そうだ アニメ，見よう：第141回はオリジナルTVアニメ「海賊王女」。キル・ビルの中澤一登氏が描く海洋冒険活劇

　映画「キル・ビル」のアニメパートをProduction I.Gと共に手掛け，話題となったアニメクリエイターの中澤一登氏。その中澤氏と同スタジオが「B：The Beginning」に続いてタッグを組んだオリジナルTVアニメが，10月からスタートしている。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第141回のタイトルは，18世紀の海賊黄金時代を舞台にした「海賊王女」。制作はProduction I.G，脚本は窪山阿佐子氏が担当し，監督は3人体制のToyGerPROJECT（中澤氏，髙橋哲也氏，藤井サキ氏）が務めている。

「海賊王女」

　18世紀の大西洋。父・フランツと船旅へ出ていたフェナ・ハウトマン（CV：瀬戸麻沙美）は海賊に襲われ，たった一人小型ボートで漂流し，命をつなぎ留める。フェナが漂着したのは，国家が黙認する娼婦・男娼の島「シャングリラ」だった。

　10年後──。雪のような肌と白銀に光る髪を持ち，美しく成長したフェナは初めての“仕事”を目前に控えていた。しかし，フェナはそれを受け入れず，幾度となく想像してきた島からの脱出を決心する。そこへ，幼少期のフェナを知っている老騎士のサルマン（CV：村治 学）とオットー（CV：平田広明）が現われ，脱出を手助けしてくれるが，追手はなかなか手ごわい。絶体絶命のピンチに，フェナは真っ赤な鎧に鹿の角の兜をまとった青年・雪丸（CV：鈴木崚汰）に救われる。雪丸は，かつてフェナを「必ず俺が見つけ出す！」と約束した少年だった。そしてフェナは，「＜エデン＞に向かえ！」という父親の言葉を思い出す。

フェナ達は雪丸達，ゴブリンの剣士に命を救われる

　雪丸達，真田家の暮らす「ゴブリンの島」へと辿り着いたフェナは，フランツの旧友である幸久と出会い，父の残した石の謎を解くよう告げられる。フェナは，その謎を解くべく，雪丸とその仲間の花梨（CV：悠木 碧）や紫檀（CV：櫻井孝宏）らと共に冒険の船旅に出発するのだった。

一行は花梨が作った潜水艦で冒険に出発

和洋折衷の冒険活劇

　“18世紀×王女×侍×海賊”をコンセプトにしたオリジナルTVアニメが本作「海賊王女」だ。このコンセプト通り，作中では，中世ヨーロッパ風の街並みに鎧武者の一団が登場し，なかなかインパクトのある絵面になっている。

真田家だと名乗る雪丸達。家紋も六文銭に見えるのでもしかしたら…

　物語は，数奇な運命をたどる少女が，父親の残した謎の言葉に導かれ，仲間と共に冒険を繰り広げるという，今時珍しいほどの“冒険活劇”が描かれている。主人公のフェナは，どんな逆境にめげないパワフルな少女。いかなるときでも驚くほどのポジティブさを発揮し，周囲を明るく照らすヒロインだ。
　フェナのポジティブさに引っ張られるように，ストーリーはハイテンポで展開され，シャングリラ，ゴブリンの島，自由都市バルバラルへと次々に舞台が移り変わる。まさに古き良き時代のアドベンチャーものを彷彿とさせる“ワクワク感”が，本作の醍醐味と言えそうだ。

とにかくじっとしていないお転婆なフェナ

ラブストーリーの要素も見逃せない

　原作の中澤氏は，本作について「少女漫画」をやりたいと考えていたそうで，この物語にはラブストーリーの要素も盛り込まれているのだとか。言われてみると，幼馴染みのフェナと雪丸の再会シーンは，なかなかドラマチックだったと言えないこともない（フェナが頭を小突かれて台無しだったが）。
　ひたすら不愛想な雪丸と鈍そうなフェナの関係が進行するのは，かなりハードルが高いと思われるが，今後急接近することになるのかもしれない。2人の動向に注目しよう。

