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【ヒャダイン】ゲームの中で闘う女の子って,グッときますよね。
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印刷2014/03/31 00:00

連載

【ヒャダイン】ゲームの中で闘う女の子って,グッときますよね。

ヒャダイン /  音楽クリエイター

画像集#001のサムネイル/【ヒャダイン】ゲームの中で闘う女の子って,グッときますよね。

ヒャダインの「あの時俺は若かった」

ブログ:http://ameblo.jp/hyadain/


第27回「ゲームの中で闘う女の子って,グッときますよね。」


8thシングル「半パン魂」発売中
画像集#002のサムネイル/【ヒャダイン】ゲームの中で闘う女の子って,グッときますよね。
 ども。闘う女の子ってグッときませんか? 昨今のアイドルブーム,ただ歌って踊れる可愛らしいグループってだけでは埋もれがち。何かしらと闘っている構図を持ったグループが,頭一つ抜けてきているような気がします。BiSなんていろんなものと闘いすぎて,もう訳が分かんなくなっていますが。好きですよ,BiS。
 アイドルファンは闘っている女の子に共闘意識とか護ってやりたい欲求が湧き出すのかな? なんてことも思うのですが……。そういえば,ゲームの中で闘う女の子について,僕自身,見て見ぬふりをしてきた部分があるので,今回はそこを言語化することで,はっきりくっきり整理したいなと思います。


 さてと。やはり格闘ゲーム! 分かりやすいところで「ストリートファイターII」春麗で考えてみましょう。
 男が女の子を殴るなんて,非人道的極まりなく,許されざる行為であるという社会通念がございます。その根底にあるのはやはり,「男のほうが強いので,弱い女に暴力をふるうのは卑怯」という考え方でしょう。
 さて春麗の場合はいかがでしょうか。ルックスは華奢……とはいえ,よく見るとぶっといフトモモ。両腕にはトゲトゲの腕輪をつけて,超高速キックの百裂脚や重力無視のスピニングバードキックを繰り出す元インターポール刑事の格闘家。春麗きっかけで足フェチになった男性は数知れないかもしれないですね。蹴られたら即死だとは思うけど,蹴られてみたい。
 閑話休題。そんな春麗,プロフィールを見ても十分な戦士です。男とか女とかで区別するのは失礼でしょう。しかし,ストリートファイターIIがリリースされた時点で,女性キャラは春麗のみ。エドモンド本田やザンギエフなど,屈強かつ汗臭い男どもとタイマンを張っております。
 さっき「見て見ぬふり」と書いていたのは,ここです。ムッキムキのプロレスラーによる全力ラリアットを女性がまともに食らうという構図。冷静に考えたらすげえエグい! いわゆる“非人道的”。巨漢の相撲取りが女性を抱き潰すサバオリ。全身の骨ボキボキボキーですよね。バルログに至っては鋭利な刃物で突き刺してくるんですよ。普通即死です,即死。現実世界で考えたら野島伸司ドラマ並の衝撃度です。
 しかし,ゲームとなったら何の罪悪感もなくオラオラオラと春麗を攻撃できちゃうんですよね。勝った後,ボロボロになって泣いている春麗の姿を見たところで,胸が痛むこともとくにありません。

 アクションゲーム「熱血硬派くにおくん」に登場した敵キャラ,みすずも衝撃的でした。不良のくにおくんが,ほかの不良を殴る蹴るしながら攻略していくゲームなんですが,途中で出てくるスケバンのみすずが超強いのです。襟を掴んでのビンタの火力が凄まじい。小学生だった僕には太刀打ちできない相手でした。
 現実世界に戻すと,男のヤンキーが女のスケバンと闘うなんて,弱いものいじめだったり性的な構図に見えてしまったりしますが,ゲーム内だとそういった感覚がなくなります。ただただ強い敵キャラ。それだけ。

 RPGではどうでしょう。今まで僕がやったすべてのRPGに,仲間キャラとして女性が含まれていました。能力は男性キャラと同等で,敵からも同等に攻撃を受けます。
 「ファイナルファンタジーV」に至っては,最後のパーティ,バッツ以外は全員女性です。もちろんストーリー上,女性のか弱さだったり繊細さだったりが描かれることが多々ありますが,いざ戦闘になるとバッキバキに攻撃。ダメージだって受けるけど,そのことにプレイヤーは憐憫の情を持ったりしないですよね。
 「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」のアリーナの強火力,「ファイナルファンタジーVI」のセリスやティナの「女戦士」っぷり,「ロマンシング サ・ガ」のシフや,「クロノ・トリガー」のエイラなどなど,前線で活躍できるキャラだらけです。
 RPGじゃないけど,横スクロールアクション「美少女戦士セーラームーン」では,セーラーマーキュリーが投げ技としてプロレス技のDDTをぶっ放しますしね。優等生美少女がDDT。どこで習ったんだ。

