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「Overwatch」におけるヒーローの開発秘話が語られた講演をレポート。アナの“60歳の凄腕スナイパー”という設定は「マッドマックス」の影響も
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印刷2017/04/26 14:21

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「Overwatch」におけるヒーローの開発秘話が語られた講演をレポート。アナの“60歳の凄腕スナイパー”という設定は「マッドマックス」の影響も

 ネクソングループが主催するゲーム開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 17」(以下,NDC 17)の初日となる2017年4月25日,Blizzard Enteretainmentのチーム対戦型FPS「Overwatch」PC / PS4 / Xbox One)に関する講演が行われた。

 講演を行ったのは,同作でテクニカルアーティストを務めるイ・ハクソン氏である。ヒーローの制作プロセスや,氏が主に担当するグラフィックス周りの苦労話などが,“アナ”の実例とともに語られたので,その内容を紹介しよう。

登壇しているのがBlizzard Entertainment テクニカルアーティストのイ・ハクソン氏
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60歳の凄腕スナイパー「アナ・アマリ」を例に,ヒーロー開発のプロセスが紹介


本公演はNDC 17でもっとも大きな会場で行われたが,席に座れない人が続出するほどの大賑わい。韓国における同社の人気の高さをあらためて感じさせられた
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 イ・ハクソン氏がBlizzardに入社したのは,Overwatchがローンチする約1年前だったという。基本ヒーローに関しては,イ氏が入社した時点ですでに開発作業がほぼ終わっていたとのことだ。しかしアナに関しては,開発の初期段階から直接携わることができ,それだけにもっとも愛着のあるヒーローだという。

 そんなアナをあらためて紹介しておこう。彼女は,Overwatchの正式サービス開始後,初の追加ヒーローとして登場したキャラクターだ。遠距離サポート型のロールで,60歳にして凄腕のスナイパーかつファラの母親であり,性能以外にもユニークな設定が散りばめられているのは,プレイヤーならばよく知っているだろう。

 イ氏によると,(アナに限らず)同社が新たなヒーローを開発するときは,大別して以下の3種類のアプローチ方法があるとのこと。

【1】デザイナーが描いたコンセプトアートを見て,そこからゲームデザインやストーリーを加味していくアプローチ。例)ザリア,ウィンストン,メイ,ロードホッグ

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【2】現在のゲームバランスを改善させるために,追加ヒーローの能力やシステムなどを考えるアプローチ。例)ファラ,バスティオン,ジャンクラット

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【3】Overwatchに元からあるストーリーから掘り下げていくアプローチ。例)ソルジャー76,マーシー,リーパー

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 そして今回のアナの場合は【2】と【3】の複合だったそうだ。当時のサポートキャラクターは,マーシー,ルシオ,ゼニヤッタ,シンメトラの4人だったが,開発チームとしては,それらと異なる「遠距離から単体のキャラをサポートできる」ヒーローが欲しかったとのこと。
 そこで,このコンセプトをもとに“科学者”をモチーフにしたヒーローを開発していたのだが,途中で大きく方向転換し,最終的にアナが誕生したそうだ。ちなみに,現在のアナが使用している“ナノ・ブースト”は,開発初期の科学者の名残なのだとか。

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 【3】のアプローチについては,オーバーウォッチの初期メンバーかつファラの母親という設定を知っていればすんなり理解できるだろう。そして60歳にして最強のスナイパーという設定だが,同社の開発責任者に直接聞いたところ,当時ヒットしていた映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」に登場するライフルを持ったお婆さん(おそらくKeeper of the Seeds)からインスパイアされたそうだ。

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 次にグラフィックス周りについて。アナは裾の長いコートを着ているため,狙撃時などにしゃがんだりすると,裾がコリジョン(衝突)を起こしやすかったそうだ。これを回避するためにエンジニアやアーティストたちとやりとりを行ったり,キャラクターモデルの適切な場所にリグ(関節のようなもの)を埋め込んだりと大変だったという。
 また,正式サービス開始後のヒーローということで,複数のスキンを並行して開発せねばならず,これも苦労したとのこと。

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アナは右利きかつ,ウィドウメイカーとの戦いで右目が盲目となっているが,そんな彼女がスナイパーライフルを構えるならば,こういった持ち方や角度になるのが当然である。ちなみにイ氏は兵役を経験しており,そのときは射撃の教官も務めていたそうだ
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多岐にわたる知識が求められる同社のテクニカルアーティスト


 本公演では“テクニカルアート”という業務についても紹介された。組織によってさまざまな解釈があるとのことだが,同社においては,テクニック(技術)とアート(芸術)に対する深い造詣に加え,双方を融合させる柔軟な思考が求められるとのこと。さらにはゲーム開発全体の知識や,作業しやすい環境作り,そしてスタッフ間のコミュニケーションを取り持つことなど,多岐にわたるスキルが求められるようだ。

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同チームによって膨大な量のキャラクターやスキンが作り出されている。今回の講演を聞く限り,イ氏の業務はグラフィックス周りの業務の統括といったところか
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キャラクターモデルの作成担当者によって作られた,棒立ち状態で動かすことはできないモデル(左画像)。このモデルの要所にリグを埋め込み,まるでアクションフィギュアのように仕上げていくのも,テクニカルアーティストの業務だそうだ。これに関してはBlizzardのシニアアニメーター David Gibson氏が作成した解説動画が公開されている
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 イ氏はOverwatchにおけるアートの主な特徴として,「Diversity/Hopeful Future/Dynamic/Hand Crafted」の4つを挙げていた。そのうえで,「私たちが住みたいと思う近未来の地球」をゲーム内で実現したい,と語っていたのが印象的であった。

 駆け足で紹介すると「Diversity」は,多様性に富んだヒーローを登場させ,誰でもお気に入りのヒーローを見つけられるようにする。「Hopeful Future」は,希望に満ちた明るい世界の実現で,Blizzardの従来シリーズ作とは大きく違っている。「Dynamic」は,Play of the Gameに代表されるような,躍動感溢れるキャラの実現。最後の「Hand Crafted」は,手作業の味わいを感じられるアートで,その例としてトールビョーンを挙げていた。

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 つまり,プレイヤーにとって思わず守りたくなる世界を作り出すことで,世界を守るヒーロー達に感情移入しやすくするという狙いがあったようだが,本作の経験者であれば頷ける話ではないだろうか。もちろん,世界中のプレイヤーにそのように感じてもらうためには,さまざまな価値観やスタッフを受け入れ,そしてそれらをまとめあげる氏のような業務も必要不可欠なはずだ。

 Overwatchは,世界中から集まったヒーローが平和を守る物語である。そしてそんなOverwatchのゲーム開発も,世界中から集まったスタッフによって行われているとイ氏は最後に語り,大盛況となった講演は締めくくられた。

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