色男に育った雪丸。なぜだか異様に不愛想

せっかく再会シーンが雪丸の一撃で台無し

物語を盛り上げる梶浦由記氏の劇伴

　そんなフェナ達の物語を盛り上げているのが，オープニングテーマ「海と真珠」，エンディングテーマ「サイハテ」，そして劇伴曲を手掛ける梶浦由記氏の音楽だ。梶浦氏と言えば，「鬼滅の刃」や「Fate/stay night」などを手掛けた，言わずと知れたヒットメーカー。今回の参加は，中澤氏たっての希望で実現したという。
　本作の劇伴曲の制作にあたって梶浦氏は，「ヨーロッパではない，東南アジアでもない，中近東でもない，かといってチャイナでもない，そんな異世界感を絵にしたような音にしたいと思いました」と曲作りのコンセプトをインタビューで語っていた。異国情緒あふれるテーマソングは，こうした思いから生み出されたようだ。

和洋折衷の不思議な世界観に梶浦氏の曲がマッチする

　現在4話まで放送されているが，物語はまだまだ序盤と言える。バルバラルで謎の石の手がかりをつかんだフェナ達一行だが，謎の一団の妨害を受け，前途は多難。なにやらイギリス海軍の姿もちらつき，先行きは不穏としか言いようがない。果たして，無事に旅を続けることができるのだろうか。
　Production I.Gのハイクオリティな映像と，先の読めないオリジナルなストーリーが話題となっている本作。父親の残した“エデン”という言葉が何を意味するのか，見逃せない作品となりそうだ。

「海賊王女」公式サイト

「海賊王女」公式Twitter

放映データ
2021年10月〜12月まで
全12話

キャスト
フェナ・ハウトマン：瀬戸麻沙美
雪丸：鈴木崚汰
紫檀：櫻井孝宏
花梨：悠木 碧
槐：佐藤 元
楓：逢坂良太
椿：大須賀純
真樺：田中進太郎
サルマン：村治 学
オットー：平田広明
グレイス・オマリー：深見梨加
チン・シー：金田 愛
シャーロッテ・ベリー：薮内満里奈
メアリ・リード：七瀬彩夏
ハンナ・スネル：河野 ひより
アルテミシア：茉莉邑薫
アン・ボニー：森谷彩子
アルビダ：日野まり

スタッフ
原作：中澤一登×Production I.G
監督：ToyGerPROJECT
中澤一登
髙橋哲也
藤井サキ
脚本：窪山阿佐子
音楽：梶浦由記
音楽制作：FlyingDog
制作：Production I.G
オープニングテーマ：「海と真珠」JUNNA
エンディングテーマ：「サイハテ」鈴木みのり

■Blu-ray情報

｢海賊王女｣Blu-ray BOX 上巻
2022.02.23　RELEASE

タイトル
｢海賊王女｣ Blu-ray BOX 上巻

商品番号
DMPXA-232

仕様
特製スリーブケース

トールケース
本編ディスク 2枚組（第1話~第6話を収録）
封入特典
中澤一登 描き下ろし 全巻収納BOX
約70p特製ブックレット

キャラクター紹介/美術設定/中澤一登 第1話〜第6話エピソードコメント/絵コンテ集 など

PlayPicカード
ディスク収録内容同様（本編映像/ノンテロップOP/PV集）

映像特典
ノンテロップOP
PV集

価格
18,000円（税抜）/ 19,800円（税込）

発売日
2022年2月23日（水）


中澤一登氏描き下ろしの上下巻収納BOXイラスト
※商品仕様・価格などは予告なく変更になる場合がございます。

Blu-ray BOX 下巻はこちら
https://fena-pirate-princess.com/bd/vol2/

法人別購入特典はこちら
https://fena-pirate-princess.com/bd/store/

＜＜PVなど（embedするURL）＞＞
https://youtu.be/5yjtOm_bQkc

＜＜コピーライト＞＞
(C)Kazuto Nakazawa / Production I.G