしてから,「デバイスの追加」をクリックすると,画面にQRコードが表示される。AMD Linkアプリ側でQRコードを読み込ませれば接続は完了だ。

Radeon Settingsで「AMD Link」を開き,「デバイスの追加」をクリック。QRコードが表示されるので,これをスマートフォンのAMD Linkアプリで読み取って接続完了という流れになる
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PC側では,ReLiveタブの「ゲームおよび VRストリーミング」ページにある「リモートプレイ」のスライダーを有効にするだけだ
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 Game Streamingは,Radeon Settings側ではReLiveの機能となっている。Radeon Settings側で「ReLive」タブを開き「ゲームおよび VRストリーミング」ページにある「リモートプレイ」を有効にすれば,Game StreamingのPC側の設定は完了する。実にシンプルだ。

 AMD Linkアプリで,画面下側にあるゲームパッド型のアイコンをタップすると「ゲーム エクスプローラー」が開く。そこには,Radeon Settings側の同名機能に登録されているインストール済みPCゲームのアイコンが並んでいた。

Adrenalin 2019対応のAMD Linkアプリ(左)。画面下に並ぶアイコンの中にゲームパッド型のアイコン(赤丸で囲んだもの)があるので,これをタップすると,PC側のインストール済みゲームを一覧表示するゲーム エクスプローラーが開く(右)
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 このゲーム エクスプローラーでゲームのアイコンをタップすると,PC側でゲームが起動して,ストリーミングによるリモートプレイが始まるというのが基本的な流れとなる。


ストリーミングのビットレートや画質の設定


 実際にリモートプレイを始める前に,映像のビットレートや画質といった設定しておきたい要素が多々あるので,まとめて紹介しよう。

 まず,AMD Linkアプリでスムーズなリモートプレイを行うためは,スマートフォンが十分な速度でLANに接続されている必要がある。AMDの資料によると,快適なゲーム体験にはIEEE 802.11acによる接続が望ましいとのこと。ビットレートや画質はユーザーが任意に設定できるので,画質や接続の安定性で問題がある場合は,これらを調整するといいだろう。

 ゲーム エクスプローラーの右上にある,3つの点が縦に並んだアイコン(以下,メニューアイコン)をタップすると,ビットレートや画質の設定を行うメニューが出てくる。このメニューには多数の設定項目があるのだが,そのうち映像と音声の品質に関わる要素は以下のとおりだ。

  • 映像の解像度:480p,720p,1080p,ネイティブ(ディスプレイ解像度)
  • フレームレート:30fps,60fps
  • ビットレート:1Mbps,5Mbps,10Mbps,20Mbps
  • オーディオビットレート:64kbps,128kbps

ゲーム エクスプローラーの設定メニュー。1画面に収まりきらないほど項目が多い
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 これら以外に画質に影響を与えそうな設定に,「フレームスキップ」という項目がある。詳しい説明はないのだが,どうやらストリームが間に合わない場合にフレームをドロップさせる設定のようで,デフォルトではオンになっていた。

 画質に関わる設定を行うときに役に立ちそうな機能もある。ゲーム エクスプローラーの設定メニュー最下段にある「ストリーミングをテスト」という機能がそれだ。これをタップすると,「ストリーミング テスト」という画面に切り替わり,通信帯域幅やフレームのドロップ率,表示遅延を示す「ディスプレイのレーテンシー」を計測して,結果を確認できるのだ。
 筆者のテスト環境では,推奨どおりスマートフォンをIEEE 802.11acで接続していたのだが,何が悪いのか帯域幅は3Mbps弱という結果に終わった。

ストリーミング テストの画面(左)。下にある「テストを開始」をタップすると,接続状況のテストを行える。筆者の環境におけるテスト結果は,帯域幅3Mbps弱という残念な結果に終わった(右)
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 余談気味だが,使用したβ版のAMD Linkアプリを筆者のテスト用スマートフォンで使うと,「テストを開始」のボタンとAndroidの[戻る]やホームボタンが重なって表示されてしまい,開始ボタンをタップするのが極めて難しいという問題が生じていた。正式版では修正されることに期待したい。

