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ALIENWAREの新型デスクトップPC「Aurora R5」を隅々までチェック。細かい気配りが良好で,長く使いたくなる筐体だ
ALIENWAREは2014年に,“巨大なおにぎり型”筐体を採用して話題となった「ALIENWARE
「ゲーマー向けミドルタワーPC」の市場は,国内システムビルダー各社がしのぎを削る大激戦区であるわけだが,そこに登場してきたAurora R5は,果たして何がALIENWAREらしいのだろうか。本稿では,CPUの冷却機構として簡易液冷ユニットを採用する最上位モデル「ALIENWARE Aurora スプレマシー」をベースに,BTOで2枚の「GeForce GTX 1080 Founders Edition」(以下,GTX 1080)を搭載するハイスペック構成の試用機を入手できたので,新しい筐体とその内部構成に焦点を当ててレポートしてみたい。
なお,ベンチマークテストによる性能評価については,後日,テスト結果をもってお届けしたいと考えている。
Area-51のデザインを取り入れた派手な外観
Aurora R5の筐体は,多数のスリットが入った黒いボディを銀色のサイドパネルで挟んだデザインを採用している。実際のところ,デザインの基本コンセプトは上位モデルであるArea-51 R2と同じであり,銀色サイドパネルに,中央から3つの方向へ散るような配置のライン状LEDイルミネーションを採用している点も,Area-51 R2から変わっていない。Area-51 R2のルックスを多少大人しくしたような見た目,とも言えそうだ。
本体の前面は,上側がフラットなパネルになっていて,右上にALIENWAREのシンボルであるエイリアンフェイスのエンブレムがある。このフラットな部分に,5インチベイがあるように見えるかもしれないが,本機に5インチベイは1つもない。というか,そもそもAurora R5は,いかなるタイプの光学ドライブも内蔵していなかった。
たとえば,前側のUSBポートにつないだケーブルをVRヘッドマウントディスプレイに接続するときに,取っ手の下にケーブルを通して背面側に流すという用途に利用できると,ALIENWAREはアピールしている。もちろん,取っ手は本体重量に耐える設計となっているので,持ち運ぶときに使うことも可能だ。
スイングするアームに電源ユニットを取り付けた,独特の内部構造
Aurora R5は,正面から向かって左側面のサイドパネルを開けて内部にアクセスする構造となっている。開け方自体は簡単で,背面上部にある固定用パーツを留めているネジをプラスドライバーで外し,固定用パーツを手前に引いてロックを外したら,あとはサイドパネルを斜め上へ引っ張り上げるようにするだけだ。
ちなみに,サイドパネルのLEDを光らせる機構は,特殊な接点で本体側と接続する仕組みになっているため,PCの起動中に開けた場合,ロックを外した時点で消灯する。サイドパネルを外すためにLED用の電源ケーブルを外すなんて手間はかからない。
アームを動かすのも簡単だ。背面に2か所ある固定用の部品をスライドさせて解放するだけで,アームがスイングできる状態になるので,あとは外側に向かって開くだけでいい。ドライバーすら使わないで済む。
アームは最大限まで開くと,軽くロックがかかるようになっている。そのため,作業中に自然に閉じてしまって手を挟まれたり,作業を邪魔されたりする心配もない。
この状態で,マザーボード上のCPUやメモリスロットにはアクセスできる。さらにグラフィックスカードを取り外せるようにするには,2枚のカードを横断するように固定しているプラスチックの固定具も外す。
ちなみに,固定具を取り付けるための溝は4か所あり,カードの長さやPCI Express補助電源コネクタの位置に応じて,最適な取り付け場所を選択できる。
よくできているなあと感心させられたのは,電源ユニット付きアームを開くと,「ドライバーを隙間に差し込み,先端で押せる場所を探す」とか,そういう不便なしに,PCI Express x16スロットのロックを指先で押して解除できるようになるところだ。側板を開けたときの密度感からして,こういう部分の配慮はほぼないと勝手に思っていたのだが,いい意味で裏切られた。
パーツの交換は容易だが,ストレージ用のドライブベイは少なめ
2枚のグラフィックスカードを外すと,マザーボード全体の姿を確認できた。AlienHeadのシルク印刷を除けば,ごく一般的なMicroATXタイプのマザーボードといった見た目である。
DDR4 SDRAM用のメモリスロットは4本を装備。拡張スロットはPCI Express 3.0 x16×2と,PCI Express 3.0 x4×2という計4スロット構成だ。それに加えて,ストレージ用と無線LANカード接続用のM.2スロットを1スロットずつ備えている。
なお,今回評価したAurora R5では,PCI Express 3.0 x4×2を除くすべてのスロットが使用済みだった。
ストレージ用のスロットやベイは,前述したM.2スロットのほかに,筐体の下側に2.5インチHDDベイが2つ,筐体前方上側に3.5インチHDDベイが1つ用意されている。今回入手した個体では,M.2スロットと3.5インチHDDベイが使用済みで,2.5インチHDDベイは空いていた。筐体のサイズの割に,空いているベイが少なく,とくに3.5インチHDDベイの空きがない点は気になる人もいるのではないだろうか。
なお,各ストレージベイは,ドライバーレスでストレージを付け外しできるタイプとなっている。
長く使いたくなる筐体のAurora R5
密度の高い筐体の割に,内部へのアクセスは容易な点は評価に値する。また,スイングするアームにロック機構があったり,固定具を取り付ける溝を4か所も用意していたりするなど,Aurora R5の筐体は,使い勝手の向上を考慮した細かい気配りが行き届いているところがいくつもあるのもポイントだろう。
さすがにマザーボードを交換してまで使い続けるのは難しいかもしれないが,古くなったパーツを交換することで,長く使っていきたいと思わせる価値を持った筐体を使った製品といえそうだ。
若干残念なのは,3.5インチHDDを取り付けるベイに余裕がないところか。空きベイのある2.5インチHDDは,容量辺りの単価が割高だし,性能に影響するディスクの回転数が低めであるなど,価格帯性能比の点で3.5インチHDDには及ばないものだ。必要なストレージ容量の多いゲームをたくさんインストールしたいという人は,3.5インチHDDの増設ができない点は気になるかもしれない。
その点を除けば,Aurora R5の筐体は,なかなか満足度の高いものに仕上がっていると言えるだろう。
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