Qualcomm，全機種が64bit CPUを採用するSnapdragon 600および400シリーズの新製品を発表

　北米時間2015年2月18日，Qualcommは，同社製SoCであるSnapdragonシリーズの新製品として，「Snapdragon 620」「Snapdragon 618」，および「Snapdragon 425」「Snapdragon 415」の計4製品を発表した。全製品が64bit対応のCPUコアを採用するのに加えて，Snapdragon 620と618は，英国時間2月3日にARMが発表した64bit対応CPUコアCortex-A72をSnapdragonシリーズとしては初めて採用するのが特徴だ。機器メーカーに対するサンプル出荷はすでに開始されているとのことで，Snapdragon 620，618，425を搭載するデバイスは2015年後半に，Snapdragon 415を搭載するデバイスは2015年前半に登場の予定となっている。
　また同時に，Snapdragonブランドを冠したLTE対応モデムチップを提供することも発表された。


　SoC新製品のラインナップは表のとおり。


　Snapdragon 620と618は，Snapdragonシリーズではミドルクラスに位置付けられるSnapdragon 600シリーズの上位モデルとなるSoCだ。公開されているスペック情報を見る限り，Snapdragon 620と618の主な違いは搭載するCPUコア数にあるようで，Snapdragon 620はCortex-A72×4と「Cortex-A53」×4の計8コア，Snapdragon 618はCortex-A72×2とCortex-A53×2の計4コアとされている。
　また，両製品はGPUコアとして「次世代のAdreno GPU」を搭載するとされているのだが，こちらの詳細はまだ公開されていない。GPUコアとは別に，4K解像度で30fps，または1080pで120fpsでの動画撮影が可能なH.265対応のハードウェアエンコーダー・デコーダーも搭載するとのことだ。

　一方，低価格帯のスマートフォンを対象とするSnapdragon 425および415は，最大動作クロックが主な違いとなっている。CPUコアとしてCortex-A53を8基搭載するのに加えて，GPUコアとして既存の「Adreno 405」を採用するとのことだ。

　日本の大手携帯電話事業者が販売するスマートフォンは，Snapdragonシリーズではハイエンドに位置付けられるSnapdragon 800シリーズを採用する製品がほとんどなので，これらを採用する製品が登場してくるのかは未知数だ。しかし，ハイエンドだけでなくミドルクラスから低価格帯向けのSoCにまで，64bit ARMアーキテクチャ対応のCPUコアが搭載されたことで，Androidスマートフォンの64bit対応化は一気に加速することになりそうだ。

Qualcommによる当該プレスリリース（英語）

クアルコムは2月18日（米国時間）に、高性能ボリュームゾーンLTEスマートフォン向け次世代Snapdragon 620、618、425、415プロセッサーと、Snapdragon ブランドをモデムチップにも拡大した事を発表しました。

◆X12 LTE、X8 LTE、X5 LTE
Snapdragon ブランドをモデムチップにも拡大し、モデム性能によりクラス分けを導入
X12 LTE：ダウンリンク450Mbps・アップリンク100Mbps、ダウンリンク 3x20MHz・アップリンク 2x20MHzのキャリアアグリゲーション
X8 LTE：ダウンリンク300Mbps・アップリンク100Mbps、ダウンリンク/アップリンク 2x20MHzのキャリアアグリゲーション
X5 LTE：ダウンリンク150Mbps・アップリング50Mbps、ダウンリンク 2x10MHzのキャリアアグリゲーション（Snapdragon 415はキャリアアグリゲーション非対応）
Snapdragonブランドのモデムチップへの拡大及びクラス分けの導入により、2014年11月20日発表のモデムチップGobi 9x45はSnapdragon X12 LTEに改称
LTEモデムクラス詳細：https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/4g-lte-connectivity/comparison


◆Snapdragon 620および618プロセッサーの特徴
X8 LTEモデム搭載
CPU構成

• Snapdragon 620：クアッドARM Cortex-A72＋クアッドCortex-A53
• Snapdragon 618：デュアルARM Cortex-A72＋クアッドCortex-A53

Snapdragon 620および618搭載端末は2015年後半に発売される見込み。
Snapdragon 620詳細：https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/620
Snapdragon 618詳細：https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/618

◆Snapdragon 425プロセッサーの特徴
X8 LTEモデム搭載。
CPU構成

• 400シリーズ初のオクタコア：ARM Cortex-A53

Snapdragon 425搭載端末は2015年後半に発売される見込み
Snapdragon 425詳細：https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/425

◆Snapdragon 415プロセッサーの特徴
X5 LTEモデム搭載
CPU構成

• 400シリーズ初のオクタコア：ARM Cortex-A53

Snapdragon 415はサンプル出荷中で、2015年前半に搭載端末が発売される見込み
Snapdragon 415詳細：https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/415

◆Qualcomm Reference Design （QRD）
RF360フロントエンドソリューションをサポートするSnapdragon 620、618、425、415 Qualcomm Reference Design (QRD)をリリース予定
これまでにQRDにより1080機種以上の端末が21カ国で発売・発表済み

◆Snapdragonプロセッサー詳細チャート
https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/comparison

◆LTE モデムクラス説明ブログ
https://www.qualcomm.com/news/snapdragon/2015/02/18/introducing-snapdragon-lte-modems-and-modem-classes

◆プレスリリースリンク
https://www.qualcomm.com/news/releases/2015/02/18/qualcomm-introduces-next-generation-snapdragon-600-and-400-tier-processors