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ハロー!Steam広場 第289回:死にたくなければ笑え。狂気のディストピアからの脱出を目指すホラーADV「My Beautiful Paper Smile」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,オススメのゲームをやり尽くし,いよいよエッチなゲームがオススメに出てきてしまう上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第289回は,「My Beautiful Paper Smile」を紹介しよう。本作は,狂気の王様により笑顔を強要された王国を舞台とするホラーアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは主人公の子供を操作して,笑顔を訓練するための施設からの脱出を目指す。手描き風のグラフィックスが描く陰鬱な世界観とストーリーが見どころの作品だ。
4Gamer公式キュレーター
死にたくなければ笑え。狂気のディストピアからの脱出を目指すホラーADV「My Beautiful Paper Smile」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はオーストリアのインディーズ系デベロッパ,Two Star Gamesが手掛ける「My Beautiful Paper Smile」を紹介しよう。
本作は,「子供達が完璧であること」を望む王が統治する国家を舞台としたホラーアドベンチャーゲームだ。彼の言う完璧とは「笑顔の絶えない人間」であること。この言葉だけを聞くと素敵な王国のようにも思えるが,王はこの理想を実現するため,笑顔を訓練する施設を作り,そこに子供達を収監しているのだ。
その施設で子供達は「笑顔のマスク」を装着され,心から笑顔でいるか確認するためのテストを毎日受けさせられている。この施設で涙を見せた子供は,“特別な部屋”に連れていかれ,それ以降二度と姿を見ることはない。
ほとんどの子供達は感情をコントロールされ,ただただテストを繰り返す日々を送っていたが,その中で主人公は,ある出来事をきっかけに施設からの脱出を決意することになる――。
本作はストーリーベースの作品であり,全4章にわたってこの狂気のディストピアが描かれていく。現時点で実装されているのは2章までで,3〜4時間ほどでクリアできるボリュームとなっており,看守に見つからないよう身を潜めたり,化け物から全力で逃げたりしながら,物語を進めていくのだ。
本作の特徴は手描き風のグラフィックスにある。黒い線で表現された世界はとても陰鬱に感じ,心から笑顔であること以外,何の感情も必要ないとする,本作のディストピアな世界観をうまく引き出している。
キャラクターや背景も,ホラー映画などで「子供が描いた不気味な絵」を想起させるデザインで,何か不安に駆られるものがある。
手描き風のグラフィックスも手伝ってか,一見すると二次元的に感じる本作だが,ゲーム的には奥行きが存在するので,プレイヤーの行動範囲はけっこう広めだ。移動は[W/A/S/D]キーで行い,気になる場所はクリックで調べるといった感じで進めていくので,操作面で詰まることはないだろう。
このゲームを攻略するうえで重要になるのは「Life」の存在だ。これはヒットポイントではなくアイテムの1つで,身に着けている間は暗闇から身を守れる。これを外すと徐々に画面が暗くなっていき,最終的には闇に飲まれてゲームオーバーとなるわけだ。
一方で,Lifeを外している間は施設内の監視カメラに察知されなくなるので,ステルスが必要な場面では外しておくと安心できる。2章までの範囲ではステルスを必要とするシーンが多めなので,どうしても突破できないという時は外してしまうのも1つの手だ。
前述したとおり,本作は全4章での構成が計画されており,現在は施設からの脱出を目指す1章と,友人を探しに行く2章が楽しめる。2020年12月中にはフルリリースされる予定となっているが,価格は若干高くなるとのことなので,世界観や雰囲気に惹かれたなら今のうちに購入してプレイし,新しいエピソードの配信を待とう。
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