ストリーミング メトリックにチェックを入れてリモートプレイを起動すると,画面左上に遅延や通信帯域幅の情報が表示される
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 もう1つ,画質設定の調整に役立ちそうな機能がある。ゲーム エクスプローラーの設定メニューで「ストリーミング メトリック」にチェックを入れておくと,リモートプレイ中,画面左上に帯域幅やフレームドロップ率,遅延時間が表示されるのだ。これでゲーム中の帯域幅や遅延の状況をリアルタイムで確認できるので,設定を追い込むのに役立つだろう。


ゲームパッドの設定


 リモートプレイを行う前にぜひやっておくべきなのが,ゲームパッドの設定だ。Game Streamingでは,スマートフォンの画面上にオーバーレイ表示する仮想ゲームパッド機能があり,ゲームパッドのボタンを押したりスティックを傾けたりすることで,画面における任意の部分をタップしたりスライドしたりといった入力操作が可能となる。

仮想ゲームパッドを表示したところ。スマートフォンにつないだゲームパッドを操作すると,画面におけるボタンやスティックの部分をタップやスライドで操作したことになる
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スマートフォンの左右に合体するタイプのゲームパッドでプレイするデモ
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 AMD Linkアプリにおいては,この仮想ゲームパッドがデフォルトの入力デバイスとなっているので,この設定は欠かせない。ただ,PCゲームの大半は,画面上に仮想ゲームパッドを表示したままではプレイしにくい。そこでGame Streamingは,スマートフォン用ゲームパッド(以下,物理ゲームパッド)による操作にも対応している。AndroidやiOSで利用できるゲームパッドを持っている人なら,それを使ってプレイするのがお薦めだ。

 また,手頃なゲームパッドを持ちあわせていない場合でも,仮想ゲームパッドにおけるボタンやスティックのレイアウトはカスタマイズできるので,ゲームに合わせてレイアウトを調整し,プレイしやすくできる。こうしたゲームパッド関連の設定を行うのが,ゲーム エクスプローラーの画面を左右にスワイプすると出てくる「コントローラー」の設定だ。

「コントローラー」の設定画面
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 右の画像は,デフォルト設定の状態で,「コントローラー1」と「コントローラー2」という2つのゲームパッドが設定済みとなっていた。「コントローラー1」はデフォルトの仮想ゲームパッドで,「コントローラー2」は物理ゲームパッド用の設定だ。
 「コントローラー1」をタップすると,仮想ゲームパッドのレイアウトを編集する画面に切り替わった。この画面で,仮想ゲームパッドのボタンやD-Pad,アナログスティックの場所や透明度などをカスタマイズできる。

仮想ゲームパッドのレイアウト編集画面。右上にあるチェッカーボードのようなアイコンをタップすると,オーバーレイ表示の不透明度を設定するスライダーが現れる。不透明度を最小にすれば,オーバーレイ表示はうっすらと見える程度まで目立たなくできる。完全な透明にはできないようだ
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編集画面で不透明度アイコンの隣にあるX字型のアイコンをタップすると,ボタンの割当変更を行う画面に切り替わる。物理ゲームパッドを使う場合,ここで,たとえば実際のAボタンをオーバーレイ表示のBボタンに割り当てることが可能だ(左)。編集画面右上のメニューアイコンをタップすると,このダイアログが表示された(右)。「デフォルトに設定」をタップすると,現在編集中の設定がゲームパッドのデフォルトになる。設定の保存もここで行える
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「新しいコントローラー」のテンプレート選択画面
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 標準で用意されたレイアウトをカスタマイズするだけでなく,ユーザーが新たなレイアウトを追加することも可能だ。コントローラーの設定画面右上にある[+]アイコンをタップすると,「新しいコントローラー」の画面に切り替わるので,ここで独自のレイアウトを作り込んでいける。
 この機能も使いやすいように考えられており,「Standard Layout」をタップすると,デフォルトの「コントローラー1」と同じ配置を読み込んでくれるので,これをたたき台にして新しいレイアウトを作成可能だ。一方,「Blank Template」をタップすると,まっさらな状態からレイアウトを作成できるという仕組みだ。

