2012年12月5日,LG Electronics(以下,LG)の日本法人であるLGエレクトロニクス・ジャパンは都内で報道関係者向けイベントを開催し,PC用ディスプレイの新製品「
29EA93-P」「
27EA83-D」「
23ET83V-W」を発表した。
29EA93-Pは,
アスペクト比21:9で解像度2560×1080ドットの29インチモデル。27EA83-Dは解像度2560×1440ドットの27インチモデル,23ET83V-Wは10点マルチタッチ対応で解像度1920×1080ドットの23インチモデルだ。メーカー想定売価は順に5万円前後,7万円前後,5万円前後となっている。
29EA93-P
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シネスコ対応29インチIPSで5msを実現
MHLにも対応した29EA93-P
今回発表された3製品のなかで,4Gamer的に最も注目したいのが,アスペクト比21:9でいわゆるシネマスコープ(シネスコ)サイズに対応した29EA93-Pである。
李 起旭氏(LGエレクトロニクス・ジャパン常務)
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LGエレクトロニクス・ジャパンのマーケティング統括を務める李 起旭常務は,29EA93-Pを「Blu-ray Discを中心として,アスペクト比21:9の映像コンテンツが増えてきた現在の市場にマッチした製品」としている。実際,ゲーム関連のデモはとくに行われなかったのだが,LG製のAH-IPS(Advanced High Performance In-Plane Switching)液晶パネルを採用し,中間調(Gray-to-Gray)の
応答速度5msというスペックを実現しているのは,ポイントが高いと述べていいだろう。
ベゼルは1.2mmしかなく,超狭額縁とされるが,ベゼルの内側に非表示エリアがあるため,体感上のベゼルはごく普通といったところである
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現在はIPS液晶パネル採用モデルでも3ms台の応答速度を実現している製品があるので(
関連記事),最速というわけではない。ただ,一般的なIPS液晶パネル採用モデルだと応答速度は6〜8ms。同じくシネスコサイズのパネルを採用して登場しているDellの「U2913WM」も8msなので(
関連記事),この点では29EA93-Pのほうが,応答速度に関しては,よりゲーマー向けだと言えるはずだ。
29EA93-Pの接続インタフェース
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グラフィックス系の接続インタフェースはDVI-D×1,DisplayPort×1,HDMI×2。HDMIのうち片方は
MHL(Mobile High-definition Link)対応スマートフォンと接続することで,スマートフォン側の映像を液晶ディスプレイ側へ表示させることもできるようになっている。
MHLは,スマートフォンのUSB Micro端子と液晶ディスプレイ側のHDMI端子とを変換ケーブル経由で接続し,映像を伝送するための規格。これまでMHLはグローバルメーカーの端末でしか利用できないことが多かったのだが,2012年夏モデル以降,ローカルメーカーの端末でも対応が始まっているので,今後を考えるとアリな仕様と述べていいのではなかろうか。
説明会場で行われたMHL出力のデモ。接続時はスマートフォンの充電も行える
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インタフェースの話に戻ると,29EA93-Pは3.5mmミニピンのサウンドライン入力×1,同ヘッドフォン出力×1も用意しており,HDMIやライン入力経由でサウンドを入力したときは,内蔵ステレオスピーカーかヘッドフォン経由で出力することもできるようになっている。また,USB 3.0×3のハブ機能を持つのも特徴といえるだろう。
測色センサー標準添付の27EA83-Dと
10点マルチタッチ機能搭載の23ET83V-W
付属の測色センサーを用いたキャリブレーションのデモ
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残る2製品についても簡単に紹介しておこう。27EA83-DはAdobe RGB色域を99%カバーするとされる製品で,ソフトウェアキャリブレーション用の測色センサーが標準添付になっているという,なかなか面白い製品だ。「セミプロ向け」(LGエレクトロニクス・ジャパン)という立ち位置だが,液晶パネルはAH-IPSで,応答速度も29EA93-Pで採用されているのと同じく5msであるため,「色再現性が高く,比較的高速な高解像度液晶ディスプレイ」として,ゲーム用途でも相応に使えそうな気配はある。
接続インタフェースはDVI-D×1,DisplayPort×1,HDMI×1(+USB 3.0×3のハブ機能)。2台のPCと接続し,画面を左右に2分割して表示する「Dual Link-Up」という機能も用意されている
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23型で10点マルチタッチに対応した23ET83V-Wは,言うまでもなく,Windows 8での利用を想定したモデルとなる。Windows 8搭載PCとは,ビデオ入力のほかにUSBケーブルで接続すれば,すぐにマルチタッチ機能が利用可能だ。解像度は1920×1080ドット。液晶パネルはやはりAH-IPSで,応答速度は5msだ。
23ET83V-W。10点マルチタッチということで,ピアノの鍵盤アプリを実行し,ピアノを弾くデモが行われた(左)。接続インタフェースはHDMI×2,D-Sub 15ピン×1,ヘッドフォン出力1とUSB 3.0(マルチタッチ用)×1。ディスプレイを接地面と平行になるくらいまで倒せないとか,DVI入力がないとかいったあたりは人を選びそうだ
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