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Access Accepted第598回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2018年のタイトル10選
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印刷2018/12/17 12:00

業界動向

Access Accepted第598回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2018年のタイトル10選

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 月曜日の連載とは不遇なもので,祝日や振り替え休日と頻繁にバッティングしてしまう。2018年は12月24日が祝日,31日は大みそかということで,少し早いが本連載も2018年最後の掲載となった。1年のしめくくりにお届けするのは,恒例の「プレイしておくべき海外ゲーム10選」だ。筆者の独断と偏見で欧米ゲーム市場の動きや今後のトレンドを象徴する作品をピックアップしたので,もしまだ遊んでいないタイトルがあれば,ぜひ年末年始にプレイしてほしい。


こちらも「災」の文字が目立った欧米ゲーム業界


 今のところ詳細が発表されていないので,昨年のデータになってしまうのだが,2017年にSteamでリリースされたタイトルは7696本で,これはSteamに登録された全タイトルの39%に相当する。つまり,14年間続いてきたSteamのタイトルの3分の1以上が,わずか1年でリリースされているわけだ。
 その一方で,売上の約50%は,全タイトルのわずか0.5%,380作品ほどの人気作や注目作に集中しており,2017年にリリースされたインディーズタイトルに限定して見れば,平均販売数は1500本程度という,かなり悲惨な状況にあった(関連記事)。筆者の印象としては,このトレンドは2018年もあまり変わってはいない

「Epic Games Store」のサービスにより,低価格化競争のチキンレースになりかけていた業界の転換を図るEpic Games。PlayStation 4を含めたクロスプラットフォームへの対応が簡単にできる機能も2019年以降に実装する予定で,欧米ゲーム業界のトレンドセッターになるかもしれない
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 そうした過当競争に晒されるインディーズ作品の受け皿になりそうなのが,最近サービスが開始された「Epic Games Store」だろう。開発者にとって魅力的な利益配分のビジネスモデルになっており,今後,市場での影響を増していきそうだ。
 Steamにとってさらに都合の悪いことに,多くのヒット作を抱えるゲームメーカー,例えば「コール オブ デューティ ブラックオプス 4」のActivision Blizzardや,「Fallout 76」のBethesda Softworksなどが,Steamから自社の配信サービスに切り替えている。これについては,いずれ詳しく紹介したいのだが,分散によって日常的にSteamを使用するアクティブユーザーの減少が懸念されるということだ。2018年は,巨大プラットフォームSteamに陰りが見えた年,と記憶されることになるかもしれない。

 2018年は,大手パブリッシャが満を持して発売した看板タイトルの多くが,苦戦を強いられた年でもあった。本連載では,もう「最近のテーマ」と呼べるほど取り上げているが,不完全な状態で作品をリリースしたり,マイクロトランザクションなどのビジネスモデルが敬遠されたり,関係者の失言が批判されたり,プロモーションに失敗したりと,自分で自分の首を絞めているような状況も多い。
 2018年を表す漢字は「災」だそうだが,もしこれを欧米ゲーム業界関係者が聞いたら,我々もそうだと思うことだろう。

 そんな中でも,やはり注目すべき作品も数多く存在しており,年末恒例の記事となるが,ここで「海外ゲーム通ならプレイしておくべき2018年のタイトル」を10作品,紹介したい。基本的に単なる販売実績やメディアの評価だけでなく,ゲームの表現などに新しい何かをもたらしたり,ゲーム産業を良い方向に動かしたりした作品を選んでいるつもりだ。すべて筆者が実際にプレイしたうえで独断で選出したものであり,見逃した作品や,評価できるほど遊べていない作品がほかにもあることはご了承願いたい。この年末年始,何を遊ぼうか迷っている人の参考になれば幸いだ。