「Blank Template」をタップすると,まっさらな仮想ゲームパッドのレイアウト編集画面に切り替わる。レイアウト画面上を長押しすると,新規に追加するボタンを選択するダイアログがポップアップした(左)。これを繰り返して,必要なボタンやスティック操作を追加していくことで,独自の仮想ゲームパッドを作成できる(右)
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 以上のように,仮想ゲームパッドや物理ゲームパッドのレイアウトをカスタマイズすることで,プレイするゲームタイトルや好みに合わせたレイアウトを作成できる。かなり細かなカスタマイズができるので,スマートフォンでも快適な操作が実現できそうだ。


Game Streamingでゲームをプレイ


 話をGame Streamingによるゲームプレイに戻そう。「ゲーム エクスプローラー」上でプレイしたいタイトルのアイコンをタップすると,PC側でゲームが起動して,リモートプレイできるようになる。

PC版Fortniteをスマートフォン上でリモートプレイしているところ。Fortniteは,プレリリース版のAdrenalin 2019でも,とくに問題なくプレイできるタイトルの1つだ
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 リモートプレイ中に,画面右上を下にスワイプすると,各種設定を行うメニューが出てくる。
 メニューの左にあるキーボードのアイコンをタップすると,スマートフォンのソフトウェアキーボードが表示された。これでチャットも行えるわけだ。

画面右上から引き出したメニュー(左)。左から「キーボード」「ディスプレイ」が2つ並び,次に「コントローラー」「設定」という並びだ。キーボードアイコンをタップすると,スマートフォンのソフトウェアキーボードが表示された(右)
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 キーボードの右隣にある2つのアイコンは,ディスプレイの切り替え用ボタンである。2画面以上のマルチディスプレイ環境でPCを利用しているときに表示されるもので,タップすると,ストリーミング元となるディスプレイを切り替えられるというものだった。

ゲームパッドレイアウトの切り替えメニュー
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 4つのボタンが並んだアイコンは,ゲームパッドの切り替え用だ。「コントローラーの設定」で作成したゲームパッドのレイアウト一覧から,ゲームで利用するものを選択できる。また,ゲームパッドの代わりに「トラックパッド」を選択すると,スマートフォンのタッチスクリーンをノートPCのトラックパッドのように使って,仮想マウス操作を行うことも可能だ。

 いちばん右側のメニューアイコンは,ストリーミングの設定メニューである。解像度やビットレートをここから切り替えられるほか,ストリーミングの停止や,[Windows]キーや[Windows]+[D]キー,[Alt]+[F4]キーといった特別なキー入力を送信するといった操作を行うときに使う。

ストリーミングの設定メニュー。「ストリーミングの停止」を選択すると,Game Streamingを停止してAMD Linkに戻る。「ストリーミング メトリック」や解像度は,ゲーム エクスプローラーにあった設定メニューと同じものだ
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 さて,以上がGame Streamingの概要であるが,ここまで見てきたようにかなり使える機能だ。ただ,プレリリース版では,まだ未完成な部分も多々ある。
 まず,筆者の作業用マシンには,「Fortnite」と「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG),そして「DOOM」の3タイトルがインストール済みなのだが,PUBGはβ版のAdrenalin 2019がチート対策機能と衝突してしまい,ゲームの起動さえできなかった。また,DOOMもなぜか起動に失敗してしまい,リモートプレイまで行かなかった。こちらの原因は不明だ。
 そういった具合で,限られた時間でプレイできたのは,いまのところFortniteのみだったりする。Adrenalin 2019もAMD Linkもまだβ版なので,プレイできるタイトルが少ないだけとは思うが,正式リリース後も,ゲームとの相性問題は発生しそうだ。

 とはいえ,かなり実用的に使えるリモートプレイが,無料かつ機能無制限で利用できるというのは画期的と言えよう。NVIDIAも似たような機能を提供してはいるものの,対象となるリモートプレイデバイスが同社製のSHIELDシリーズに限定されている。Adrenalin 2019のGame Streamingは,そのような制限とは無縁というのが素晴らしい。対象となるRadeonユーザーは,ぜひ試してみてほしい。


