「そうだ アニメ，見よう」第168回はきらら原作アニメ「ぼっち・ざ・ろっく！」。陰キャ少女のガールズバンド活動を描いたコメディ作品

　「まんがタイムきららMAX」で連載中の，はまじあき氏による4コマ漫画「ぼっち・ざ・ろっく！」（まんがタイムKRコミックス/既刊4巻）。本作は，女子高生4人組のガールズバンド「結束バンド」の活動をコミカルに描き，「次にくるンガ大賞2019」コミックス部門で8位にランクインした注目の作品だ。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第168回のタイトルは，同作をアニメ化した「ぼっち・ざ・ろっく！」。制作はCloverWorks，シリーズ構成・脚本を吉田恵里香氏が担当。監督は「ACCA13区監察課 Regards」の監督や「Sonny Boy」の絵コンテ・演出を手掛けた斎藤圭一郎氏が務めている。

「ぼっち・ざ・ろっく！」

　女子高生・後藤ひとり（CV：青山吉能）は，極度の人見知りで陰キャな少女。バンド活動に憧れギターを始めるも友達ができず，1人で練習する毎日。動画投稿サイトで“ギターヒーロー”として，賞賛を集めることだけが楽しみとなっていた。
　そんなある日，ひとりは「結束バンド」というバンドでドラムをやっている伊地知虹夏（CV：鈴代紗弓）に声をかけられ，サポートギターをすることに。それなりに腕に自信のあったひとりだが，ソロプレイしかしたことがないため，バンド演奏はダメダメであることが判明してしまう。しかも人前での演奏はとても無理ということで，段ボール箱に入ったまま演奏し，その場を切り抜けた。

　ともあれ，虹夏やベースの山田リョウ（CV：水野 朔）と一緒に結束バンドの活動を始めることになったひとりだが，ライブを行うにはお金が必要。資金を稼ぐために，ひとりはライブハウス「STARRY」で，2人と一緒にアルバイトを始めることになる。人との交流が苦手なひとりは，アルバイトもやっぱりグダグダで2人に助けられる毎日だった。


　そんな中，ひとりは新メンバー獲得のため，ギターが弾けるという同級生の喜多郁代（CV：長谷川育美）に声をかけようと思い立つ。しかし，陽キャで人気者の喜多にアプローチするのは，なかなか難度が高い。なんとか話しかけようと試行錯誤していると，なんと喜多のほうから声をかけてきた。
　校内でギターを演奏しているひとりを見かけて，ギターを教えてほしいという喜多。彼女の勢いに押され，ひとりは喜多を「STARRY」に連れていくが……。

筋金入りの“陰キャ”少女がヒロイン

　芳文社の「まんがタイムきららMAX」で連載中の本作は，「ゆるキャン△」や「NEW GAME!」などに代表される，いわゆる“きらら原作”アニメに分類される作品だ。その作品の制作を，「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」や「その着せ替え人形は恋をする」などで知られるCloverWorksが担当するという。
　「ちょっと珍しい組み合わせだな」と思いながら，第1話を早速視聴してみたところ……いや面白いっす，これ。


　主人公の“ぼっち”こと後藤ひとりは，学校では誰とも話さず，自宅でギターを練習するときも押し入れの中という，筋金入りの“陰キャ”少女。そもそもギターを始めたのも，暗い学生時代から一転してスターとなったバンドマンのインタビューを目にしたことがきっかけだ。
　人の目を見て会話ができず，何事にも後ろ向き。その一方で承認欲求は強いという，なんかもういろいろ煮詰めた感じの性格のひとり。そんな彼女が憧れのバンド活動を始め，さまざまな壁を乗り越えながら成長していく姿を描いているのが本作「ぼっち・ざ・ろっく！」だ。

