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AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も
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印刷2013/07/23 14:27

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AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

Radeon Sky 900サンプルカード
画像集#003のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も
 「Game Tools & Middleware Forum 2013」(以下,GTMF 2013)が,2013年7月19日に大阪,23日に東京で開催となった。これはその名のとおり,ミドルウェアやツールといったゲーム開発系のイベントなのだが,そこにAMDの日本法人である日本AMDが登場し,クラウドゲームシステム向けGPU「Radeon Sky」をアピールしていた。
 Radeon Sky自体は,3月の「Game Developers Conference 2013」で発表された製品で,概要もお伝え済みだが,いくつか新情報もあるので,あらためて情報を整理してみたい。

[GDC 2013]AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を発表。お久しぶりの「Ruby」もチラ見せ



GTMFで国内初披露となったRadeon Skyシリーズ


Radeon Sky 700サンプルカード
画像集#006のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も
 おさらいを兼ねてまず情報を整理しておくと,Radeon Skyは,「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャをベースとするGPUを搭載したグラフィックスカードだ。発表当初のラインナップは,Tahitiコア(≒Radeon HD 7900シリーズ)を2基搭載する「Radeon Sky 900」と,1基の「Radeon Sky 700」,そしてPitcairnコア(≒Radeon HD 7800シリーズ)を1基搭載する「Radeon Sky 500」の3モデル。いずれもクラウドゲームサーバー向けのため,ファンを持たない,パッシブクーリング仕様となっている。

Radeon Skyの主なスペック
画像集#004のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

 大きな特徴は,AMDのワークステーション向けグラフィックスカード「FirePro」と同じく,構成部品のレベルから管理され,AMDによって製造されていること。また,テクニカルサポートもワークステーションクラスとなるため,アプリケーションの問題があれば,顧客はAMDにドライバの修正まで依頼できる。

Radeon Skyの特徴。ちなみにライフサイクル3年というのは,「3年間は製品の出荷を保証する」という意味で,FireProの5年よりは少し短い。このあたりには“FirePro Sky”ではない影響が出ているといえそうだが,日本AMDは「相談に乗る」としているので,正規契約した場合には融通も利きそうだ
画像集#005のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

Radeon Sky 500サンプルカード
画像集#007のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も
 つまり,Radeonの名を冠していながらも,実質的にはほとんどFireProというわけだが,ではなぜ製品名は“FirePro Sky”ではなくRadeon Skyなのか。セッションで登壇した日本AMDの森本竜英氏によると,「そもそもゲーム用である」という大きな理由とは別に,価格をなるべくRadeonのそれに近づけるという計画があるため,この製品名を採用したのだそうだ。
 ちなみに,会場限定&本数限定で示されていた金額は,Radeon Sky 900で35万円(税込),Radeon Sky 700で20万円(税込),Radeon Sky 500で10万円(税込)と,残念ながらお世辞にもRadeonに近いとは言えないものだった。しかも通常価格は当然,これよりも(はるかに)高くなるはずなので,いよいよ「FireProよりちょっと安い程度」ということになりそうである。ただ,その点を突っ込んでみると,森本氏からは「いろいろ考えている」という回答が得られたので,将来的に,大きな動きがある可能性はあるのかもしれない。

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左から順に,Radeon Sky 900・700・500のカード背面。Radeon Sky 500あだけは背面がカバーで覆われておらず,SK Hynix製となるGDDR5メモリチップ「H5GQ1H24AFR-T2C」(5Gbps品)の搭載を確認できた
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やはり左から順にRadeon Sky 900・700・500の,こちらは補助電源コネクタ周辺。Radeon Sky 900は8ピン×2,Radeon Sky 700は8ピン×1,Radeon Sky 500は6ピン×1となる


