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インディーズゲームの小部屋:Room#469「Copoka」
最近はもっぱら,青い目の侍として鬼を斬ったり斬られたりしている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第469回は,Inaccurate Interactiveが開発した「Copoka」を紹介する。本作は,とある都市に住む鳥となって自由に大空を飛びながら,巣の材料を集めていくというオープンワールドゲームだ。ところで,シブサワ・コウという血刀塚を見つけたんだけど,まさかご本人じゃありませんよね……。
本作のタイトルになっている“コポカ”とは,ゲームの舞台となる街の名前だ。この街では至るところにスピーカーが設置され,ひっきりなしに“偉大なる女性指導者”の栄光と,やがて彼女がもたらすであろう勝利についてを喧伝している。その一方で,市民の生活は困窮し,必要な薬すら手に入らず,街角には人々の嘆きが満ちている。
鳥であるプレイヤーの目的は,そんな街の状況とは関わりなく巣作りを行うこと。だって,鳥だもの。巣のある場所は金色,材料が落ちている場所は白く光り輝いているので,遠くからでもすぐに見つけられるだろう。また,白い羽が舞っている場所に近づくと,そこにいる人達のウワサ話を聞くことができ,そこから,今この街が置かれている状況を推し量ることができる。
プレイヤーはそんな人々の声をしばし羽を休めて聞いてもいいし,聞き流しても構わない。どちらにせよ,鳥であるプレイヤーにできることは何もないのだ。巣作りを進めるにつれ,街を取り巻く状況は少しずつ変化していくが,プレイヤーがそれに関わることは一切なく,鳥の目線で傍観するだけというのが本作の大きな特徴となっている。
背後に険しい山を抱き,前方は海に面しているコポカの街は広々としており,街の細部まで作り込まれている。そんなコポカの街を,ときには上空から眺めたり,またあるときは建物のあいだを縫うようにして飛んだりするのは純粋に楽しい体験だ。しかし,プレイヤーがそうして穏やかなBGMを聞きながら,快晴の空を悠々と舞っているその足元では,人々の嘆きや不満が渦巻いている。このコントラストが,本作ならではの独特の世界観を生み出している。
本作は,あえて表現するなら“オープンワールド鳥ゲーム”としか言いようがない,何とも不思議なゲームだ。そして肝心なことは,鳥として飛び回るのが面白いのかという点だが,風景は美しく,操作は快適で,文句なしに楽しいと言える。本作はSteamで販売されており,価格も498円と手頃なので,興味を持った人はぜひ試してみてほしい。
■「Copoka」Steam紹介ページ
http://store.steampowered.com/app/582620/- この記事のURL:
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