 いろいろと思いを巡らせてきましたが,ゲームの中で闘う女の子。なんか格好いいんですよね。屈強な男どもとパーティを組んで,ダメージを受けつつも逃げずに闘う姿。うん。格好いい。「私,女だから……」みたいな部分が微塵もないあたりがスッキリします。
 華奢な体なのに「てつのよろい」を装備してキングレオに立ち向かうミネアの姿を想像したら「この占い師,かっけー!!」ってなります,僕。
 逆に,敵が女性キャラでも「こいつ,強い……。本気でやらないとこちらがやられる……」と中二なモノローグを交えつつ,全力で応戦いたします。

 現実世界で考えてみましょう。例えばレスリングの吉田沙保里選手や浜口京子選手。めちゃくちゃ強いです。果てしなく強いです。僕らが男性だからといって,本気を出されたら一瞬でKOです。勝てるわけがない。
 しかし,強いからといってバラエティ番組に出たとき,彼女達に腹パンチをする芸人さんがいるでしょうか。平手打ちをかます芸人さんがいるでしょうか。
 一方,男子の格闘家などに対しては腹パンチや平手打ちなどの攻撃→まったく効かない→逆にやり返される→芸人卒倒→笑い,というパターンは鉄板,定石であるわけで。
 やはりいくら強かろうと「女性に手をあげてはいけない」という社会通念,そこからの「女性は弱いものだ」という大前提が存在するような気がするのです。
 おそらく吉田選手や浜口選手は,スポーツや格闘技経験があるわけでもない男性芸人に腹パンチをされたところで,きっと痛くも痒くもないぐらい鍛え上げているのでしょうけど,視聴者からすると見るに耐えない映像です。僕も想像しながら書いているだけで,嫌悪感が沸いてきました。

 では一方,ゲームにおいて女性キャラを攻撃することで,「女性に手をあげてはいけない」という社会通念から解放される喜びを,男性プレイヤーは感じているのでしょうか。僕は“否”だと考えます。
 ゲーム制作者側も「女性キャラ」ということで防御力を低くしたりといった若干のキャラ設定はしますが,逆に能力によっては男性キャラより高く設定されていたりと,基本は対等に台頭できるパワーバランスのものが多い印象があります。
 すなわち,ゲームの中において男女の能力差というものはほぼ存在せず,極めてイーブンなのです。プレイヤーも,相手が女性だからって手加減したらこちらがやられる。人間 vs. 人間の真っ向勝負だからこそ,罪悪感無しに攻撃ができるのではないでしょうか。


 なんだかジェンダー論のようになってきましたが,もう少しお付き合いを。よく「ゲームでの暴力的表現が,犯罪者を生む」なんて唱える有識者の方がいらっしゃいますが,僕はそう思いません。アニメやゲームが槍玉にあげられる風潮にも腹が立ちます。
 あらゆるメディアでそういった表現はあるのに,自分達にとって未知の世界であるアニメやゲームに責任をベッタリなすりつけるのは,身勝手そのものだし差別的ですらあります。
 ゲーム内で女性を殴る=DVを助長する,なんて論外でしょう。ゲームの中こそがジェンダーフリーで,女性を弱いものとして決め付けるというバイアスがなく,同じ土俵で闘う人間として認めているのです。
 ゲームで女性と闘うのは,現実世界での女性に関するいわゆる逆差別からのフラストレーションを解消するといった陳腐なことではなくて,平等がここにはある!

 まあ,何が言いたいかというと,ビキニアーマーは最強だ,ということです。

■■ヒャダイン(音楽クリエイター)■■
ヒャダイン氏は2014年4月3日から,NHK Eテレ「オトナへのトビラTV」(毎週木曜19:25〜19:54 ※再放送は毎週月曜24:25〜24:54)にレギュラー出演することが決定。さらに4月4日からは,日本テレビ「PON!」(10:25〜11:25)に毎週金曜日のレギュラーとして出演することになったとのこと。新年度もますます多方面での活躍を目にできそうです。
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