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「そうだ アニメ,見よう」第24回は「劇場版総集編 オーバーロード」。骸骨の姿をしたダークヒーローが異世界を蹂躙する
春休みを目前にひかえ,新作アニメ映画が続々と公開される。ディズニー最新作「モアナと伝説の海」(3月10日公開)や,「攻殻機動隊」を手がけた神山健治監督の「ひるね姫〜知らないワタシの物語〜」(3月18日公開)など,話題作が目白押しだ。
さて,第24回となる今回のタイトルは「劇場版総集編 オーバーロード」。原作は丸山くがね氏の同名ライトノベルで,2015年7月にTVアニメとして放送された「オーバーロード」の総集編となる。劇場版は,前後編の2部構成で上映され,前編「不死者の王」は2017年2月25日から,後編「漆黒の英雄」は3月11日から全国での公開がスタートしている。
制作は,TVアニメ版と同じマッドハウス,監督は伊藤尚往氏が務めている。
「劇場版総集編 オーバーロード」
ところが,終了時刻を過ぎても強制ログアウトは起こらず,戸惑うモモンガ。やがて,NPC達が意思を持って動き始め,自身もゲームの中のキャラクターとなってしまったことに気付く。
地上に出たモモンガは,見たこともない異世界を前に,自分がナザリックごと別の世界に転移したのだと悟る。自分以外にも,この世界に飛ばされたプレイヤーがいるかもしれないと考えたモモンガは,“アインズ・ウール・ゴウン”と名を変え,ナザリックの階層守護者やその部下達を率いて暗躍を開始。自分達の持つ力が,この世界ではあまりにも強大であることに気付きながらも,慎重にその勢力を拡大し始めるのだった。
タイトルのオーバーロードとは主人公の種族名。最上位のアンデッドのことだ |
主人公が,骸骨の姿をしたモンスターで,周りを固める部下・階層守護者もサキュバスのアルベド(CV:原 由実)や,悪魔のデミウルゴス(CV:加藤将之),ヴァンパイアのシャルティア(CV:上坂すみれ)など,やはり異形の者ばかり。どう見ても魔王とその部下達といった趣の主人公達が,世界征服にまい進するという,とんでもない物語が本作「オーバーロード」なのだ。
しかしながら,アインズの中の人である鈴木 悟は,もともと冴えないサラリーマンなので,そのメンタルは小市民的なもの。どういうわけか,世界征服を始めてしまった部下を止めることもできずに右往左往する。彼らになめられまいと,魔王のように振舞うアインズの建前と内心のギャップが,本作の魅力のひとつとなる。
守護者統括のアルベドは,キャラ設定を書き換えられたことでモモンガにご執心 |
圧倒的な力を持つダークヒーロー“アインズ”
アインズが転移したのは,ゲーム《ユグドラシル》と似た世界観を持ち,魔法が存在する異世界。この世界では,レベル100のアインズと階層守護者達の力は圧倒的で,ほとんど苦戦することもない。物語序盤で,カルネ村を襲ったスレイン法国の特殊部隊「陽光聖典」は,天使を召喚できる強敵だったが,アインズには傷ひとつ付けることができなかった。
力を持つものへの憧れ,非道を繰り返す悪人への鉄槌という,分かりやすいカタルシスを本作では存分に味わせてくれる。決して“正義”を振り回すわけではなく,自分に歯向かうものには容赦しない,アインズのダークヒーロー然とした振る舞いが,非常にカッコイイ。
強大な力を持つアインズ。歯向かうものに容赦なくその力は振るわれる |
本来のアインズは強力な魔法詠唱者だが,戦士として振舞うエピソードも登場する。情報を得るために姿を偽り,黒い甲冑に身を包んだ冒険者「モモン」として,街に潜入するくだりがそれだ。
モモンでの戦闘シーンは,2本の大剣を振り回してのダイナミックなもの。アクションに定評のある伊藤尚往氏は,魔法と剣,どちらもCGを駆使したメリハリのある演出で表現。ファンタジーならではの派手な戦闘を盛り上げていた。
戦士としても一流のアインズ。双剣を振るって戦う |
6人の美女達で構成される「プレアデス」に注目
階層守護者のほかに,アインズの配下として戦闘力を持ったメイド「プレアデス」が登場する。プレアデスは階層守護者に比べれば戦闘力は落ちるが,メンバー6人がすべて美女。じつは中身がデュラハンやスライム,ドッペルゲンガーだったりするのだが,それでも彼女達に話題が集まるのは当然なのかも。
個性的な美女揃いのプレアデス。見た目に騙されると恐ろしい目に… |
