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ハロー!Steam広場 第163回:グッバイSAN値。「狂気の山脈にて」をベースにしたオリジナルストーリーが展開されるホラーゲーム「Conarium」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,ネクロノミコンが枕元にないと安眠できない上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第163回は,H.P. ラヴクラフトの小説「狂気の山脈にて」にインスパイアされたホラーアドベンチャー「Conarium」を紹介しよう。本作では,原作をベースにしたオリジナルのストーリーが展開される。英語をガッツリ読ませる,かなり人を選ぶアドベンチャーゲームだが,「狂気の山脈にて」が好きならばチェックしておくべき作品だ。
※お知らせ:来週(2017年7月18日)のハロー!Steam広場は,筆者取材のため休載いたします。次回更新は7月25日となりますので,ご了承ください。
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「狂気の山脈にて」にインスパイアされたホラーアドベンチャー「Conarium」
今回は,Zoetrope Interactiveが手掛けるホラーアドベンチャー「Conarium」を紹介しよう。同社は,クトゥルフ神話を題材にした「Darkness Within」シリーズを手掛けており,「Conarium」もまたクトゥルフ神話を題材にしたゲームとなる。
クトゥルフ神話といってもさまざまな物語があるわけだが,本作ではH.P. ラヴクラフトの小説「Mountains of Madness(邦題:狂気の山脈にて)」の世界観をベースに,オリジナルのストーリーが展開される。プレイヤーは,廃墟となった南極の基地“UPUAUT”で目覚めた1人の研究者Frank Gilmanとなり,基地で何が起きたのかを調べていくのだ。
ゲームは探索と謎解きがメインになっており,アクションを要求するシーンはほとんどない。その代わり,親切なナビゲートもなければ一緒に探索をしてくれる仲間も存在しないため,プレイヤーは懐中電灯を片手に薄暗い基地内を1人で歩き回ることになる。
また,不気味な雰囲気をさらに増幅させるBGMや,ときおり空間に響き渡る謎の金属音など,視覚に加えて音でもプレイヤーのSAN値をゴリゴリと削ってくる。
特別,ホラーアドベンチャーとして優れたところがあるわけではないが,やはりクトゥルフものなだけあって,知っている人ならニヤリとできるイースター・エッグがあちこちに散りばめられており,それらを見つけていくのが1つの楽しみになっている。
またストーリーの中にも,ときおり「狂気の山脈にて」とリンクする部分があるので,原作を読破しているプレイヤーであれば,いろいろと考察できるシーンも多いだろう。
本作はいわゆる“ラヴクラフティアンゲーム”なわけだが,ラヴクラフトファンとして興味をそそられるのは,やはりストーリーだ。このゲームで描かれるのは,「狂気の山脈にて」のあとに起きた出来事であり,原作とは異なる視点で南極での狂気が綴られていく。
また本作を手掛けるのが,「Darkness Within」でラブクラフトファンの心を掴んだZoetrope Interactiveというのもあって,一定のクオリティが保証されているのも大きい。
もっとも,本作は英語をガッツリ読ませるタイプのゲームなので,物語を含めて余すことなく楽しみたいのであれば,辞書を片手にプレイを続けるくらいの根気が必要になるだろう。それでも,クトゥルフ神話,とくに「狂気の山脈にて」が好きな人であれば,それだけの価値はある。
「Conarium」Steamストア(1980円)
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