Fortnite

開発元:Epic Games
発売元:Epic Games
公式URLhttps://www.epicgames.com/fortnite/


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 いきなり2017年に発売されたタイトルからだが,日本では2018年3月に正式リリースされてたちまちブレイク。ゲーマーの話題を独占しているので異論はないように思う。
 リリース当初はCo-opがメインで,Epic Games自身が「Minecraft」「Left 4 Dead」を合わせたようなゲームだとしていたので,人気ジャンルの後追いという印象が強く,バトルロイヤルモードが実装されたときも,コピー感を禁じ得なかった。

 しかし,マップの広さが適当で間延びせずに密度の濃いバトルロイヤルが楽しめるうえ,三人称視点の親しみやすいグラフィックスや,ゲームエンジンを開発するメーカーらしい安定したサービスの提供によって,すぐに高い評価を得ることになった。2018年2月には,バトルロイヤルゲームの本家とも言える「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」を常時接続者数で抜き,さらに3月には,月間売り上げでもPUBGを超えた。5月に入ると,世界中で配信されたゲーム実況の3分の1が「Fortnite」で占められる,といった感じで,衰えることのなく高い人気を維持している。

 6月に開幕したFIFAワールドカップでは,フランス代表のグリーズマン選手が,「Fortnite」のエモートをゴールパフォーマンスとして披露したように,「社会現象」に近い状況を生み出した作品でもあり,現在の登録ユーザー数は2億人に達するという。12月初めに迎えた“シーズン7”では,アリーナが自作できる「クリエイティブモード」を搭載するなど,GaaS(“売り切りではなく,継続したサービスとしてのゲーム”という意味の業界用語)としての進化も止まらないようだ。


A Way Out

開発元:Hazelight Studios
発売元:Electronic Arts
公式URLhttps://www.ea.com/games/a-way-out


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 かなり人を選ぶため,Electronic Artsのタイトルにしては珍しく日本語化されなかった「A Way Out」。脱走した2人の犯罪者が,その逃避行を通じて友情や家族愛を深め,逃れられない運命に対峙するという作品で,2人のプレイヤーが協力してゲームを進めていくことが前提になっている。ゲーム画面は基本的に2分割されており,双方のプレイヤーが協力してパズルを解いたりするのだが,どちらかのプレイにフォーカスする際には,分割された画面の一方が大きくなる。必ずしも2人が近い場所にいるとは限らないし,さらに,まったく別の場所のイベントが挿しこまれたりするなど,動くマンガをプレイしている雰囲気もある。

 「A Way Out」のディレクターであるジョセフ・ファレス(Josef Fares)氏は映像畑の出身であり,それゆえ本作も映画的なゲームではあるが,それだけでなく「インタラクティブメディアとは何か」をじっくり考えたうえで実験を試みた作品であるようにも感じられる。ストーリーだけを取り出せば,ありきたりなB級ドラマなのだが,ゲーム開発者からも「こんな手があったか」と称賛の声が挙がるほどだ。


Frostpunk

開発元:11 bit studios
発売元:11 bit studios
公式URLhttp://frostpunkgame.com/


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 「This War of Mine」で高い評価を得た11 bit studiosの新作ストラテジー「Frostpunk」は,話題を集めた「This War of Mine」ほどのインパクトはないものの,プレイヤーのモラルを問う,精神的に重苦しいゲームだ。地熱を使った巨大蒸気機関の開発に成功した架空の19世紀に氷河期が訪れたという設定で,プレイヤーは人々を襲う大寒波と戦いながら資源を集めて施設を作り,避難民達を集めて大きなコロニーへと成長させていく。

 次第に増えていく人々を支えるリーダーとして,プレイヤーはさまざまな選択を行わなくてはならない。食料や衣料品の不足,怪我の悪化などによって人々はあっさり死んでいく。未成年の労働を増やすべきか,働けなくなった人をどうするか,新しくやってきた人を受け入れるべきか,寒波に襲われたときは,どの地域を優先して助けるべきか……。そうした選択によって人々が生き延びたり不満を抱えたり,死んだりしていく。
 前作は小さなグループの生き残りがテーマだったが,本作は社会そのものの生き残りを図るサバイバルと言える。成功しても失敗しても,何度でもプレイしたくなる作品だ。


