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芥川の名作にまつわる闇に文豪たちが迫る。舞台「文豪とアルケミスト」ゲネプロ公演レポート
文豪たちとともに,人々の記憶から文学を奪う“侵蝕者”から文学書を守っていくDMM GAMESの文豪転生シミュレーションゲーム「文豪とアルケミスト」(BROWSER / iOS / Android)。本作に登場する文豪の1人,太宰 治を主人公にした舞台「文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌(エレジー)」が,2019年2月21日に都内のシアター1010にて開幕した。本舞台は2月21日〜2月28日に東京(シアター1010)で,3月9日,10日に京都(京都劇場)で上演される。本稿ではメインキャストが全員集合した囲み取材並びに,関係者向けのゲネプロ公演の様子をレポートしていこう。
■公演期間
【東京】
2019年2月21日(木)〜28日(木)全11公演
会場:シアター1010
【京都】
2019年3月9日(土)〜10日(日)全4公演
会場:京都劇場
■キャスト
平野 良(太宰 治役)
陳内 将(織田作之助役)
小坂涼太郎(坂口安吾役)
小南光司(佐藤春夫役)
深澤大河(中原中也役)
谷 佳樹(志賀直哉役)
杉江大志(武者小路実篤役)
和合真一(江戸川乱歩役)
久保田秀敏(芥川龍之介役)
アンサンブル
佐藤優次/池田謙信/澤邊寧央/多田 滉/稲田京也/町田尚規/鈴木祐大/轟 大輝
■スタッフ
原作:「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)
監修:DMM GAMES
世界観監修:イシイジロウ
脚本:なるせゆうせい
演出:吉谷光太郎
音楽:坂本英城(ノイジークローク)・tak
振付:MAMORU
アクション:奥住英明(T.P.O.office)
制作:ポリゴンマジック
主催:舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会
出演キャスト,スタッフみんなで美しくも儚い世界を作り上げる
――ご自身の役柄と舞台での見どころを教えてください。
江戸川乱歩役・和合真一さん:
ミステリアスな役で物語でもストーリーテラー的な役割をやらせていただいています。本作の世界観に似つかわしい,妖しい感じで演じていきたいと思っています。
佐藤春夫役・小南光司さん:
かなり兄貴肌で,舞台に登場する文豪たちのなかでも上の立場にいる人物じゃないかなと思います。先輩方が多いので兄貴分を演じるのは稽古中から苦労しましたが,そこを注目していただけたらと思います。あと,武器が重いです。それを使っての初殺陣,ぜひ楽しんでください。
中原中也役・深澤大河さん:
中也はずっとお酒を飲んでいて言動も荒々しいのですが,言葉の端々から繊細さが伝わってくる文豪なのでそこを表現できたらと思っています。
武者小路実篤役・杉江大志さん:
優しくて強くていい子なので,それが垣間見えるように演じられたらと思います。あと志賀との関係をファンの皆さんがどのように受け取ってくれるか,私が思う2人の関係が伝わればなと思います。
坂口安吾役・小坂涼太郎さん:
太宰,織田,坂口の無頼派3人は,舞台で一緒にいることが多いです。稽古場でも仲がよくて,陳内さんと平野さんにお世話になりました。その仲のよさが,舞台上でも伝わればいいなと思っています。
志賀直哉役・谷 佳樹さん:
芥川龍之介と太宰 治の橋渡し役的な重要なポジションです。稽古の段階から,演出の吉谷光太郎さんが言葉や殺陣の1つ1つに物語があるようにと指導してくださいました。座長の平野くんも,たくさんアドバイスをしてくれて。志賀は演じる上でたくさん悩み,苦しみ,考えた大切な人物です。武者役の杉江くんとも“(本作における)白樺派とは”というところに重きを置いて,見せていこうと気合が入っています。
織田作之助役・陳内 将さん:
