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Access Accepted第560回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2017年のタイトル10選
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印刷2017/12/25 12:00

業界動向

Access Accepted第560回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2017年のタイトル10選

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 2017年も残りわずか。本連載もこの記事をもって2017年最後の掲載となる。というわけで,恒例,筆者がプレイした海外ゲームタイトルの中から,今年を象徴すると思われる10作を紹介したい。とはいえ,最近の大量リリース時代にあって,すべての作品を実際にプレイするのは至難の業。このへんは大目に見ていただき,ラインナップの中から面白そうな作品を見つけて遊んでもらえれば幸いだ。


無数の新作から,どれを選んでプレイしよう


 本連載で何度か書いていることだが,2017年はSteamだけでも6000本を超える新作がリリースされる見込みだ。この数字の中には移植版やリマスター版なども多く含まれているはずだが,それにしても,最近の欧米ゲーム業界のパワーはすさまじいものだ。
 この陰には,ほんの一部のタイトルしかミリオンセラーにならないとか,バグが多いまま発売されてしまうなどといった,さまざまな問題も存在するのだが,ニッチなジャンルや個性的なテーマに果敢に挑戦する作品が次々に登場する状況は,1人のゲームファンとして大いに喜びたい。

 それにしても6000本超とは,ゲームライターが向き合うにしては現実的でない数字だ。例えば,1週間に1本新作をプレイしても,1年でせいぜい60本。ライターが100人協力することが必要になる。
 幸い,筆者はレビュアーではなく,多数の作品をやり込んで評価する必要もないのだが,人並み以上のゲーム好きは自認している。にもかかわらず,物語の結末を見なかったり,オンラインモードを数回遊んだだけで終わりにして,「ああ,いつかやり込んでみたい」と思いながらも積みゲーになっているという作品は非常に多い。
 仕事や勉強に追われているであろう読者の皆さんは,筆者に比べれば時間的な制約はさらにキツく,どのゲームに投資すべきか悩んでいるはずだ。

画像は「アサシンクリード オリジンズ」。以下のラインナップには入っていないが,ゲームシステムを練り直してシリーズを生まれ変わらせるべく,Ubisoft Montrealがこの作品にかけた姿勢は素晴らしい
画像集 No.002のサムネイル画像 / Access Accepted第560回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2017年のタイトル10選

 というわけで今週は,年末恒例である「海外ゲーム通ならプレイしておくべき」10タイトルを紹介したい。以下も恒例の注意点ではあるが,2017年は上記のような状況だけに,筆者はもちろんすべての海外タイトルを遊べたわけではないし,実をいうと,あの大作やこの名作に,意外にも手を出していなかったりもする。
 そのため,読者の中には自分の好きなタイトルがピックアップされていないことに不満を感じる人もいると思うが,ここに挙げた10作品は,ゲームジャーナリストとして2017年という年を象徴するゲームを選び出したつもりだ。異論のあってしかるべきだが,ぜひ何かの参考になることを願っている。


■PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
開発元:PUBG Corporation
発売元:Bluehole/DMM.com
公式URLhttp://pubg.dmm.com/


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 2017年で最も話題を独占したタイトルといえば,おそらく「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」だろう。2016年11月のイベントで実施された,Twitchの配信者を対象にしたマーケティングが功を奏したことは,本連載の第550回「『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』を作った『PlayerUnknown』とは誰なのか」で紹介したとおりだ。PCメインながら現在までに3000万ものアカウント数を誇り,Steamでは単位時間あたりのプレイヤー数のトップを独占し続けている。

 最後の1人になるまで戦うというシステムから,序盤は武器や装備を求めて走り回り,中盤はキャンプして後半に備えるという展開が多いという印象で,そのへんがちょっとつまらないという意見もあるようだ。しかし,それほどうまくないプレイヤーでも中盤までサバイバルできれば,「ひょっとして,最後まで残れるのではないか」と思えてくるわけで,プレイヤースキルの差が顕著に出やすいオンラインシューターでありながら,参加者全員が勝利への希望を持てる(それはしばしば錯覚なのだが)システムになっている。
 100人の頂点に立った達成感と興奮度は非常に高く,それを体験してしまうと,「もう一度味わいたい」とばかりに熱中してしまうのだ。


■ARK: Survival Evolved
開発元:Studio Wildcard
発売元:Studio Wildcard
公式URLhttps://www.spike-chunsoft.co.jp/ark/