Detroit: Become Human

開発元:Quantic Dream
発売元:Sony Interactive Entertainment
公式URLhttps://www.jp.playstation.com/games/detroit-become-human/


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 「シンギュラリティ」(技術的特異点)とは,人工知能が発達し,やがて人間の知性を超えることでパラダイムシフトが起きるという概念で,2035年〜2045年頃に発生するとする予測が多い。
 Quantic Dreamの「Detroit: Become Human」では,そんなシンギュラリティが訪れたデトロイトを舞台に,人間的な,というか人間以上に人間らしい感性を持つ“変異体”のアンドロイドであるコナーカーラ,そしてマーカスの3人を主人公として,彼らの物語が複雑に絡み合う,30ほどのチャプターによって構成されるドラマが繰り広げられる。

 主人公以外にも100人以上のキャラクターが登場し,彼らのパフォーマンスキャプチャだけで370日もかかったというスケールの大きい作品だ。人間に逆らうアンドロイドに感じるのは同情なのか,あるいは憎しみなのか。物語はプレイヤーにいろいろなことを問いかけてくる。


Where the Water Tastes Like Wine

開発元:Dim Bulb Games, Serenity Forge
発売元:Good Shepherd Entertainment
公式URLhttp://www.wherethewatertasteslikewine.com/


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 「Where the Water Tastes Like Wine」は不思議なゲームだ。スティングさんのような有名人が声優として出演しながらも,大手メーカーならおそらく手を出さない,インディーズタイトルらしい雰囲気にまとめられている。プレイヤーは各地を自由気ままに旅してさまざまな出来事を見聞し,物語の欠片を集めていくのが基本的な流れであり,言ってみれば“オープンワールドのビジュアルノベル”という感じだ。

 仕事が見つかれば収入が得られ,それで食料を買ったり,列車に乗って遠くに行くこともできる。マップには個性的な16人のキャラクターが主人公と同じように放浪しており,夜には彼らと焚火を囲むこともある。「希望のある話」「家族の話」を要求され,プレイヤーは手持ちの物語の欠片を使って話を聞かせるのだが,不完全なために物語に尾ひれがつき,やがて,別の土地で少し変わってしまった物語を耳にすることになる。まるで伝言ゲームのようなシステムだが,多くの場合,物語のリアリティが欠けて,ファンタジーか民話のようなものになっていくようだ。
 日本語化されていないので英語の理解が必須だが,小説を読むような感じでじっくり楽しめる作品だ。


Vampyr

開発元:DONTNOD Entertainment
発売元:Focus Home Interactive
公式URLhttp://www.vampyr-game.com/


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 「ライフ イズ ストレンジ」シリーズのイメージが強くなってしまったDONTNOD Entertainmentだが,「Remember Me」などのアクションを重視した作品も手がけており,いずれも,平凡な作品にならないように細心の注意が払われているという印象だ。
 彼らの新作「Vampyr」は,推定死者数1億人ともいわれる「スペインかぜ」に襲われた第一次世界大戦下のロンドンを背景に,人を助けるはずの医師が吸血鬼になってしまったという主人公の葛藤が描かれる。プレイヤーは,自分が吸血鬼になった原因を探るため,暗いロンドンの街をさまよい続けるのだ。

 本作の面白いところは,約60人のNPCの血を吸えるシステムだろう。彼らの命を奪って血を吸えば,経験値が得られて戦いが有利になるのだが,多くのNPCがストーリーの展開に絡んでおり,簡単に殺すわけにはいかない。例えば,その人物との会話でほかのキャラクターとの関係を探る必要などもあり,プレイヤーは血を吸いたい衝動に駆られつつ,それぞれのNPCをよく観察して吸血すべきかどうかを判断していかなければならない。
 敵の種類が少なく戦闘は単調で,マップのサイズもそれほど大きくない。ロンドンらしい人混みの中でターゲットを物色できたりすればさらに盛り上がったはずだが,限られたスタッフと予算の中,NPCの“資源管理”や吸血鬼らしいスキル選択など,さまざまな工夫で魅力的な作品に仕上がっていると感じられた。