Windows 10のデスクトップもストリーミングできる


右上にあるメニューアイコンの隣に,Windowsマークのようなアイコンがあるので,これをタップするとデスクトップ画面をストリーミングできる
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 ところで,勘のいい読者なら気付いたかもしれないが,Game StreamingはWindowsデスクトップのストリーミングも可能だ。AMD Linkアプリのゲーム エクスプローラー画面で,タイトルの右側にあるWindowsマークのようなアイコンをタップすると,ゲームを起動することなくストリーミングが始まる。
 ストリーミング開始後に,先述したゲームパッドの選択メニューでトラックパッドを選択すれば,スマートフォンの画面をトラックパッド代わりにしたWindowsの操作が可能というわけだ。

 いかに今どきのスマートフォンは画面解像度が高いとはいえ,根本的に画面サイズの小さいスマートフォンで,Windowsデスクトップを操作するのは非実用的な印象である。あるいは,10インチ以上のタブレット端末であれば,案外実用的に使えるかもしれない。興味のある人は,試してみるといいだろう。

Windowsデスクトップのストリーミングを行っているところ。スマートフォンだとDPIの関係で操作はかなり辛い
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PC用VRタイトルをスタンドアロン型VR HMDでリモートプレイ


 Adrenalin 2019のReLiveにはもう1つ,実用的に使えるのであれば画期的と言っていい機能がある。それが,PC用VRタイトルのリモートプレイを可能にする「ReLive for VR」だ。
 この機能は,「Oculus Go」や「Vive Focus」といったスタンドアロン型VR HMDや,スマートフォン組み込み型VR HMDにPCのVRタイトル――具体的にはSteam VR対応タイトル――をストリーミング配信することで,完全ワイヤレスのVR環境を実現するという。

ReLive for VRはスタンドアロン型VR HMDに,ReLiveの機能でSteamVR対応タイトルの映像を送信し,ワイヤレス環境でのVRを可能にするという
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 対応するGPUは,Radeon VegaシリーズとRadeon RX 590/580/570。VR HMDは以下の4製品に対応するとのこと。ただ,レビュワー向けの資料によっては,Oculus GoとGear VR――つまりOculus StoreでVR HMD用アプリを配信しているVR HMD――の名前が削られているものがあるので,Adrenalin 2019のリリース時点で,この4種類すべてでReLive for VRが利用できるかどうかは分からない。

  • Vive Focus:HTC
  • Daydream View:Google
  • Oculus Go:Facebook
  • Gear VR:Samsung Electronics

 レビュワー向けの資料によると,VR HMDのワイヤレス接続はIEEE 802.11acが必須で,無線LANルーターもしくはアクセスポイントは,Gigabit EthernetでLANに接続するようにという指定もある。サポートする最大解像度は,片眼あたり1440×1440ドットとのことだ。

 ではその実力を検証と行きたいところだが,残念ながら,本稿執筆時点でReLive for VRに必要なVR HMD側のアプリがAMDから提供されていないため,実機によるテストはできなかった。
 ただ,Radeon Software側の設定はごく簡単で,PCにSteamVRのソフトウェアをインストールしたうえで,Radeon SettingのReLiveタブにある「ゲームおよび VRストリーミング」ページにある「SteamVR統合」をオンにするだけだ。

「SteamVR統合」をオンにするだけで,Radeon Software側の設定は完了。ビットレートは2,50,100Mbpsの3種類から選択できる。サードパーティ製コントローラー」はVR HMD付属のコントローラー以外を使えるようにする設定だそうだが,実機でテストできなかったので,何を使えてどうなるのかは不明だ
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 AMDは,GPUのハードウェアアクセラレーションによるストリーミングによって低遅延を実現し,スタンドアロン型VR HMDで充実したVR体験を得られると主張している。ReLive for VRの事前説明を担当したAMDのPete Vagiakos氏(Software Product Manager)によると,「さまざまなテクニックを駆使することで可能な限り遅延を低減している」とのことである。