生粋の大阪人で明るいムードメーカーですが,実は身体が弱くそれを人に見せないという面があります。それが劇中でどう表現されているかは,細かく見ていただきたいです。演出の吉谷さんが楽しくも儚い演劇にしたいとおっしゃっていて,そのとおりの物語になっていますし,そんな結末になるように丁寧に稽古してきたものを皆で紡いでいけたらと思っています。
芥川龍之介役・久保田秀敏さん:
芥川龍之介の作品を守るために文豪たちが戦うので,彼が物語の軸になっているといっていいと思います。作品を書くうえでどんな人間模様があったのかなどを描きつつ,エンターテイメント性の高い作品になっています。
太宰 治役・平野 良さん(以下,平野さん):
本作の太宰は,浮き沈みの激しい人間です(笑)。元気いっぱい演じたいと思っています。
――本公演への意気込みを教えてください。
平野さん:
演劇らしい演劇になっています。プリンシパル,アンサンブル含め,すべてマンパワーで作り上げている舞台。“人の心に巣くう何か”というテーマがありまして,見てくださった皆さんに何か感じていただけたらと思います。個人的にはこんな煌びやかな衣装を着せていただいて嬉しいんですけども,最年長座長でこんなにぎやかしの役がくるとは(笑)。物語の軸は芥川ですし,カッコいいところはみんなありますし。太宰は,最後の最後までにぎやかしていこうと思っておりますのでこうご期待でこざいます。
美しい殺陣に魅了されたゲネプロ公演
囲み取材後は,ゲネプロ公演が行われた。以降の内容には本編の演出や写真が含まれるので,ネタバレなしで公演を楽しみたいという方は観劇後に読むことをオススメする。
■あらすじ
文学作品を守るためにこの世に再び転生した文豪たち。親友たちとの再会,そして前世では ありえなかった出会いに喜ぶのもつかの間,太宰のあこがれの人,芥川龍之介の作品が侵蝕される。芥川先生の作品は俺が守る! と意気込み, 仲間を引き連れ潜書する太宰だったが――。
物語は,太宰 治たち文豪が転生した場面から始まった。突然のことに戸惑う彼らのもとに,事情を知る様子の江戸川乱歩が登場し,“侵蝕者”によって文学書が失われていること,文学作品を守るために自分たちが転生したことを告げられる。
尊敬する芥川の前では乙女のようになったり,中原に怯えたり……場面ごとにいろいろな表情を見せる太宰 治が非常に魅力的だった。よくも悪くも,感情がジェットコースターのように変化する太宰 治に引っ張られる形で物語が進行していく。
上流階級出身だからこその葛藤を抱える白樺派の志賀直哉や武者小路実篤,芥川賞についての後悔を抱えた佐藤春夫,自身の作風に思うところがある中原中也。文豪たちの作品や彼らが生きた時代背景が物語に組み込まれており,彼らが生み出した文学にも興味が湧いてくる展開になっていた。
文学をテーマにした重厚な物語のなかには,文豪同士の何気ない会話や演出にクスッと笑ってしまうコミカルな場面もあり,陰と陽のバランスが絶妙で楽しく観劇できた
演出も非常にこだわっていて,“文学書が侵蝕されていく”という本作のカギとなる要素を,舞台セットや照明を使って見事に表現していた。侵蝕者たちとの戦いでは,美しくも激しい殺陣が披露され,「文豪たちは普段こんなふうに戦っているんだな」と感じさせる。侵蝕者だけでなく,ときには文豪同士の戦いも見どころとなっていた。彼らがどんな結末を迎えるのかはぜひ劇場で,残念ながら行けなかったという人は8月28日発売のBlu-ray&DVDで見届けてほしい。(※)
※会場では特別価格で先行予約を受付中。一般予約受付は3月10日12:00に開始
舞台「文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌(エレジー)」公式サイト
「文豪とアルケミスト」公式サイト
「文豪とアルケミスト」ダウンロードページ
「文豪とアルケミスト」ダウンロードページ
(C)DMM GAMES / 舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会