ハロー！Steam広場 第270回：デスクトップで盆栽を育てるシミュレーションゲーム「Tree Bonsai」

「すちーむ」ってなぁに？というよい子のみんな集まれー！　「ハロー！ Steam広場」は，PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを，筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する，とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば，シミュレーションゲームをプレイするとすぐに影響されてリアルでも始める上級Steamerにジョブチェンジできるかも。

　ハロー！Steam広場 第270回は，盆栽シミュレーションゲーム「Tree Bonsai」を紹介しよう。プレイヤーはめぐる季節の中で梅の木が成長している間に，枝を切り，栄養素を与え，接ぎ木をして造形していく。 表情がコロコロ変わる梅の木をデスクトップ上で楽しめるという，心癒される作品だ。

4Gamer公式キュレーター

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めぐる季節を感じながら梅の木を育てていく盆栽シミュレーション「Tree Bonsai」

　今回は，海外のインディーズゲーム開発者PanGuoJun氏が手掛ける「Tree Bonsai」を紹介しよう。盆栽を英訳するなら「Bonsai」でいいと思うが，なぜわざわざTreeを付けているのか。気になって調べてみたら海外では作品が「Bonsai Tree」と呼ばれることもあるらしい。ただ，Steamには「Bonsai」というゲームがすでにあり，そことの被りを避けたという説が濃厚である。


　本作は，第48回で紹介した「Mountain」と同じ雰囲気をまとう盆栽シミュレーションゲームだ。梅の木の成長を見て楽しむのがメインとなるが，枝を剪定（せんてい）したり，栄養剤を与えたり，接ぎ木したりと，プレイヤーが干渉できる部分もある。
　リアルの盆栽は長い年月をかけてゆったりと楽しむものだが，本作は現実よりも時間の流れが早いので，短時間でにょきにょきと枝が伸び，表情もコロコロと変わるのだ。

このゲームをウィンドウモードで起動し，デスクトップの端っこに置いておけば，いつでも四季の流れを感じられるだろう

　梅の木は独自のアルゴリズムに基づいて成長しており，季節の移り変わりに合わせて姿形が変わっていく。雪の降る冬に発芽し，小鳥がさえずる春に花を咲かせ，セミが鳴く夏に枯れ，鈴虫が唄う秋に実を作るのだ。
　そんな様子をただ鑑賞しているだけでも心癒されるものがあるが，せっかくの盆栽シムなのだから，自分で手を加えていきたいところ。不格好な枝はハサミで剪定し，いい場所に芽が出たら栄養剤を与えて伸ばしていくのだ。高度な技術と知識を要する接ぎ木も，本作なら1クリックで出来てしまう。

最初の一年は剪定できない。盆栽の基礎をなす枝がどのように成長していくのか観察しよう

栄養剤を与えた分だけ枝は太くなっていく

　ただし，栄養剤や接ぎ木をするには実が必要になる。秋になると収穫できる実はいろいろな形をしており，水滴型であれば栄養剤に，ひょうたん型であれば接ぎ木に使うためのリソースとなるわけだ。まれに悪魔の実が成ることもあり，これを使うと植木鉢の形がランダムに変化する。これが本作で唯一のゲームらしい要素といえるだろう。

実を発見したら冬を越す前に収穫しておこう

　盆栽というテーマで一貫したゲーム性になっているので，あまり多くを語れる作品ではないが，成長をうまくコントロールして自分が思い描く世界を造形していく盆栽の醍醐味はしっかりと味わえる。筆者は梅の木の育て方に関するサイトを見ながらプレイしていたのだが，そこで得た知識もちゃんと活かされていたと思うので，シミュレートの精度はそれなりにあると考えて良さそうだ。盆栽の知識がなくても「デスクトップテラリウム」感覚で楽しめるので，興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。