インディーズゲームの小部屋：Room＃532「Horizon Chase Turbo」

　毎日，プロ野球ニュースで一喜一憂している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第532回は，Aquiris Game Studioの「Horizon Chase Turbo」を紹介する。本作は，小難しいマシンセッティングなどは抜きにして，思う存分スピード感を満喫できるレースゲームだ。うう，いつの間にか阪神タイガースが借金生活に……。


　本作は16bit風のシンプルなポリゴンやカラフルな色使いから見て取れるとおり，1980〜90年代のアーケードレースゲームにインスパイアされた作品だ。カラッとした明るい空のグラフィックスを見ると「アウトラン」を思い出すという人は，筆者だけではないだろう。ノリの良いBGMも耳に残るが，それもそのはず，日本ではケムコから発売された「トップレーサー」シリーズのコンポーザーであるバリー・レイッチ（Barry Leitch）氏が本作の音楽を手がけている。


　メインとなる「ワールドツアー」の内容は，世界各地を転戦しながらカーレースを繰り広げるというシンプルなもの。登場する車は実名ではないが，車にあまり詳しくない筆者が見ても元ネタが分かるものもあるので，車好きならより楽しめるはず。レース中の操作方法は左右のハンドリングに加え，アクセル，ブレーキ，ニトロの3つのボタンで行う。


　言うまでもなく，レースゲームとしてはリアル系ではなく完全にアーケードスタイルで，アクセル全開でコーナーをクリアしていくスピード感は抜群。ニトロは一時的に急加速ができるというおなじみのもので，1レース中に3回まで使用できるが，コースによってはニトロの使用回数を増やせるアイテムが落ちている場合もある。


　コース上にはコインやガソリンも落ちているので，これらもできる限り拾っていきたいところ。コインを集めるとレース終了後のスコアが加算されるが，より重要なのはガソリンだ。レース中はガソリンが減少していき，途中でガス欠になると失格となってしまう。敵車の動きばかりに気を取られてガソリンの補給を怠ると，レースを完走できなくなることもあるので注意しよう。


　レースは自分も含めて20台の車で行い，5位以内に入れれば次のコースがアンロックされる。レースは毎回，集団の最後尾から始まるので，スタート直後の団子状態をいかに抜け出すかが重要だ。レースを終えると，順位や集めたコインの数，ガソリンの残量に応じてスコアを獲得でき，累積スコアによって新しいカップレースや車が開放されていく。


　また，カップレースを進めるとボーナスコースが出現し，このレースを1位で勝利すると車のアップグレードパーツが入手できる。一度獲得したパーツはすべての車に適用されるので，自分のプレイスタイルに合わせて選ぶといいだろう。
　そして，レトロゲームファンに嬉しいのは，画面分割による最大4人プレイに対応しているという点。残念ながらオンライン対戦は用意されていないが，スコアボードでタイムを競ったり，ほかの人のゴーストとレースしたりも可能だ。


　昔懐かしいアーケードレースゲームのプレイ感覚をそのままに，現代風にブラッシュアップして蘇らせた本作。頭を空っぽにしてシンプルにスピード感を味わいたい人や，細かくセッティングを詰めていくリアル系のレースゲームはしんどいという人に，ぜひお勧めしたいゲームだ。そんな本作はSteamにて2050円で発売中なので，興味を持った人はぜひどうぞ。

■「Horizon Chase Turbo」公式サイト

http://www.horizonchaseturbo.com/