CloverWorksが手掛ける日常系アニメ

　きらら作品のガールズバンドものというと「けいおん！」などが思い浮かぶが，同作が学校の軽音部を描いているのに対して，こちらはライブ活動が中心になる。これは，知らない場所だったライブハウスに勇気を出して入っていったひとりの姿が，誰かの心に刺さればという，はまじ氏の思いからこの設定になったのだという。
　下北沢にあるライブハウス「STARRY」を舞台に，4人の少女のバンド活動が描かれるわけだが，ストーリーを引っ張るのは，やはりひとりの強烈なキャラクター性だ。何をするにもネガティブな彼女の行動は破天荒で，バイトを休むために氷風呂で風邪をひこうとしたり，段ボール箱を被ってライブをしたりと予想を裏切る行動が面白い。


　そんなひとりのキャラクター性を，CloverWorksは多彩な演出で再現。見た目がかわいく，ギターの腕もかなりのもの，でもネガティブの塊のひとりの応援したくなる魅力を際立たせている。
　4コマ漫画をアニメ化する際は，描かれていない物語の隙間をいかにカバーするかが制作スタジオの腕の見せどころだ。本作ではハイクオリティな画面作りに定評のある，CloverWorksの力が十二分に発揮される作品になりそうだ。

エンディング曲が「カラカラ」に変更

　本作のオープニング曲「青春コンプレックス」とエンディング曲「Distortion!!」は，両方とも結束バンドによるもの。どちらも軽快なサウンドが耳になじむロックサウンドとなっているが，実は第4話でエンディング曲が「カラカラ」という楽曲に変更されている。
　どうやらエンディングは全話数を通して1曲のみではなかったようで，挿入歌をはじめ，今後も新しい楽曲が公開されていく模様。公式サイトには「カラカラ」を手掛けた中嶋イッキュウさんをはじめ，曲を提供したアーティストのコメントが掲載されているので，興味がある人はチェックしておこう。



　第5話まで放送され，本格的に活動を開始した「結束バンド」。青春コンプレックスを抱えたひとりは，バンドらしさと自分らしさの違いに思い悩みながら作詞を担当することになるが，果たしてどうなることやら。
　ジャンプ系アニメやガンダム新作などがひしめく今シーズン，個人的には「ぼっち・ざ・ろっく！」がイチオシだ。難しいこと考えずに頭を空っぽにして楽しめる。そして，なによりコミカルだ。そうだ，原作も買ってみようかな？

TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく！」公式サイト

TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく！」公式Twitter

放映データ
2022年10月〜

キャスト
後藤ひとり：青山吉能
伊地知虹夏：鈴代紗弓
山田リョウ：水野 朔
喜多郁代：長谷川育美

スタッフ
原作：はまじあき (芳文社「まんがタイムきららMAX」連載中)
監督：斎藤圭一郎
シリーズ構成・脚本：吉田恵里香
キャラクターデザイン・総作画監督：けろりら
副監督：山本ゆうすけ
ライブディレクター：川上雄介
ライブアニメーター：伊藤優希
プロップデザイン：永木歩実
2Dワークス：梅木葵
色彩設計：横田明日香
美術監督：守安靖尚
美術設定：taracod
撮影監督：金森つばさ
CGディレクター：宮地克明
ライブCGディレクター：内田博明
編集：平木大輔
音楽：菊谷知樹
音響監督：藤田亜紀子
音響効果：八十正太
制作：CloverWorks

■Blu-ray＆DVD情報

Blu-ray＆DVD第1巻
2022年12月28日(水)　発売


Blu-ray 完全生産限定版
価格：7,700円(税込)
品番：ANZX-16341〜16342

DVD 完全生産限定版
価格：6,600円(税込)
品番：ANZB-16341〜16342

収録内容：#01〜#02(2話収録)
仕様：2枚組(特典CD付)

完全生産限定版特典
●キャラクターデザイン・総作画監督 けろりら描き下ろしジャケットイラスト
●特典CD:オリジナルサウンドトラックvol.1
●特典映像:ティザーPV／第1弾PV／結束バンドキャラクター別PV集／放送直前特番「ぼっち・ざ・ろっく！ #宇宙 #日本 #下北沢」
●特製リーフレット
●EDイラストステッカーシート
(C)はまじあき／芳文社・アニプレックス