そうだ アニメ，見よう：第155回はWIT STUDIO×CloverWorksが描く「SPY×FAMILY」。秘密を抱える疑似家族3人のホームコメディ

　2019年3月に「少年ジャンプ＋」で発表されて以来，「次にくるマンガ大賞2019」Webマンガ部門で1位，「第4回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」を受賞するなど，高い評価を受けている「SPY×FAMILY」。遠藤達哉氏原作の本作は，最新コミックス9巻までのシリーズ累計発行部数が1800万部を突破している話題作だ。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第155回のタイトルは，同作をアニメ化した「SPY×FAMILY」。制作はWIT STUDIO×CloverWorks，監督は「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」シリーズや「機動戦士ガンダムUC」などを手掛けたベテランの古橋一浩氏が務めている。

「SPY×FAMILY」

　人はみな，誰にも見せぬ自分を持っている――。世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。東国（オスタニア）と西国（ウェスタリス）は，十数年にわたる冷戦状態にあった。

　西国の情報局対東課＜WISE（ワイズ）＞所属である凄腕スパイの＜黄昏（たそがれ）＞は，東西平和を脅かす危険人物，東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため，ある極秘任務を課せられた。
　その名も，オペレーション＜梟（ストリクス）＞。
　内容は「一週間以内に家族を作り，デズモンドの息子が通う名門イーデン校の懇親会に潜入せよ」というものだった。＜黄昏＞は，精神科医ロイド・フォージャー（CV：江口拓也）に扮し，家族を作ることに。


　まずは，孤児院から少女・アーニャ（CV：種﨑敦美）を引き取るが，彼女は人の心を読める超能力者だった。そうとは知らぬまま，ロイドは市役所の女性事務員ヨル（CV：早見沙織）と出会い，疑似家族になることを持ち掛ける。実は，“いばら姫”と呼ばれる殺し屋であるヨルは，身分を偽るためにロイドの提案に同意。3人の利害が一致したことで，お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。果たして，ハプニング連続の仮初めの家族に，世界の平和は託された――。

秘密を抱える3人の疑似家族

　父親はスパイ，一人娘は超能力者，妻は殺し屋。秘密を抱える3人が疑似家族を築き，名門校に入学できるような“理想の家族”となるため，日々奮闘する姿をコミカルに描いたのが，本作「SPY×FAMILY」だ。
　完璧主義のロイドは，2人に理想の妻，娘像を求めるのだが，殺しの技術以外は抜けているところが多いヨルと，ちょっとポンコツなアーニャにはちょっと荷が重い。頓珍漢な行動を繰り返す2人を，一生懸命ロイドがフォローするという図式が，3人の日常の光景だ。


　ロイドはスパイであることを，ヨルは殺し屋であることを隠しているわけだが，他人の心が読めるアーニャには，2人の内心は丸見え。空回りしがちなアーニャに対して戸惑っているロイドの心の声に，孤児院に戻りたくないアーニャは，いい子になろうと必死に振舞う。その姿がいじらしくて，ついクスッとしてしまう。
　しかし，それはアーニャだけでなく大人の2人にも言えること。“家族”というものに慣れてない2人は，父親または母親としてぎこちない。そんな2人が家族でいるために，必死にふるまう姿にもホッコリさせられるのだ。

制作はWIT STUDIOとCloverWorksの2社体制

　そんな3人のホームコメディを楽しめるいっぽうで，ロイドのスパイアクションやヨルの暗殺稼業のシーンも見逃せない。超人めいた2人のアクションを支えているのが，制作を手掛けるWIT STUDIOとCloverWorksの強力タッグだ。
　WIT STUDIOといえば「進撃の巨人 Season1〜3」や「甲鉄城のカバネリ」といったアクションものでも定評のあるスタジオ。CloverWorksも「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」では，アクションシーンでファンを驚かせた。2つのスタジオによるバトルシーンは，やはり別格。スパイと殺し屋といった非日常のシーンの多い彼らの活躍場面を，十二分に盛り上げてくれている。


　なお，本作が2社のタッグ体制を敷いている理由は，話数の多い長期シリーズにおいてスタッフへの負担を分散・削減でき，2クール以上の作品になった場合でも安定した映像を提供できるメリットがあるからだとか。本作では主に，奇数話数をWIT STUDIO，偶数話数をCloverWorksに分けて制作されているそうだ。

