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Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー
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印刷2017/05/15 12:00

業界動向

Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

 ゲームテクノロジーは日々進化し,それに合わせてゲームの作り方や遊び方も変わっていく。これは,技術がほぼ固まった映画や音楽など,ほかのエンターテイメント分野ではあまり見られない特徴だろう。今週は,近くベールを脱ぐMicrosoftの「Project Scorpio」に期待しつつ,まだゲームには使用されていない地球規模のレンダリングやデバイス不要のジェスチャー入力,そして感情表現のテクノロジーなど,期待できそうな新技術を紹介したい。


2017年後半最大のお楽しみは,やっぱり
「Project Scorpio」?


 E3 2017の開催まで,残すところ1か月ほどとなった。Nintendo Switchが発売されたことで盛り上がっている欧米ゲーム市場だが,それを含めて各プラットフォーム向けにどのような新作が登場するのか,6月の開催を楽しみにしている人も多いはずだ。
 さて,新しいハードウェアとしてE3で話題を集めそうなものといえば,やはりMicrosoftのXbox One新型機「Project Scorpio」だろう。まだコードネームでしかないが,この4月には海外情報サイトのDigital Foundryが独占スクープとしてYouTubeに映像を公開している

「Project Scorpio」のデモとして公開されている「Forza Motorsports 6: APEX」。60fpsで安定したプレイが実現できるのはさすがだが,それでもハードウェアの潜在能力の70%しか使われていないとのことなので,今後はさらにリアルなグラフィックスを誇るタイトルが登場するだろう
画像集 No.002のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

 「Project Scorpio」のスペックに関しては,すでに公式サイト4Gamerのニュース記事などでも紹介されており,Xbox事業の責任者を務めるフィル・スペンサー(Phil Spencer)氏が以前から明らかにしていたとおり,パワフルな4K解像度を実現する「エンターテイメント専用モンスターPC」として,リビングルームでも存在感を発揮しそうだ。
 対応タイトルについては,すでに紹介されている「Forza Motorsport 6: Apex」のほか,おそらくファーストパーティの人気シリーズを多数投入してくると思われるが,さらにサードパーティがどう絡んでくるのかは分からない。例年とは異なり,E3 2017開催2日前の日曜日(日本時間12日6:00)に予定されているメディアブリーフィングは,多くのファンや関係者に注目されるだろう。

 もっとも,4Kゲームそのものは,太陽光のまぶしさなどを表現できるHDR(ハイダイナミックレンジ)などビジュアル面では大きく進化するが,ゲームプレイそのものは変わらない。ゲームグラフィックスが2Dから3Dへ進化したときのような圧倒的な進歩は感じようもなく, 単なる“アイキャンディ”(「目を楽しませるもの」の意。「見かけはいいが中身がない」というニュアンスもある)であるとは言い過ぎだろうか。ともあれ,発表を楽しみにしたい。

 さて,ゲームの関連技術は日進月歩で進化しており,本連載の読者の中にはVRさえ普通に楽しんでいる人も多いはずだ。今週は,VRのさらに向こう側にあるゲームはどんなものになるのか,新しいゲームテクノロジーという観点から探ってみたい。


BISim 「VBS Blue」


 まずは,期待できそうな次世代の映像技術から。
 「ARMA」「DayZ」シリーズで知られるBohemia Interactive傘下で軍事訓練用ソリューションを専門に開発する部門,BISimが企業向けのシミュレーション技術「VBS Blue」のプロトタイプ映像を公開した。これは,現在オランダで開催されている軍事シミュレーション専門の国際カンファレンス,ITEC 2017に出展されたもので,全地球規模でリアルタイムの地形レンダリングを可能にするという技術だ。
 トレイラーを見てもらえばお分かりのように,まるで「Google Earth」を動かすかのように目標地点にズームインし,航空機や戦車などを使ったさまざまな軍事行動をシミュレートできる。すでにスウェーデン陸軍と提携して,歩兵戦闘車CV9040などがシミュレートできるとのことだ。