 だがVRといえば,VR酔いをもたらす大きな要因として遅延の問題があり,それを低減するためにさまざまなテクニックが使われている世界だ。本質的に遅延から逃れることができないストリーミング技術で,充実したVR体験を実現できるとは,にわかに信じられないものがある。
 実態がどうであるかを紹介できないのは残念だが,AMDの言い分どおりに使えるであれば,Adrenalin 2019の革新的な特徴となるだろう。

※2018年12月19日追記
 AMDから「スタンドアロン型VR HMDを使ったリモートプレイについて,今回,Oculus VR製品への対応は見送りになった。ReLive for VRのワイヤレスストリーミングではSteamVRの利用が必須となるが,このことがOculus Storeの要件を満たせないためだ」との連絡がありました。本文は掲載当時のまま残しておきますが,サポート対象が変わったので注意してください。



ReLiveにおけるそれ以外の新機能


 Adrenalin 2019におけるReLiveには,ストリーミング関連以外の新機能もある。ざっくりとまとめておこう。


シーンエディタ


 ReLiveによるゲーム映像の配信機能では,Webカメラの映像や各種インジケータ,静止画などをゲーム映像にオーバーレイ表示する機能がある。Adrenalin 2019では,それらの配置を細かくカスタマイズできる「シーンエディタ」機能が加わった。
 シーンエディタでは,ゲーム映像にオーバーレイさせたい要素をユーザーが選択して,ドラッグ&ドロップで画面上に配置したり,大きさをカスタマイズしたりできる。従来も数値による座標で要素の位置をカスタマイズすることはできたのだが,マウス操作でレイアウト編集が可能になったのは改善と言えよう。

画面にオーバーレイ表示する要素を編集しているところ。Camera(Webカメラの映像),ブラウザ,チャット欄,静止画を配置できる
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In-Game Replay


 「In-Game Replay」(日本語ではゲーム内リプレイ)は,ゲーム中に自分のプレイを短時間の動画で保存,表示する機能だ。

「ゲーム内リプレイ保存ホットキー」にIn-Game Replayを開始するホットキーを設定する
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 設定は簡単で,ReLiveタブの「グローバル」ページで「ゲーム内リプレイ保存ホットキー」に録画を開始するホットキーを割り当て,「録画中」ページでリプレイさせたい時間やリプレイ表示の画面サイズ,位置を設定するだけだ。
 ゲーム中にホットキーを押すと,指定時間分の録画が行われて,録画が終了すると自動で映像を表示する。短時間の映像を保存して,すぐに確認するのに役立ちそうだ。

ReLiveタブの録画中ページにある「ゲーム内リプレイ」を有効にしたうえで,スライダーでリプレイの録画時間を5〜30秒の範囲で設定し,リプレイのオーバーレイ表示サイズをSmall,Medium,Largeのプリセット3種類か,ユーザーが任意のサイズを指定するCustomの計4種類から選ぶ。オーバーレイ表示の位置も設定可能だ
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Instant GIF


 ゲーム映像をアニメーションGIFとして保存できる「Instant GIF」機能も追加された。
 ReLiveタブのグローバルページにある「インスタントGIF保存ホットキー」で,GIF録画を開始するホットキーを登録し,ReLiveタブの「録画中」にある「インスタントGIF」をオンにすれば利用できる。録画時間は5〜30秒の範囲で指定でき,画質もHigh,Medium,Lowの3種類から選択できる仕組みだ。

Instant GIFを設定しているところ。最大30秒のGIFアニメーションを保存できる
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 AMDによると,欧米で人気のあるGIF動画共有サービス「Gfycat」にアップロードできる動画を簡単に作成できるという。Gfycatが日本ではあまり流行っていないので,ピンとこない面もある。ただ,ゲームの短い映像をBlogに掲載したり,Twitterで公開したりする手段としてアニメーションGIFは手軽なので,日本のRadeonユーザーでも活用できるだろう。