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 「これって2017年の作品だっけ?」と筆者もつい考え込んでしまったのが,「ARK: Survival Evolved」。PC向けにアーリーアクセス版がリリースされたのは2015年6月のことで,その2年後の本年8月にようやく製品版がリリースされたというタイトルだ。
 アーリーアクセス版の発売直後に驚くほど話題になったのは筆者としては意外だったが,やはりCo-opによるサバイバルや拠点の構築,そして何よりオープンワールドに登場する恐竜や古代哺乳動物をペットにできるという点が,多くのゲーマーの琴線に触れたのだろう。

 「ARK: Survival Evolved」は非常に自由度が高いゲームであり,恐竜の住む島の浜辺で目を覚ました時点から,ミッションを与えられるわけでもなく,さらにチュートリアルもないまま,自分の知恵と運を頼りに,好きなようにゲームを遊んでいけるのだ。
 せっかくさまざまな物質を集めたのに,強力な恐竜であれ,ほかのプレイヤーであれ,キルされると多くのものを失ってしまうというハードさも特徴の1つであり,プレイを続けていくには根気とヤル気も重要になる。
 最近はSFファンタジーの要素が色濃く出ており,筆者の好みとはちょっと食い違ってきたが,正式ローンチ後も定期的にアップデートが繰り返され,ゲームは発展し続けている。「即興型のゲーム開発」(Emergent Development)とStudio Wildcardが呼ぶ手法で作られている本作。今後はサーバーなど,バックエンドの改善にも期待したい。


■フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと
開発元:Giant Sparrow
発売元:Sony Interactive Entertainment (PlayStation 4)/Annapurna Interactive (PC)
公式URLhttp://edithfinch.com/


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 欧米ゲーム業界では「ウォーキングシミュレータ」と呼ばれている新たなジャンルは,激しいアクションや複雑なパズルをやめ,会話や探索をメインに,ストーリー自体を楽しむスタイルの作品を指す。独立系のゲーム開発会社が盛んにそうした「ウォーキングシミュレータ」を量産していることは,本連載の読者ならよくご存じだろう。チャレンジに対する物足りなさが目立つ作品も少なくないが,そんな中で登場したのが,「The Unfinished Swan」など,良質のゲームを作ってきたGiant Sparrowの「フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと」だ。

 本作は,森の中に佇むフィンチ家の邸宅で,不可解な死を遂げた一族の過去を追体験するという内容で,アメリカ的な「ドッキリ」ではなく,日本人の感性にフィットしそうな「ゾワッ」という恐怖を描いたホラーになっている。面白いのは各チャプターで操作方法が異なっていることで,プレイヤーは常にぎこちなさを感じながらプレイを進めていくことになるのだ。こうしたシステムとストーリーがうまく一体化したことで,まるでゲームが語りかけてくるような感覚を味わえる。


■Divinity: Original Sins 2
開発元:Larian Studios
発売元:Larian Studios
公式URLhttp://divinityoriginalsin2.com/


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 ベルギーに本拠を置く古くからのデベロッパLarian Studiosは,どちらかといえば「知る人ぞ知る」というメーカーで,日本での知名度は限られるかもしれない。しかし,長い歴史を誇る「Divinity」シリーズを愛してやまないファンは多く,Kickstarterで「Divinity: Original Sins 2」のクラウドファンディングキャンペーンが始まるや否や,初日で目標額に到達。結果として目標の4倍を超える開発資金を手に入れた。
 筆者の知るLarian Studiosのスタッフは,何かのイベントで会うと必ずベルギーの地ビールを勧めてくる陽気な人達だが,クラウドファンディングの成功後は毎月YouTubeで開発者ダイアリーを公開して進捗状況を報告するなど,さまざまなアプローチによって,きめ細かくバッカーやゲーマー達とコンタクトしてきた。

 完成した「Divinity: Original Sin 2」は,クラシカルなアクションRPGとして非常に完成度の高いゲームに仕上がっており,第1章を終えるだけでも20時間はかかるという内容の濃いもの。筆者もバッカ―だったのでかなり早い段階からプレイしていたが,正直まだエンディングまで到達していないほどやり込み甲斐がある作品となっている。
 日本語版がリリースされていないのが残念だが,この分野では「巧の領域」に達したLarian Studiosの作品だけに,日本のプレイヤーにもぜひ遊んでほしい。


■マリオ+ラビッツ キングダムバトル
開発元:Ubisoft Entertainment
発売元:Nintendo
公式URLhttps://www.nintendo.co.jp/switch/ac2ga/