Kingdom Come: Deliverance

開発元:Warhorse Studios
発売元:Deep Silver
公式URLhttps://www.kingdomcomerpg.com/


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 「魔法もドラゴンも登場しないリアルな中世ヨーロッパを舞台にしたゲーム」という,なんともグッとくるキャッチフレーズのもとに開発された「Kingdom Come: Deliverance」。ただし,筆者がゲームを開始してしばらくすると,いきなり両手を横に広げた状態で固定されてしまった。3DCGの制作画面などで見られる,いわゆるTポーズの女性キャラクターが空を飛んでおり,「なんだ,魔女がいるじゃないか」と笑ってしまったが,そうしたバグの多さも本作ではご愛嬌になっているようだ。
 なにしろ,“15世紀初めのチェコ・ボヘミア地方の歴史とライフスタイルを忠実に再現する”という構想は果たして面白いゲームになるのかという視点から,多くのゲーマーに見守られてきた作品なのだ。

 リアリティの追求は尋常でなく,しばらく風呂に入っていなかったり身なりが貧相だったりするとNPCに蔑まれたり,弓矢の着地点が表示されないので,攻撃を勘と経験で行なわければならなかったりする。鉄の鎧の下に布製のパッドを着込んだり,戦闘で受けた怪我を放置すると出血多量で死んだり,必要な薬草を集めてポーションを制作したりと,よくもまあここまで,という雰囲気だ。セーブは自分の寝床に戻るほか,酒を飲んでもできるのだが,あまりにも飲み過ぎるとアル中になってしまうので注意しよう。
 敵対していた神聖ローマ帝国のゲルマン人だけでなく,ハンガリー人やトルコ人など,周辺諸国の住人はすべて敵という設定になっているため,リベラルな海外メディアから「右翼ゲーム」と批難されたりもした。近隣の大国に翻弄され続けたボヘミア人の民族意識の芽生えを描いている以上,そうした評価はピント外れのように思えるが,ゲームの多様性を考えるうえでも,ある意味,重要な作品になったのかもしれない。


God of War

開発元:SIE Santa Monica Studio
発売元:Sony Interactive Entertainment
公式URLhttps://www.jp.playstation.com/scej/title/gow/entrance/


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 「ゴッド・オブ・ウォー」は,完結した前三部作に続く新たな章という立ち位置の新作だ。今回は,北欧神話の世界を舞台に主人公クレイトスと息子アトレウスが旅を続ける。新しい武器が登場し,爽快で楽しく,それでいて十分に手ごたえのある戦闘が楽しめる。武器やアーマーのアップグレードや,NPCとのやりとり,そしてももちろん美しいグラフィックスとアニメーションなど,シリーズ従来作を細かく見直し,さまざまな改善や進化が施されている。世界の広さを感じさせるオープンワールド風のマップも魅力的だ。

 オリンポスの神々を次々になぎ倒していくという壮大なスケールのシリーズ従来作に比べて,本作にはオーディンやトールといった誰でも知っている神々は登場せず,中ボス程度の敵と戦ってばかり。いかにも次回作があるぞという感じなのだが,そうしたアクション面のマンネリ化を防いでいるのが,クレイトスとアトレウスの親子関係を中心にした物語だ。
 怒りに任せて戦うだけでなく,不安定な息子の成長を見守る父親としてのクレイトスには,筆者もつい感情移入してしまった。サイドクエストなどのやり込み要素も多く,シリーズ最高作と呼んでもいいだろう。


