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「Oculus Rift」の最終製品版「CV1」体験レポート。新ジャンル「VRストーリーテリング」で,Oculusはプレゼンスの最大化を目指す
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印刷2015/09/25 00:00

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「Oculus Rift」の最終製品版「CV1」体験レポート。新ジャンル「VRストーリーテリング」で,Oculusはプレゼンスの最大化を目指す

 仮想現実(以下,VR)対応のヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)「Rift」を開発しているOculus VRは,同社主催の開発者向けイベント「Oculus Connect 2」を,米カリフォルニア州ロサンゼルス市のLoews Hollywood Hotelにて,現地時間の2015年9月23日から25日まで開催中だ。

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ハリウッドの中心地にあるLoews Hollywood Hotel(ロウズ ハリウッド ホテル)にて開催中のOculus Connect 2。CEOのBrendan Iribe(ブランドン・イリベ)氏や,CTOのJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏らが登壇する基調講演は日本時間の9月25日2:00時から4時間にわたり,TwitchのOculus VR専用チャネルで生配信される予定だ

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 Oculus Connectは,VR関連エンジニアやデザイナーといった開発者向けのカンファレンスで,2014年9月開催の第1回に続いて,今回が2度目の開催となる。第1回では,Riftの第3世代試作機である「Crescent Bay」(クレセントベイ,開発コードネーム)が披露され,大きな話題となったことを覚えている人もいるだろう(関連記事)。

 開催中の第2回では,現地時間の9月24日に行われる基調講演に先駆けて,Riftの最終製品版こと「CV1」(開発コードネーム)と,同機を使った新たな映像デモが披露されたので,本稿ではその模様をお伝えしよう。
 なお,4Gamerでは,9月20日に閉幕した東京ゲームショウ2015のタイミングで,Riftの専用コントローラたる入力デバイス「Touch」体験レポートを掲載済みなので,そちらも合わせてチェックしてもらえれば幸いだ。


あらためてCV1をシゲシゲと眺めてみる


 CV1自体は6月の時点で発表済みだが,今回のイベントでは実際にCV1を手に取って見ることができたので,まずはその特徴をおさらい気味に紹介してみたい。

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 CV1とCrescent Bayとを比べた場合の大きな違いは,本体上面と側面,底面に配置される赤外線LEDを覆う部分が,布製になっている点だ。スピーカーグリルに使われるネット(サランネット)のような,ツルりとした感触の布が,本体の外部にぴっちりと張られた状態になっている。

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後頭部をサポートする三角形の部分も布で覆われている
 装着した場合に後頭部をサポートしつつ,(後頭部が接触する面に対して)外側に赤外線を備える“三角形の部分”も,やはり同様の布素材で覆われている。製品としての見栄えを製品レベルに引き上げつつ,軽量化を実現し,赤外線LEDの光を完全に遮らないようにするため,Oculus VRは布を選択したということだ。

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CV1の右底面(画像では向かって左)にあるのが,IPDを調整するためのスライダー。機械式のため破損する可能性もあるが,今のところ「これ以外の実装方法が見つかっていない」(Oculus VR)という
 また,CV1底面の右側(装着した状態で,ちょうど右手親指で操作できる位置)には,スライド式の調節バーが配置されている。これは,IPD(Interpupillary distance:瞳孔間距離)を調節するためのものだ。
 瞳孔間距離とは左右の目の間の距離のことだが,この距離を適切に調節しないと,頭と“被りモノ”のサイズ差以上に,その快適さに大きな影響をおよぼすという。そのため,左右のレンズを機械的に近づけたり離したりできる機構を設けることによって,目の前で映像をしっかり捉えられるようにしているというわけである。

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Riftを覆う布を外せば,内部のコンポーネントが丸見えになる。落下時の衝撃に弱そうな点が気がかりだが,Crescent Bayと比べるとはるかに軽量化されており,装着時の快適さは大きく向上した

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インタラクティブ要素ナシの新デモ映像「Henry」でプレゼンスを体感