AMD Linkの新機能


 AMD Linkアプリは,Game Streaming以外にもいくつかの新機能や改良が加わった。


ユーザーインタフェースの改善


 これまでAMD Linkアプリは,起動するたびに接続設定をやり直さなければならなかったが,新バージョンでは,アプリ起動時に一度接続したことのあるPC名が表示されタップするだけで接続できるようになった。
 また,アプリの設定からも再接続ができるようになったほか,自動接続も可能になるなど接続周りは大きく改善されたと言えよう。

AMD Linkアプリの起動時に接続履歴を表示して,タップだけで再接続できるようになった(左)。自動的に再接続を行う「Automatic Reconnect」も加わった(右)
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英語と中国語の音声認識機能を搭載


ナビゲーションバーを長押しすると,このような音声入力の待受画面に切り替わる
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 AMD Linkアプリに備わるさまざまな機能を音声コマンドで操作できる音声認識機能が追加された。
 AMD Linkアプリのナビゲーションバー(※画面下に表示されているホームボタンなどが並ぶ領域)を長押しすると音声認識が起動して,パフォーマンスモニタの実行や録画操作,ストリーミングの操作など30種類のコマンドを音声で実行できるという。

 ただし,現状でサポートしている言語は,英語と中国語のみ。しかも,筆者のイマイチな発音だと,英語でもまったく反応してくれなかった。キーボードやゲームパッドから手を離すことなく録画や実況の開始,終了操作ができるのは便利そうだが,英語の発音が苦手な人には難しい面があるかもしれない。


Wattmanを制御可能に


 Radeon Softwareの電力制御機能「Wattman」をAMD Linkアプリから操作できるようになった。
 AMD Linkアプリの設定にある「Wattman Advanced Controls」をオンにすると,AMD LinkアプリからWattmanの各種設定を確認したり,変更したりできる。GPUのオーバークロック設定も可能なので,ゲームプレイ中に,スマートフォンからGPUの動作クロックを変えるなんて芸当ができるようになった。

AMD Linkアプリのパフォーマンスモニタに,Wattmanの設定が加わった(左)。GPUやメモリ,ファン,温度という4項目をタップすると,スマートフォンからWattmanの設定を調節できる。GPUの項目には動作クロックと電圧の設定があり,GPUの動作クロックをスライダーで変更可能だ
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Radeon Overlayの新機能


 Radeon Softwareの一部設定をゲーム画面上にオーバーレイ表示する機能「Radeon Overlay」にも,いくつかの新機能が加わった。
 Radeon Overlayにおける新機能でも目玉と言えるのが「Game Advisor」(ゲーム アドバイザー)だ。フレームレートや1フレームの描画に要した時間といった情報を計測して,ユーザーに提示する機能である。

Game Advisorを開いたところ。「監視を開始する」をクリックすると計測開始だ
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 ゲームをプレイ中に,Radeon Overlayから「ゲーム アドバイザー」を選んで,「監視を開始する」をクリックする。すると,約1分後に通知が現れるので,改めてRadeon Overlayからゲーム アドバイザーの項目を確認すると,1分間の平均フレームレートと,95パーセンタイルのフレーム表示時間,およびそれらの推移グラフが示された。
 95パーセンタイルのフレーム表示時間とは,1フレームを描画するのに要した時間を示したもので,たとえば30msだと,1分間に描画したフレームのうち95%が30ms以下で描画を終えたという意味になる。

 また,プレイ中のゲームに対してPCの性能が不足気味の場合は,「推奨」という項目に数字の入った赤いマークが現れるはずだ。ここで推奨を開くと,ゲームの画質設定をどう変えるべきかというアドバイスが得られる。説明は分かりやすい言葉で書かれているので,ゲームの快適さを向上させたいという人には,なかなか参考になるのではないだろうか。

Game Advisorが計測した結果表示画面(左)。推奨欄に「5」という数字が出ているので確認すると,ゲームのフレームレートを上げるためにどんな設定を変更すべきかのアドバイスが5つ表示されていた(右)
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 そのほかに,WattmanやFreeSync,Enhanced Syncの設定がRadeon Overlayから可能になるといった改良も加えられている。

