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Access Accepted第741回:科学的な測定法によって“最恐のホラーゲーム”を決定。第1位に輝いたのはアルゼンチン発のインディーズゲーム
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印刷2022/11/07 11:00

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Access Accepted第741回:科学的な測定法によって“最恐のホラーゲーム”を決定。第1位に輝いたのはアルゼンチン発のインディーズゲーム

画像集 No.001のサムネイル画像 / Access Accepted第741回:科学的な測定法によって“最恐のホラーゲーム”を決定。第1位に輝いたのはアルゼンチン発のインディーズゲーム

 とあるイギリスのブロードバンド調査会社が,科学的な検証によって“最も怖いゲーム”のランキング「Science of Scare Project 2022」を公開した。ホラーゲームのファンなら誰もが知っている作品が並ぶ中,第1位に輝いたのは,今年リリースされたアルゼンチンのインディーズゲームだった。



長い歴史を持つホラー映画を科学的に測定する試み


 エンターテイメントとしてのホラーの歴史は古い。日本では18世紀から歌舞伎の演目として「番町皿屋敷」が人気を得ていたし,シェイクスピアにも「マクベス」や「ハムレット」といった幽霊や怨霊を題材にした戯曲が少なくない。
 余談だが,今や世界的なイベントとなったハロウィン(毎年10月31日)も,アイルランドにキリスト教が浸透する以前の土俗的なドルイド信仰が起源というのは有名な話だ。アイルランドやスコットランドでは,遅くとも16世紀頃からコスチュームをつけてハロウィンの日を祝っていたと言われている。

 今の形の映画は,1895年に始まったと考えられている。世界初のホラー映画には諸説あるものの,1895年に制作された「スコットランドの女王、メアリーの処刑」(The Execution of Mary Stuart)や,1896年には「悪魔の館」(Le Manoir du Diable)が登場していることから,当時すでにエンターテイメントとして認識されていたことが分かるだろう。
 それ以降,ヴァンパイアやゾンビ,悪魔,猫女,殺人鬼,エイリアンといったさまざまなテーマの作品が製作され,1970年代にスプラッターやオカルト,1980年代にはスラッシャーやSFホラー,そして1990年代には“ジャパニーズホラー”が脚光を浴び,ホラーのジャンルが多様化していく。

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 2020年にそのような長い歴史を持つホラー映画を,単に評者の好き嫌いではなく,科学的に番付けしてみようと試みた企業がある。イギリスのブロードバンド・プロバイダの市場調査などを扱うbroadbandchoicesは,「Science of Scare Project」を立ち上げ,250人のテスターに心拍数モニターを装着し,50本の長編映画を鑑賞してもらった。1人あたり,100時間ほどの視聴時間だったという。
 “科学”としてはシンプルな部類だが,テスターの平常時の平均心拍数65BPM(Beats Per Minute,1分あたりの心拍数)を基準に,映画視聴中の平均心拍数と最大心拍数を測定。平常時から上昇した平均の数値をランキングにしている。

 この年に発表された“最も恐い映画”は,2012年のアメリカ映画「フッテージ」だ。平均心拍数は86BPM,最大心拍数は131BPMを記録したという。2位は「インシディアス」(2010年),3位は「死霊館」(2013年)と続き,日本映画のリメイクである「ザ・リング」(2002年)は11位にランクイン。クラシックな作品である「エルム街の悪夢」(1984年。12位)や「ハロウィン」(1978年。13位)もランキングに選出されている。

 Science of Scare Projectでは,数多のホラー映画の中から50本しか選出していないうえ,「ギョッとする体験」と「ゾクっとする体験」では怖さの度合いも違う。さらに,何本もホラー映画を見続けていると慣れてくることもあるだろう。
 こうした要因があることから,必ずしも心拍数がホラーの絶対的な評価であるとは思っていないが,“恐さ”を測る目安の1つにはなるかもしれない。

 同社の調査は翌年以降も行われており,今年のランキングでは2020年公開の「ホスト 血染めの晩餐会」が“最恐のホラー映画”の座に輝いている。視聴中の平均心拍数は88BPM(この年,平常時の平均心拍数は64BPM)を記録したという。

最恐のホラー映画に選ばれたのは,2020年に公開されたロブ・サベージ監督作品「ホスト 血染めの晩餐会」。COVID-19のロックダウンが始まると同時に,Zoomを使って撮影が行われた超低予算映画で,徐々に狂気的な現象に晒されていく普通の人々を描いている
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“最恐のホラーゲーム”はアルゼンチン発のインディーズゲーム


 同プロジェクトは今年から,新たにゲーム部門を立ち上げて“最恐のホラーゲーム”を選定した。映画と同様に,心拍数モニターを付けた200人のテスターに45本のゲームをプレイしてもらい,5月1日から9月14日までにわたって調査したという。

 調査対象には日本のゲームも多いが,トップ10には唯一,カプコンの「バイオハザード7 レジデント イービル」(2017年)が入り,第6位となっている。「すべては恐怖のために」というキャッチコピーを掲げる本作は,平均心拍数は90BPM,最大心拍数は121BPMを記録(平常時の平均心拍数は65BPM)。前者の数値は,今年の映画部門の第1位である「ホスト 血染めの晩餐会」よりも高い。インタラクティブ性のあるホラーゲームは,継続的にプレッシャーがかかるということだろう。
 また,フロム・ソフトウェアの「Bloodborne」(2015年)が第7位に入っている。あまりホラーゲームというイメージはないが,平均心拍数が89BPM,最大心拍数は101BPMだった。トップ10の作品は軒並み,最大値が120BPMを超えていることを考えると,アクションRPGである本作ならではの数値と言えるかもしれない。

 第1位に輝いたのは,アルゼンチンのBLOODIOUS GAMESが7月にリリースした「MADiSON」(平均心拍数は97BPM,最大心拍数は131BPM)。16歳の誕生日を迎えた少年・Lucaがプレゼントにもらったポラロイドカメラを通じて,数十年前に始まった猟奇的な儀式の謎を解き明かしていく一人称視点のホラーアドベンチャーだ。
 第2位以下は「Alien: Isolation」(2014年),「Visage」(2018年),「Five Nights At Freddy's 4」(2015年),「Outlast 2」(2017年)と続いている。いずれも一人称視点のホラーゲームだが,トップ25の中でも三人称視点のタイトルは1/3に過ぎないとのこと。一人称視点は恐怖を演出するのに,相性のいいスタイルということだろうか。

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最恐のゲームに選ばれたのは,アルゼンチン発のインディーズゲーム「MADiSON」。Steamでは日本語対応版を配信中(税込4100円)で,執筆時点のレビューは「非常に好評」となっている
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 参考までにだが,現在は正規のルートでは入手できず,“短編デモ”であることから,調査対象に入らなかった作品として,KONAMIの「P.T.」(2014年)にもスポットが当てられている。そのタイトルが「Playable Teaser」の略であることからも分かるとおり,サイレントヒルシリーズの新作(のちに開発中止)のティザー広告として公開された。
 調査結果によると,「P.T.」をプレイしたテスター15名の平均心拍数は99BPM,最大心拍数は135BPMとのこと。この数値は,第1位の作品を上回るものだ。

小島秀夫監督率いる小島プロダクションが制作し,KONAMIから配信された「P.T.」。新作の開発中止に伴い,現在はPlayStation Storeからダウンロードできない
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broadbandchoices「Science of Scare Project 2022」


著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

※来週(11月14日)の週刊連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,著者取材のため休載します。
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