 Oculus Connect 2では,東京ゲームショウ2015でも公開されていた「Toy Box」のデモを体験できるようになっていたが,体験コーナーには,さらに新しいデモが用意されていた。それが,10分ほどのVRムービー「Henry」だ。

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 Henryを制作したのは,Oculus VRの内部開発部門であるOculus Story Studios。Pixar Animation Studios(以下,Pixar)のクリエイティブディレクターとしてショートアニメ「The Blue Umbrella」を陣頭指揮した経験もあるSaschka Unseld(サシュカ・ウンセルド)氏や,PixarでテクニカルディレクターだったMaxwell Planck(マックスウェル・プランク)氏らに率いられる,Oculus VRの新スタジオだ。
 ゲームや3Dアニメ映画とは一線を画した,新しいジャンルの映像「VR Story Telling」(VRストーリーテリング)を専門に制作するため,2015年1月に発足したのだという。

 さて,Henryは,人懐っこいハリネズミの主人公・ヘンリーを主人公にした子供向けの短編アニメーションである。ヘンリーは自分の愛情を示すため森の住人達にハグしようとするが,そのたびにお腹のハリが相手を傷付けてしまうため,なかなか友達を作ることができない。自分の誕生会を開くものの誰も祝ってくれる友達はおらず,バースデーケーキの前に並んだアニマルバルーン達のダンスを夢想し始める……という内容になっている。


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 このショートフィルムにおいて,ヘンリーはこちらに向かって,目配せでバースデーケーキのあるちゃぶ台の前に座ることを指示したりしてくるので,体験者(※今回は筆者)は,招待に応じた友人の1人という設定のようだ。体験中,ホイップクリームの飛び散るシーンがあり,そこでは思わず避けようと体を仰け反らせるようなタイミングはあったが,基本的にはインタラクティブ性のない映像だ。

 Oculus VRの幹部や,欧米で活躍するVRコンテンツのデザイナーは,「プレゼンス」(存在感/実在感)という言葉を標語のように利用する。
 これは,仮想空間内に存在するオブジェクト(≒物体)が,あたかも実際にそこにあるかのように思わせる,仮想空間内での存在感のことだが,実のところこのプレゼンスは,(HMDを装着したことによって)耳の回りがむず痒くなったとか,映像のピントが少しズレていて気になるといった,身体レベルでの違和感や,テクスチャの粗さなどに代表される映像内のさまざまな要因によって,いともたやすく破壊されてしまう。

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VRストーリーテリングを体感できるHenryは,「Unreal Engine 4」で制作されている。インタラクティブ性は基本的になく,さらにボイスもないのだが,VRコンテンツの要(かなめ)となるプレゼンスが実現されている
 その観点でHenryについて語らせてもらうなら,Oculus VRの開発者達は,ハードウェアとソフトウェアの両面で,プレゼンスを念頭においたデザインを行っている。Henryの世界で,目の前にいるヘンリーがこちらに目を向けてくるたび,体験者はその世界に自分もいるのだという思いを強くしていく。結果,引き込まれ,その場にある物語世界のプレゼンスを強く感じることになるのだ。
 VR系コンテンツの宿命として,これ以上うまく説明するのが非常に困難なのが本当に申し訳ないのだが,「そこそこ長いデモだったな。5分くらいか」と思ったら,実際にはその倍,10分にもおよぶ映像だったと聞いて驚いたほど,筆者はHenryの世界に没入していた,と書けば,そのすごさの一端は感じてもらえるのではなかろうか。

 Henryは,2016年第1四半期,CV1の出荷に合わせて,体験できるようになる見込みである。

ちなみにこちらはRiftの専用コントローラたるTouch。人差し指と中指で内部のトリガーを引くことで,モノを掴んでいるような体験ができる。Toy Boxで体験できたスリングショット(いわゆるパチンコ)もナチュラルに操作できた
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オンラインでつながったホログラフの係員と共に体験できるToy Boxを,1人で黙々と楽しんでいたOculus VRのスタッフ

「Rift」公式情報ページ(英語)

「Oculus Connect 2」公式情報ページ(英語)

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