サーバーサイドのCPU負荷ゼロを謳う「RapidFire」


 Radeon Skyでは,「簡単に,すぐに,どこでも使えること」がゲーマーから求められているという立場から,

  • 低レンテンシで,
  • 720p解像度で30fpsもしくは60fpsのストリームを,
  • 複数本同時にストリーム配信できる

ことに主眼が置かれており,これを実現するためのハードウェア(=Radeon Skyおよびその内蔵機能)とAMDが用意するAPIの組み合わせに「RapidFire Technology」(以下,RapidFire)という名前を与えている。サーバーサイドでは,GCNアーキテクチャのGPUコアがレンダリングした映像を,GPUに統合されたVCE(Video Compression Engine)でストリーム映像へエンコードし,ドライバソフトやRapidFireのAPIを介してシステムメモリへ置けるため,CPU負荷は実質的にゼロで済むというのがAMDのアピールだ。

RapidFireのキモとなる3要素。低レイテンシで,HD解像度の映像を複数流せるとしている。Radeon Sky 900の場合,VCEは720p解像度で30fpsの映像を最大6本同時にエンコードできるキャパシティがあり,解像度を下げて本数を増やしたり,本数を減らして解像度やフレームレートを上げたりという設定も行えるとのこと。なお,スライドには4要素めとして「Virtualization Enablement」も見えるが,これについては後述する
画像集#014のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

 一方のクライアント側は,UVD(Universal Video Decoder)搭載のAMD製APUやGPU搭載システムならCPU負荷なしでビデオをデコードできるほか,「ARMベースのタブレットでCPU処理をしようとすると非常に負荷が高くなるため,クライアントアプリケーションレベルで単体のビデオデコーダを使う実装になるだろう。AMD以外のプロセッサを搭載するPCでも,Windows 8のDXVA2に対応したシステムなら,CPUやGPUを用いたH.264のデコードアクセラレーションに対応するので,ハードウェア処理できるはず」(森本氏)とのことである。

RapidFireの概念図。スライドの左下に見える「HW H264 Encode」がVCE。スライドには「CPU H264 Encode」という文字も見て取れるが,「解像度は問わないから1サーバーで100人程度対応したい」といったときには,CPUリソースを使ってエンコードするソリューションを,AMDのパートナーであるCiiNowやOTOYが用意しているので,それを使えるという
画像集#015のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

 APIの話に合わせて「新情報」として紹介されたのが,対応OSだ。森本氏によれば,Windows 8・7およびWindows Server 2012・2008 R2,RedHat Enterprise 6.4,SUSE Enterprise Desktop 11 SP2,SUSE Enterprise Server 11 SP2,openSUSE 12.1,Ubuntu 12.1といったOSを広くサポート。グラフィックス系APIではDirectX 11.1とOpenGL 4.3,OpenCL 1.2がサポートされるという。
 面白いのは,Hyper-Vなどを用いた仮想化への対応が予定されていること。レイテンシが重要になるゲーム用途で仮想化というのはいまいちピンとこないのだが,ひょっとするとAMDはRadeon Skyで,競合の「NVIDIA GRID VGX」的なソリューションも,将来的にはサポートしようとしているのかもしれない。

対応OSと対応APIの一覧
画像集#016のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も

 ちなみに将来という話では,次世代のRadeon SkyがHSA(Heterogeneous System Architecture)をサポートすることも語られたので,付記しておきたい。


興味を持った企業はAMDに問い合わせるのが吉


森本竜英氏(日本AMD ジャパンセールス&マーケティング本部 マーケティングマネージャー)
画像集#002のサムネイル/AMD,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を国内初披露。対応OSなど新情報も
 GDC 2013における発表から数か月が経過し,現在,多くのゲームメーカーやサービスプロバイダが検証中だというRadeon Sky。日本でも大手ゲームメーカー2社とサービスプロバイダ1社がテストに入っているとのことだが,依然として正式採用を決めた企業はないそうで,セッション中にも森本氏は「AMDなら次世代ゲーム機とPC,そしてクラウドに対応するドライバを持っているので,ポーティングが楽だ」「ぜひ皆さんと一緒に育てていきたい」と,来場者に呼びかけていた。興味を持った企業関係者諸兄諸姉は,日本AMDにRadeon Skyのサンプルを請求してみてはどうだろうか。

AMD日本語公式Webページ

Game Tools & Middleware Forum 2013告知ページ

  • 関連タイトル:

    Radeon Pro,Radeon Instinct

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