本編中での出番はそれほどでもない彼女達だが,ミニアニメ「ぷれぷれぷれあです」ではSDキャラとなった6人の魅力が存分に味わえる。TVアニメ放送中に8話作られた「ぷれぷれぷれあです」は,アインズとプレアデスの面々のやり取りをコミカルに描いたもの。原作第11巻には,特別編として30分バージョンのDVD「ぷれぷれぷれあです なざりっく最大の危機」が付属している。
劇場版では,新作「ぷれぷれぷれあです 魔獣の恋」(前編)と「ぷれぷれぷれあです 自動人形と猫」(後編)が同時上映される。どちらも完全新作のストーリーとなっているので,ぷれぷれファンは見逃さないように。
ナーベはモモンに付き従う |
コミカルな展開の「ぷれぷれぷれあです」 |
劇場版の主題歌はTVアニメ版でお馴染みの
OxTとMYTH&ROID
劇場版の主題歌は,TVアニメ版のオープニング&エンディングテーマを歌ったOxTとMYTH&ROIDが担当している。前編はMYTH&ROIDの「Crazy Scary Holy Fantasy」で,後編はOxTの「Laughter Slaughter」だ。どちらもハードなロック調の楽曲で,本作の世界観を盛り上げている。
MYTH&ROIDは,ほかにも「幼女戦記」や「Re:ゼロから始める異世界生活」などを手がけた,今アニソン界で注目のユニット。そんな彼らの1stアルバム「eYe's」が,4月26日にリリースされることが決定している。前述の「Crazy Scary Holy Fantasy」も収録されているので,こちらも合わせてチェックしておこう。
なお,劇場版後編の入場者プレゼントとして,「上坂すみれ(シャルティア役)複製サイン入りポートレイト」が配布されている。特典は先着順で,予定数量に達し次第終了となるので,早めに劇場へ足を運ぶことをオススメする。
「劇場版総集編 オーバーロード」公式サイト
公開情報 |
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前編「不死者の王」2月25日から,後編「漆黒の英雄」は3月11日スタート |
キャスト | |
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モモンガ/アインズ:日野 聡 | アルベド:原 由実 |
シャルティア・ブラッドフォールン:上坂すみれ | アウラ・ベラ・フィオーラ:加藤英美里 |
マーレ・ベロ・フィオーレ:内山夕実 | デミウルゴス:加藤将之 |
コキュートス:三宅健太 | セバス・チャン:千葉 繁 |
ナーベラル・ガンマ:沼倉愛美 | ユリ・アルファ:五十嵐裕美 |
ガゼフ:白熊寛嗣 | ニグン:子安武人 |
エンリ:M・A・O | ハムスケ:渡辺明乃 |
ンフィーレア:村瀬 歩 | リイジー:谷 育子 |
ブリタ:ゆきのさつき | クレマンティーヌ:悠木 碧 |
カジット:稲葉 実 | ペテル:興津和幸 |
ルクルット:花江夏樹 | ニニャ:田村陸心 |
ダイン:竹内良太 |
スタッフ |
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原作:丸山くがね(「オーバーロード」/KADOKAWA刊) |
キャラクター原案:so-bin |
監督:伊藤尚往 |
シリーズ構成・脚本:菅原雪絵 |
キャラクターデザイン・総作画監督:吉松孝博 |
サブキャラクターデザイン・モンスターデザイン・プロップデザイン:出雲重機,前原桃子 |
美術監督:池田繁美,丸山由紀子(アトリエ・ムサ) |
美術設定:池田繁美,大久保修一,友野加世子(アトリエ・ムサ) |
色彩設計:野口幸恵 |
3D監督:籔田修平 |
撮影監督:川下裕樹 |
編集:木村佳史子 |
音響監督:郷文裕貴 |
音響制作:grooove |
音楽:片山修志(Team-MAX) |
音楽制作:KADOKAWA |
アニメーション制作:マッドハウス |
製作:オーバーロード製作委員会 |
主題歌: 前編「Crazy Scary Holy Fantasy」(MYTH&ROID) 後編「Laughter Slaughter」(OxT) |
権利表記:(C)丸山くがね・KADOKAWA刊/オーバーロード製作委員会 |
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