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「そうだ アニメ,見よう」第79回は「賢者の孫」。規格外な少年が巻き起こす“なろう発”の異世界ファンタジーライフ
規格外の能力を持ちながら,“常識”知らずに育ってしまった少年の活躍を描く,吉岡 剛氏原作の異世界ファンタジー「賢者の孫」。小説投稿サイト「小説家になろう」で発表されたのち,ファミ通文庫よりライトノベルとして刊行され(既刊/本編9巻,外伝3巻),その人気を受けてヤングエースUP(KADOKAWA)でコミック化もされている話題の作品だ。
というわけで,GWを挟んで久々の「そうだ アニメ,見よう」第79回のタイトルは,同作をアニメ化した「賢者の孫」。アニメーション制作はSILVER LINK.,シリーズ構成を髙橋龍也氏,「アンジュ・ヴィエルジュ」や「つうかあ」の田村正文氏が監督を務めている。
「賢者の孫」
マーリンの教えを受け,規格外の能力を持つ魔法使いとなったシンは,その友人のメリダ(CV:高島雅羅)に魔道具の知識を,ミッシェルおじさん(CV:川原慶久)に剣の技術も叩き込まれ,すくすくと育っていった。
シンの15歳の誕生日,メリダをはじめとしたマーリンの友人一同は,シンが森を出て買い物すらしたことのない,世間知らずの少年に育ってしまっていると知らされる。
「あ,常識教えるの忘れとった!」
さらに,その異常ともいえる魔法の力を披露された一同は,王国アールスハイド高等魔法学院へ通うようシンに勧めた。各国の軍事バランスさえ崩しかねないシンの争奪戦を防ぐためと,一般常識を学ぶための措置だったが,シンはこれを快諾。マーリンらと王都へ引越し,学園に通い始めるのだった。
本作は,いわゆる“転生モノ”に当たる作品となるのだが,その要素は薄く,どちらかというと,主人公シンと周囲の意識のズレ=ギャップをメインに描いている。勇者と呼ばれた魔法使いに育てられ,さまざまな能力を獲得したシンが,それを普通だと勘違いしたまま,力を振るう。そこで巻き起こる騒動がなんとも楽しい作品なのだ。
アニメ化される以前から,その設定が話題を呼び,トラブルを起こしたときのシンのセリフ「また俺何かやっちゃいました?」がSNSなどで拡散されていたので,タイトルぐらいは聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。
ほかの学生とはケタ違いの魔法を使うシン。自重しよう |
そんなぶっ飛んだ能力を持つシンが無自覚とかありえない,と言う人もいると思うが,それは野暮というもの。「無自覚,無自重のシンに,読者からもツッコミを入れてもらいたかった」と原作者の吉岡氏がインタビューで語る通り,登場人物達と一緒になって,シンの起こす騒動を暖かい目で見守るのが,本作の醍醐味となるようだ。
シンの発言に周囲は振り回されっぱなし。しかし,本人に自覚はない |
シンもすごいがその“ファミリー”もすごい
シンの能力ばかりがクローズアップされる本作だが,マーリンをはじめとした“老人勢”も負けてはいない。メリダは魔道具の発展に寄与し「導師」と呼ばれる人物,ミッシェルは王国の元騎士団長で,かつて剣聖と呼ばれた男。そして,マーリンの友人のディスおじさん(CV:星野充昭)にいたっては,なんと王国の国王だという。
そうとは知らず,親戚感覚で皆と接するシンに,周囲はまたどよめいてしまう。こんなところでも本作の“ギャップ”の楽しさが表現されているのだ。
美少女シシリーとの関係はどうなる?