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 2017年のNintendo Switchを牽引したタイトルとしては,やはり「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「スプラトゥーン2」「スーパーマリオ オデッセイ」など,ファーストパーティタイトルが挙げられるだろう。そんな中,海外生まれのSwitch専用ゲームとして予想以上に楽しめたのが,Ubisoft Entertainmentの「マリオ+ラビッツ キングダムバトル」だった。
 ラビッツのお下劣ジョークがマリオの世界観にマッチしているとは言いづらいのだが,「ここまでサードパーティの創作を許すのか」と感心するほど,本作に対する任天堂のオープンな姿勢が際立った作品でもある。

 本作で注目したいのが,従来のマリオものにはなかったターン制のタクティカルコンバットだ。海外ゲームのファンなら,「XCOM」シリーズなどでなじみ深いシステムだが,多くの層にアピールするために簡略化されたように見えつつも,実はより楽しくプレイできるようにシステムが煮詰めらているという印象だ。相手の裏に回れるような抜け道がマップに用意されていたり,仲間のキャラクターに手伝ってもらう形でジャンプできたりなど,ストラテジックなプレイが可能になっている。
 日本でのリリースは2018年の1月が予定されているが,Switchのユーザーならぜひ試してほしい。


■コール オブ デューティ ワールドウォーII
開発元:Sledgehammer Studios
発売元:Activision
公式URLhttps://www.callofduty.com/ja/hub


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 2017年は,欧米大手パブリッシャの看板タイトルに良作が多かった。「アサシンクリード オリジンズ」「シャドウ・オブ・ウォー」「STAR WARS バトルフロント II」「Wolfenstein II: The New Colossus」,そして「Destiny 2」と,各社の誇るシリーズの最新作は押しなべて素晴らしい作品に仕上がっていたのだ。
 実際のところ上記のタイトルならどの作品でも良かったのだが,ここではやはり,「コール オブ デューティ ワールドウォーII」をピックアップしたい。全プラットフォームの累計販売本数で,2017年にリリースされたすべてのゲームの頂点に立ったことは,CoDシリーズの人気を考えると驚くことではないかもしれないが,ミリタリーFPSの王道ともいえる作品に仕上がった点を高く評価したい。

 CoDシリーズに対して,「もう未来の戦争は飽きた」という声が聞こえだしたのは,いつ頃だったろうか。人気シリーズの場合,必ずといっていいほどアンチが存在するものだが,宇宙空間にまで飛び出してしまった前作「コール オブ デューティ インフィニットウォーフェア」は,根強いシリーズファンでもさすがに批判していたように記憶している。本数的には十分すぎるほどヒットしており,未来の戦いであることに開発者が自信を見せていたことなどもあり,今後もこの路線が続くのかと思っていたが,意外にもファンの声を聞き,いきなり軌道修正してきたのだからすごい。
 シリーズ第1弾以来,改良を重ねて使用してきた古いゲームエンジンをついに取りやめ,新たなエンジンを1から作り上げたのも特筆すべき部分だ。


■Horizon Zero Dawn
開発元:Guerilla Games
発売元:Sony Interactive Entertainment
公式URLhttp://www.jp.playstation.com/scej/title/horizonzerodawn/


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 「Horizon Zero Dawn」はマップの広大さを誇るオープンワールドのアクションRPGで,人類文明が退化して原始時代に戻ってしまった地上をロボットの恐竜達が我が物顔で歩き回るという独創的な世界観が,多くのゲーマーを魅了した。

 「Horizon Zero Dawn」を制作したGuerilla Gamesの開発者達は,「ゲーマーが何を見たがっているか」がよく分かっているようで,摩天楼のようにそびえるブラキオサウルスや,無数の草食恐竜が草原をのし歩くのを目の当たりにしたときの迫力と感動は大きい。
 攻略可能な二十数体のロボット達は,「ワンダと巨像」のゲームシステムを思わせるし,コスプレイヤーに受けそうな主人公アーロイの衣装デザインなど,ゲームの要素を子細に見れば,必ずしもすべて斬新とは言えないのだが,それらを巧みに組み合わせて本作を作ったGuerilla Gamesには,「ゲーム開発の職人」という雰囲気が感じられる。


■Cuphead
開発元:StudioMDHR
発売元:Microsoft (Xbox One)/StudioMDHR (PC)
公式URLhttps://www.xbox.com/en-US/games/cuphead