Wattmanタブをクリックすると,GPUやグラフィックスメモリなどの電力設定をRadeon Overlay上で変更できる(左)。右の画像はGPUの動作クロックを変更している様子で,AMD Linkアプリと同じようにスライダーで調整できるようになっていた
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「ディスプレイ設定」では,PCにつながっているディスプレイごとに,Enhanced Syncのオン・オフや,色の調整が行える(左)。FreeSyncのオン・オフもできるそうだが,今回のテストではFreeSync対応ディスプレイを用意できなかったので,画面には出ていない。色の設定では,色温度や明るさ,コントラストなどをスライダーで調整できる(右)
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Radeon Settingsの各種アドバイザー機能で,快適なプレイの目安が分かりやすく


 Adrenalin 2019にはそのほかに,ゲームを快適にプレイするためのアドバイスを提示する「Upgrade Advisor」と「Radeon Settings Advisor」という機能が加わった。
 Upgrade Advisorは,インストール済みのゲームがPCで快適に動くかどうかを検証したうえで,CPUやGPUの性能が物足りない場合に「このCPUやGPUに変更すると快適になりますよ」というアドバイスを示すものだ。対象がCPUとGPUだけのうえ,当然ながら競合他社製品は出てこないので,どれだけ役立つかは微妙なところだが,PCをアップグレードするときに指標のひとつにはなるかもしれない。

Radeon Settingsのゲーム エクスプローラーを見ると,ゲームタイトルの横に星印や黄色いチェックマークがついていた。星印は,そのゲームを快適にプレイできるハードウェア要件を満たしていることを,チェックマークは物足りない要件があることを示す
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そこで「アップグレード アドバイザー」に切り替えると,PUBGの推奨要件を満たすには,GPUをRadeon RX Vegaに変えたほうがいいというアドバイスが示されている。ちなみに,「Project Cars」の推奨GPUは取得できなかったようで,円マークのままだった
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 一方のRadeon Settings Advisorは,Radeon Settingsでどの設定を有効にすべきかアドバイスするというものだ。Radeon Settingsの機能もたくさんあるので,すべてを把握して最適な設定を行うのはなかなか難しい。そんなときに役立つ機能と言えようか。

Radeon Settings Advisorの画面。筆者のテスト環境では,Radeon ChillやEnhanced Sync,VSR(Virtual Screen Resolution)を有効にしてみては,というアドバイスが出た
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 Adrenaline 2019におけるその他の細かな改善,改良を簡単にまとめておこう。

  • Wattmanで自動チューニングが可能になった。GPUやグラフィックスメモリのオーバークロックや消費電力低減をワンクリックで設定できる
  • Wattmanからグラフィックスカードのファン制御が可能になった
  • ゲームタイトルごとにEnhanced SyncやFreeSyncのオン・オフを設定できるようになった
  • Radeon Chillの省電力機能を改良。一部タイトルにおいて,従来より20%も消費電力を抑えるという

Wattmanにおけるグラフィックスカードのファン制御設定。手動設定に切り替えると,温度別におけるファン回転数を示すグラフをドラッグすることで,ファンの回転数をカスタマイズできるようになった
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Radeon Chillの改良を説明するスライド。FortniteやOverwatch,PUBGにおいて,Adrenalin 2019のRadeon Chillは,従来(※グレーのバー)よりも20%近く消費電力を低減できたとAMDは主張している
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 そのほかにもAMDは,とくにeスポーツタイトルにおける性能向上の取り組みである「Project Radeon eSports Experience」略して「Project ReSX」とを行っているそうである。eスポーツタイトルのフレームレートを向上させ,操作遅延を低減するという取り組みだそうで,「Dota 2」やFortnite,PUBGにおける性能向上を実現しているとのことだった。

Project ReSXの成果を示したグラフ。左から平均フレームレート,フレームタイム,操作遅延をとなっており,いずれも大きく改善したとAMDはアピールしている
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 以上,駆け足になったがAdrenalin 2019の主要な新機能についてまとめてみた。ストリーミングによるスマートフォンでのリモートプレイは,非常にインパクトが大きい機能なので,Radeonユーザーはぜひとも試してみていただきたい。

AMDのドライバソフトダウンロードページ(英語)

AMD公式Webサイト


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