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ハロー!Steam広場 第84回:目線が低いとせせらぎもバカにできない。折り紙ボートレースをテーマにした「My Paper Boat」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,「デベロッパを応援したいから!」と言いながら重課金戦士へと変貌を遂げていく上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第84回は,小川遊びの定番ともいえる“折り紙ボート”を題材にした「My Paper Boat」をメインに紹介しよう。折り紙ボートの低い目線だと,小さな障害もスケールアップされるため,せせらぎといっても迫力満点だ。このほか,奇怪なバグが大量に残されたゲームの秘密に迫るホラーゲーム「CALENDULA」もあるので,お見逃しなく。
折り紙ボートの目線で川を下るレースゲーム「My Paper Boat」
今回はドイツのゲームデベロッパ,TML-Studiosが手掛ける「My Paper Boat」を紹介しよう。
本作は,川遊びの定番ともいえる“折り紙ボート”を題材にしたレースゲームだ。紙ではなく笹などの葉っぱを利用していた人もいると思うが,本作ではそんなミニスケールの折り紙ボートレースを,最新のゲームエンジンであるUnreal Engine 4を使ってリッチに再現しているのがポイント。
また,現実の視点なら折り紙ボートレースは斜め上から船を見下ろす形になると思うが,本作ではカメラの視点が船の後方にあるので,人の目線から見れば大したことなさそうな程度の川の流れが,折り紙ボートから見れば激流であり,50cm程度の段差になると,もはや滝であることが分かる。
ゲームモードは,コース上にあるコインを集めながらゴールを目指す「Collect」,チェックポイントを通過しながら時間制限内にゴールを目指す「Rally」,コース上に現れる的を大砲で撃ち落としながらゴールを目指す「Aim」の3種類が用意されている。どれも,自己記録を更新していくタイプになっており,ボートレースといってもほかの船と競争するような要素はない。
操作方法は,[W]キーでスピードアップ,[S]キーでブレーキ,[A][D]キーで旋回となっており,とくに難しい操作は要求されない。ただ,船には耐久力があり,障害物にぶつかりすぎるとクシャクシャになって沈んでしまうので,障害物を避けるための細かいキー操作は必要だ。
また「Aim」モードでは,左クリックで大砲を撃つという操作が加わる。左クリックを押したままマウスを動かすと距離の調整ができるので,慣れてくると船を進めながら流れるように的を粉々にできる。個人的にはこのモードが一番ゲームっぽさが出ていて楽しい。
コースは全部で15種類あり,公園だったり渓谷だったり洞窟だったりとバリエーションも豊富で,BGMが環境音のみというのも雰囲気が出ていて良い感じだ。
ただ,最初にプレイすることになる公園に限っては,雰囲気を重視しすぎたためか,水草や浮き草でコースのラインが見づらくなっており,初めてのコースと考えると不親切な印象を受けた。この次に続く渓谷や洞窟のクオリティが高いだけに,非常にもったいない。
ちなみに本作は,折り紙から船を作るといった要素はないものの,ゲームの進行度に応じて船を飾り付けるパーツがアンロックされていくので,ドクロの帆をつけたり,望遠鏡を取り付けたりと,自分好みに船をデザインすることが可能だ。
ほかの船と競い合うようなモードがないため,ちょっと物足りなく感じるところもあるが,折り紙ボートの目線だからこそ分かる自然の迫力というものが本作にはあるので,子供のころ折り紙ボートや笹舟でよく遊んだという人は,ぜひ本作でも遊んでみてほしい。
「My Paper Boat」Steamページ(980円)
奇怪なバグが大量に残されたホラーゲーム「CALENDULA」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回は,スペインのインディーズ系デベロッパ,Blooming Buds Studioが手掛ける「CALENDULA」を紹介しよう。
本作は,「CALENDULA」と呼ばれるゲームの秘密を解き明かしていくホラーゲームだ。主人公はプレイヤー自身であり,ゲーム起動後のメニュー画面の段階から,すでに謎解きが始まっているという,一風変わった作品になっている。
メニュー画面には「PLAY」や「CONFIGURATION」といった,ほかのゲームでもよく目にする項目が並んでいるが,PLAYを押すとゲームが始まるというわけでもなく(そもそもすでに始まっている),CONFIGURATIONを選択してゲーム設定を変えても,それが反映されることはない。
ただ,注意深く画面を見ていると何かがおかしいことに気付かされる……といった感じで,本作は無数に散りばめられたバグ(=フラグ)を潰していき,少しずつ変化していくゲーム画面から謎を解き明かしていくインタラクティブなゲームプレイになっているようだ。
全体的に赤を基調としたゲームビジュアルは,David Lynch監督の代表作であるTwin PeaksのRed Room(赤い部屋)をオマージュしたもので,見ている者の不安を掻き立てる不気味な雰囲気がしっかりと伝わってくる。
不可解なバグが次々と発生する本作だが,GREENLIGHTの紹介ページでもその片鱗を見ることができ,相当世界観にこだわりを持っていることがわかる。余談だが,筆者がその昔プレイしてトラウマを抱えたFlashゲーム「こ〜こはど〜この箱庭じゃ?」※に似たものを感じる。
※今でも遊べるようだが,検索しないことを強くお勧めする。
GREENLIGHTを通過すれば,2016年春にリリースされる予定なので,この手のホラーゲームが好きな人は“いいね”を押しておこう。
「CALENDULA」GREENLIGHTページ
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