画像集 No.007のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

 またこの技術ではBISimだけでなく,いくつかのメーカーがプラグインプログラムを制作している。3D地形データのデータベースはTerraSim,航空機の物理シミュレーションはSimCentric Technologies,そしてVRサポートはCursive Simulationという具合だ。
 Bohemia Interactiveの関連技術である「VBS Blue」が今後,同社の新作に使用されるかどうかは分からないものの,世界規模で戦闘が行える画期的なミリタリーシューターの可能性を夢見ておきたい。

Bohemia Interactive「VBS Blue」紹介ページ



Microsoft 「Project Prague」


 Microsoftの研究部門であるMicrosoft Researchの「Project Prague」は,インテルのRealSense技術を搭載したカメラ「SR300」をベースにした最新システムで,手や指に特別なデバイスを装備することなく使用者のジェスチャーをソフトウェアに認識させるというシステムだ。
 SDK(ソフトウェア開発キット)がすでに公開されており,コンテンツクリエイターやUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーは,アプリケーションに合わせたジェスチャーのパターンを自由に組み込むことが可能になっている。

画像集 No.008のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

 タッチスクリーンでは画面の上で指を動かして操作するのに対し,「Project Prague」は空間の動きを認識するため,使用感はかなり異なりそうだ。公開されたトレイラーにもあるように,「掴む」「引っ張る」「手を放す」という動作をこなしてスリングショット(パチンコ)を打つのであれば,非常に分かりやすいが,別の画面を引き出したり,スクロールしたりするのはどうすればいいのか,という気もする。
 現時点では各メーカーが自由にジェスチャーパターンを設定してるようだが,似たようなコマンドを実行するのに,それぞれのアプリケーションで異なるジェスチャーになるようでは,普及は難しい。そういった部分は今後,規格化されていく必要も出てくるだろう。

Microsoft Research「Project Prague」公式サイト



MindMaze 「MASK」


 筆者の個人的な印象だが,今のVRゲームシーンで最もアツいテクノロジーが,プレイヤーの視線を追跡して入力やカメラの移動などが行える,「アイトラッキング技術」だ。その最先端を行くTobii Technologyのデモや,視線追跡システムを組み込んだ日本生まれのVRヘッドマウントディスプレイ「FOVE」については最近,筆者もトライする機会があったが,手や指を使わずに視線で操作できるのは非常に新鮮であり,しかもナチュラルに感じられた。

画像集 No.006のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

 しかし,Tobiiのデモ「Mirrors」を体験していたとき,アバターが筆者の動きに合わせて目玉をグルグルさせたりウインクしたりする様子に驚きつつも,どこか不自然に思えてきた。これは,アバターの顔の上半分が筆者の視線を追跡してリアルに動くものの,下半分はまったく動かず,いわゆる「不気味の谷」を感じてしまったからだろう。

 そのため,アイトラッキングに続く次の目標は,「フェイストラッキング」になると思われる。そうした研究はあちこちの企業や大学などですでに行われているが,中でも商品化されそうな雰囲気なのが,スイスに本拠を置く医療用VRのメーカー,MindMazeが開発した「MASK」だ。

画像集 No.005のサムネイル画像 / Access Accepted第536回:期待できそうな未来のゲームテクノロジー

「MASK」公式サイト


 この「MASK」は,ヘッドマウントディスプレイの顔を押し付ける部分のクッションにセンサーが入っているというもので,これによって目の周りの筋肉の動きを感知する。これを使って,プレイヤーの望むエモートをアバターにさせることなどが可能になるという。既存のVR/ARヘッドマウントディスプレイにも装着できるので,改めてヘッドマウントディスプレイを買い直す必要がない。
 デモなどが一般向けに披露されたことはないようだが,MindMazeは以前,脳波を察知するヘッドセットの開発にも乗り出していたことがあり,この分野でさまざまな挑戦を続けている。この「MASK」からフェイストラッキングの研究が加速し,その成果がゲームに応用されることを期待したい。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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