Official髭男dismと星野 源さんが参加

　業界の最高クラスのスタッフが結集している本作だが，それは音楽の面でも同様だ。オープニングテーマには，Official髭男dismの「ミックスナッツ」，エンディングは星野 源さんの「喜劇」という豪華な顔ぶれに加え，音楽プロデュースにはアニメ作品の音楽クリエイターチームである(K)NoW_NAMEを起用。星野さんは「オファーをいただいた時，ちょうど原作を読み終えたタイミングだったので運命のように感じました」とインタビューで喜びを語っていた。



　世界の平和に関わるシリアスな設定ながらも，ドタバタのコメディ要素が楽しい本作。スマートなロイド，清楚なヨル，可愛らしいアーニャといった登場キャラクターにも人気が集まりそうだ。今後の展開として，ロイドに課せられたスパイミッションは成功するのか，アーニャの学園生活はうまくいくのか，ぶっちゃけ追い出されないのかなど，気になるところは山ほどあるが，まずは“仮初めの家族”が少しでも長く続くことをアーニャと一緒に祈りたい。

TVアニメ「SPY×FAMILY」公式サイト

TVアニメ「SPY×FAMILY」公式Twitter

放映データ
2022年4月〜

キャスト
ロイド・フォージャー：江口拓也
アーニャ・フォージャー：種﨑敦美
ヨル・フォージャー：早見沙織
フランキー・フランクリン：吉野裕行
シルヴィア・シャーウッド：甲斐田裕子
ヘンリー・ヘンダーソン：山路和弘
ユーリ・ブライア：小野賢章

スタッフ
原作：遠藤達哉（集英社「少年ジャンプ＋」連載）
監督：古橋一浩
キャラクターデザイン：嶋田和晃
総作画監督： 嶋田和晃　浅野恭司
助監督：片桐 崇　高橋謙仁　原田孝宏
色彩設計：橋本 賢
美術設定：谷内優穂　杉本智美　金平和茂
美術監督：永井一男　薄井久代
３DCG監督：今垣佳奈
撮影監督：伏原あかね
副撮影監督：佐久間悠也
編集：齋藤朱里
音楽プロデュース：(K)NoW_NAME
音響監督：はたしょう二
音響効果：出雲範子
制作：WIT STUDIO×CloverWorks
オープニング主題歌：Official髭男dism「ミックスナッツ」
エンディング主題歌：星野 源「喜劇」

■Blu-ray&DVD情報

『SPY×FAMILY』Vol.1 初回生産限定版 Blu-ray
2022年7月20日（水）発売


〇『SPY×FAMILY』Vol.1 初回生産限定版 Blu-ray
品番：TBR31352D
POS：4988104130525
価格：8,800円（税抜価格 8,000円）
仕様：2層（BD50G）／MPEG-4 AVC／1080p High Definition／リニアPCM 2.0ch ステレオ／16:9ワイドスクリーン
収録分数：約94分（#1〜4収録）＋映像特典／DISC枚数：2枚

〇『SPY×FAMILY』Vol.1初回生産限定版 DVD
品番：TDV31353D
POS：4988104130532
価格：7,700円（税抜価格 7,000円）
仕様：片面2層／MPEG-2／ドルビーデジタル 2.0ch ステレオ／16:9LB
収録分数：約94分（#1〜4収録）＋映像特典／DISC枚数：2枚

＜特典内容＞

【初回生産限定特典】
◆キャラクターデザイン・嶋田和晃描き下ろし三方背ケース
◆描き下ろしA2サイズポスター&ライナーノーツ
表面は描き下ろしポスター、裏面はキャストインタビューや各種設定を掲載したライナーノーツの両面仕様！
◆デジパック
◆SPECIAL DISC（DVD）
SPY×FAMILY 〜Stage Reading〜「受験対策をせよ」
声優キャストによる朗読劇を約30分収録！
朗読劇話数：MISSION 3「受験対策をせよ」
出演：江口拓也（ロイド・フォージャー役）／種﨑敦美（アーニャ・フォージャー役）／早見沙織（ヨル・フォージャー役）

【初回・通常共通特典】
◆映像特典：エンディングアニメ映像（ノンクレジット）／第1弾PV、第2弾PV、本予告
※初回生産限定版の在庫が無くなり次第、初回特典なしの通常版に切り替わります。価格・品番に変更はありません。
※特典内容・商品仕様は予告なく変更になる場合がございますのでご了承ください。
(C)遠藤達哉／集英社・SPY×FAMILY製作委員会