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「おま国」は違法? 欧州委員会がValveとパブリッシャ5社に対してSteamの地域ブロック中止を求める意見書を提出
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印刷2019/04/06 15:51

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「おま国」は違法? 欧州委員会がValveとパブリッシャ5社に対してSteamの地域ブロック中止を求める意見書を提出

 2019年4月5日,欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会(European Commission。以下EC)は,デジタル配信サービス「Steam」を運営するValveとパブリッシャ5社に対し,「地域ブロック」(Geo-Blocking)の是正を求める反対意見書を送ったことを明らかにした。反対意見書に名前が挙げられているパブリッシャは,Bandai Namco,Capcom,Focus Home Interactive,Koch Media,そしてBethesda Softworksを傘下に持つZeniMaxの各社。

Antitrust: Commission sends Statements of Objections to Valve and five videogame publishers on “geo-blocking” of PC video games


 地域ブロックというと聞き慣れないが,これはいわゆる「リージョンロック」にまつわる問題に属し,EU加盟国間であるにもかかわらず,他国で購入してもキーのアクティベートができない,あるいは制限が掛かって購入ができないといった問題だ。日本のプレイヤー目線に立つとEU版の「おま国」問題と言えばイメージしやすいだろう。反対意見書によれば,Valveとパブリッシャ5社は,ユーザーが居住国以外で購入したPCゲームの使用を制限するアクティベーションコードの導入を行ったという。対象として挙げられているのは,チェコ,エストニア,ハンガリー,ラトビア,リトアニア,ポーランド,スロバキア,そして場合によるがルーマニアで,さらに,カプコンを除く4社はEUに加盟する特定の国々に対して販売規制を行っており,これらの行為はEUの独占禁止法に違反するという。

 ECのMargrethe Vestager氏は,「デジタルマーケットでは,EUのどこに住んでいるかに関係なく,好きなゲームを購入して遊ぶ権利がある。Valveと5つのゲームパブリッシャにとっては,今が我々の懸念に答えるいい機会なのではないか」と述べており,今のところ各社の反応を待っている状況にあるようだ。独占禁止法の違反が認められた場合は,最大で年間売上の10%の罰金が科せられる。

 GamesIndustry.biz日本語版が2017年2月3日に掲載した記事にもあるように,ECがSteamの地域ブロックの調査を開始したのは2017年2月のこと。約2年の調査期間を経た後の反対意見書ということになるが,Valveはこの問題に異例なほどすばやく対応しており,4月5日にプレスリリースを発行した(SteamDB)。

 それによると,Valveは欧州経済領域(EEA)でリージョンロックを行っていたことは認めたものの,対象だったタイトルは全体の約3%に過ぎず,さらに2015年にはECの懸念に応えて,ブロックを解除したとのこと。ただし,例えばドイツのようにゲームコンテンツに対する制限の大きい国では法律に応じたブロックを行っており,さらに,パブリッシャやデベロッパからの依頼があった場合もブロックを行う。地域ブロックの解除は一部でゲームの価格向上をまねくかもしれないとも述べている。
 アクティベーションコードの発行でValveは利益を得ていないことも述べられており,あくまでもプラットフォームとしてビジネスパートナーの意向に従ったというスタンスのようだ。今後の対応などについては書かれておらず,全体的にValveの主張はやや分かりづらい。

 日本では,ストアに欲しいゲームが現れないという状態がほとんどで,アクティベーションコードを問題視するEUとは状況が異なるものの,Steamが特定の国に販売の制限を行っており,それが問題であるという点は変わらない。時間はかかりそうだが,議論がさらに続き,結果的に日本のSteamユーザーに恩恵が得られることを期待したい。
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