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 「2017年のMicrosoftは,何をしていたのか?」「Xboxはどこへ向かっているのだろう?」。……そんな疑問が何度か筆者の頭をよぎった2017年のXbox One陣営。今年を振り返ってみると,4K解像度に対応した「Xbox One X」が現在,好調であること以外,ビッグニュースがあまり見当たらない印象だ。
 確かに,「Forza Motorsport 7」「Halo Wars 2」がリリースされたし,Xbox Oneで「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」の独占販売権(期間限定だが)を獲得してはいるが,Xbox One専用タイトルになるはずだった「Scalebound」がキャンセルになったというニュースが年初に流れたことに始まり,「Crackdown 3」「Sea of Thieves」といったタイトルも遅延しており,マルチプラットフォームタイトルも,セールス本数やDLCの先行配信などでライバルに水を開けられている。

 そんな状況のXbox Oneのエクスクルーシブタイトルの中で筆者がオススメしたいのが,StudioMHDRのアクションゲーム「Cuphead」だ。ミッキーマウスやポパイといった昔のアニメーションを思わせるビジュアルが特徴となるゲームだが,これをゲーム業界とは関係のなかったアニメーターの兄弟が,一コマ一コマ手描きで作り上げたというから驚く。カジュアルな雰囲気なのに難度が高く,ついついやり込んでしまうゲーム性も持っている。


■Everything
開発元:David OReilly
発売元:Double Fine Presents
公式URLhttp://www.everything-game.com/


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 果たして「Everything」をゲームと呼んで良いのかどうかは,意見の分かれるところだろう。ポイントを稼ぐわけでも,何かのチャレンジを与えられるわけでもなく,大宇宙の中にある惑星に落ちた光となって,そこから近辺にいる動物や植物,岩,自動車,さらには原子や銀河,そして宇宙を超えた何らかの存在,という異なるスケールのモノに入り込んで,ゴロゴロ,ふわふわと進んでいくだけという,インタラクティブアートとでもいうべき作品だ。

 本作を開発したのが,「山を眺めるだけのゲーム」として知られる「Mountain」デイビッド・オライリー(David OReilly)氏だと聞いて,ああ,なるほどなと思う人もいるはず。オートプレイ機能を使って,見ているだけでもいいゲームなのは「Mountain」も本作も変わりはない。
 オライリー氏の作品には目的というものがないが,見つけたオブジェクトはライブラリーに登録されるので,いろいろなオブジェクトと会話してリストアップしていく楽しさはあるかも知れない。とはいえ,数時間ボーっとプレイし続けて筆者が気づいたのは,「微生物であろうがゾウや草花であろうが,あるいは高層ビルやトイレットペーパーのような無生物であろうが,すべては等しく意味がない」といった,存在に対するある種のニヒリズムだ。
 そのためか,「Everything」をプレイしていると,この作品はゲームなのか,ゲームだとして良いゲームなのか悪いゲームなのかなどといった難しい思考からも開放されてしまうのだ。


■Hellblade: Senua's Sacrifice
開発元:Ninja Theory
発売元:Ninja Theory
公式URLhttp://www.hellblade.com/


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 「Heavenly Sword」「DmC Devil May Cry」など,日本でもよく知られた作品を開発しているNinja Theoryが,独立系デベロッパでもここまでできる,という意気込みで開発したのが「Hellblade: Senua's Sacrifice」だ。「肉体の損傷による痛みは表現しやすいが,精神的な問題から来る心の痛みをゲーム化するのは難しい」というのが本作のテーマで,戦争によって精神に異常をきたしたケルト女戦士セヌアが,それを克服するまでの旅を描く,とても大人向けのゲームだ。

 地獄の女神ヘラから戦士した恋人の魂を奪って昇天させるため,ヴァイキングの地までやってきた彼女だが,恋人の死が彼女を追い詰めていたのか,はたまたヴァイキングの地で目の当たりにした惨劇におののいているのか,ファンタジーの衣装をまといつつ,心を病んだキャラクターを疑似体験するという挑戦的な作品となっている。プレイするほうも混乱するが,セヌア同様,前へ前へ進んでいくしかないのだ。

 オープニングでは,セヌアの独白と内面の声,そして異様な叫びや振動音が混ざり合い,それらが「スペーシャス・オーディオテクノロジー」と呼ばれる技術でさまざまな方向から聞こえてくるので,ヘッドフォンでのプレイをオススメしたい。開発にあたってNinja Theoryは,誤解を生まないように医者や専門家と契約して,入念に企画を立てたという。演劇未経験のNinja Theoryの映像エディター,メリナ・ユーゲンス(Melina Juergens)氏が体当たりの演技で主人公に挑戦しているのも面白いところだろう。大作タイトルに肩を並べるほどリッチなグラフィックスやテクノロジーが使われており,独立系メーカーの心意気を感じる作品に仕上がっている。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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