人里離れて育てられたため,世間知らずなシンだが,彼も15歳というお年頃。王都で美少女シシリー(CV:本泉莉奈)と出会い,たちまち恋に落ちる。しかも彼女もシンと同じ,王国アールスハイド高等魔法学院に通う生徒だという。
しかし,それまで同世代の友達さえいなかったシンが,それを恋だと自覚するのはなかなか難しいこと。シシリーのほうもシンのことを憎からず思っているようだが,果たして2人の関係はどうなっていくのか,本作の見どころのひとつとなりそうだ。
ここ数年,毎シーズン必ずといっていいほど,ラインナップされる“なろう系”作品。その多くはシリアス重視ではなく,ゆったりとした作風のタイトルとなるが,本作も同様にストレスフリーで楽しめるのが特徴となっている。
ジェットコースターのような激しい展開の作品も面白いが,本作のような物語を深夜にのんびり見るのもいいのではないだろうか。マーリン達と同様に,シンの活躍を“孫”を見守る気持ちで堪能したい。
TVアニメ「賢者の孫」公式サイト
TVアニメ「賢者の孫」公式Twitter
放映データ |
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2019年4月〜 |
キャスト | |
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シン=ウォルフォード:小林裕介 | |
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈 | |
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平 | |
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希 | |
マーリン=ウォルフォード:屋良有作 | |
メリダ=ボーウェン:高島雅羅 | |
オリバー=シュトローム:森川智之 |
スタッフ |
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原作:吉岡 剛(ファミ通文庫「賢者の孫」/KADOKAWA刊) |
キャラクター原案:菊池政治 緒方俊輔 |
監督:田村正文 |
シリーズ構成:髙橋龍也 |
キャラクターデザイン:澤入祐樹 |
美術監督:三宅昌和 |
色彩設計:重冨英里 |
撮影監督:佐藤 敦 |
編集:瀧川三智 |
音響監督:土屋雅紀 |
音響制作:グロービジョン |
音楽:大谷 幸 |
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ |
アニメーション制作:SILVER LINK. |
製作:賢孫製作委員会 |
オープニングアーティスト:i☆Ris |
エンディングアーティスト:吉七味。 |
■Blu-ray&DVD情報
賢者の孫 第1巻
【Blu-ray】
価格:13,000円(本体)+税
発売日:2019年7月24日(水)
収録内容:第1話〜第4話
【DVD】
価格:11,000円(本体)+税
発売日:2019年7月24日(水)
収録内容:第1話〜第4話
賢者の孫 第2巻
【Blu-ray】
価格:13,000円(本体)+税
発売日:2019年8月23日(金)
収録内容:第5話〜第8話
【DVD】
価格:11,000円(本体)+税
発売日:2019年8月23日(金)
収録内容:第5話〜第8話
賢者の孫 第3巻
【Blu-ray】
価格:13,000円(本体)+税
発売日:2019年9月25日(水)
【DVD】
価格:11,000円(本体)+税
発売日:2019年9月25日(水)
収録内容:第9話〜第12話
発売・販売元:株式会社KADOKAWA
◆ジャンル:TVアニメ
◆仕様:【BD】2層ディスク 【DVD】片面2層
◆画面サイズ:【BD】16:9(1080p)/【DVD】16:9(スクイーズ)
◆音声:【BD】リニアPCM(ステレオ) / 【DVD】[本編]リニアPCM(ステレオ)[特典映像]ドルビーデジタル
◆言語:日本語
◆色:カラー
◆収録分数:本編約108分+特典映像
◆製作年/国:2019年日本
初回生産特典<全共通>
(1)キャラクターデザイン・澤入祐樹描き下ろしイラスト使用BOX
(2)原作イラスト・菊池政治描き下ろしイラスト表紙ブックレット
・吉岡 剛書き下ろし小説
・緒方俊輔描き下ろし漫画
・絵コンテ
・設定資料集 など掲載予定
毎回特典
<第1巻>
(1)先行上映イベントダイジェスト
(2)ノンクレジットOP
<第2巻>
ノンクレジットED
アニメイト特典
アニメ描き下ろしイラスト使用B2タペストリー(全巻購入)
※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。
※『【Blu-ray】TV 賢者の孫』1〜3を全巻ご購入頂いた方が対象となります。
※DVD・Blu-rayを混在してご購入された場合は、連動購入の対象とはなりません。
(C)2019 吉岡 剛・菊池政治/KADOKAWA/賢者の孫製作委員会
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