Return of the Obra Dinn

開発元:Lucas Pope
発売元:3909
公式URLhttps://obradinn.com/


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 「Papers, Please」で高い評価を得たルーカス・ポープ氏の新作が「Return of the Obra Dinn」だ。19世紀初めに消息不明になった東インド会社の船,オブラ・ディン号が生存者のないまま発見され,その真相を確かめるために送り込まれた保険調査員としてプレイするゲームで,40人ほどの搭乗員や乗客それぞれの死因を突き止め,ログに書き込んでいくという推理ものになっている。プレイヤーは,死者の最後の瞬間を見ることができる懐中時計を持っており,船内を移動して記憶の残滓(ざんし)を集めていく。

 ……と書くと単調なゲームに思われるかもしれないが, “探偵もの”などと言われる多くの推理ゲームでは,まるで親鳥がヒナにエサを与えるかのように適宜ヒントが用意されているのに対して,本作はプレイヤーに,状況をしっかり見聞きし,自分の判断を何度も疑ってみることを促す。ミスリードを誘うような会話が紛れ込んでいたり,普通は気にもとめないような小物が物語の大きなカギを握っていたりするので,プレイしていないときでも事件のことを考え込んでしまうという,非常に心に残る作品に仕上がっている。初期のMacintoshを思わせる独特なグラフィックスも一見の価値ありだ。


Red Dead Redemption 2

開発元:Rockstar North
発売元:Rockstar Games
公式URLhttps://www.rockstargames.com/reddeadredemption2/jp


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 2010年の大ヒット作「Red Dead Redemption」の続編にして前章譚。前作を開発していた当時に,どこまで続編のことを考えていたのかは知る由もないのだが,メインキャラクターからサブクエストまで,見事に前作とつながっており,続編という意味でも非常に完成度の高い作品だ。
 マップの大半は森林や街で,西部劇によくある荒野の雰囲気が感じられなくなったのが残念だが,そもそも本作は西部劇というより,近代から現代,開拓時代から定住時代へという時代の移り変わりに付いていけなかったアウトロー達の哀歌なのだ。
 ゲームとして考えれば,スティックを倒してアイテムの選ぶといった古臭い操作などにより,武器の選択さえ面倒くさく,最近のゲームに慣れた人にとってはスムーズとはいえないアニメーションにイラつくこともあるだろう。しかし,自由度の高いオープンワールドの作品でありつつ,密度が濃く,女性参政権や奴隷制といった当時の世相や,幽霊,UFOなどのオカルト要素までをエッセンスとして散りばめた本作では,毎日の冒険や発見に飽きることはない。「ミントの葉を10枚集めてくる」といった単純なおつかいミッションが減っているのもありがたいところだ。
 プレイヤーは,法という文明化から逃れるようにさまよう無法者集団「ダッチギャング」の大黒柱,アーサー・モーガンとなり,理想を追い求めるあまり被害妄想気味なリーダーのダッチ・ファン・デル・リンデに付き従って,ライバルギャングと戦ったり,銀行強盗を繰り返したりしていくのだ。

画像集 No.015のサムネイル画像 / Access Accepted第598回:海外ゲーム通ならプレイしておくべき2018年のタイトル10選

 以下,ネタバレ注意だが,やがてアーサーは自分の生き方を見直し,現実から逃避するダッチに向き合うと共に,ジョン・マーストン一家についてもしかるべき判断を下す。そして,前作をプレイした人なら誰もが想像したであろうエンディングに向かって進んでいくことになる。

 ギャングメンバーが次々に欠けていく様子は,あたかもアーサーの世界が急速に枯れていくのを見るような畳みかける演出で,おそらく多くのプレイヤーが物語の結末見たさにプレイを続けたのではないだろうか。これほど「最後が見たくない」と願いながら最後までプレイしたゲームは久々だ。2018年の最高傑作の1つだろう。


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

「奥谷海人のAccess Accepted」,次回の掲載は2019年1月15日を予定しております。
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