誕生秘話も明かされた「デビル メイ クライ5」発売記念イベントレポート。みんなで楽しむ「幸せな空間」を作るためにゲームを開発する

　カプコンは2019年3月8日，東京都内のプラザカプコン吉祥寺店で「デビル メイ クライ 5」（以下，「DMC5」。PC/PlayStation 4/Xbox One）の発売記念イベントを開催した。プロデューサーの岡部眞輝氏とディレクターの伊津野英昭氏が登壇してミニトークショーとサイン会を行ったイベントの様子をお伝えしたい。

会場には等身大ネロも登場（左）

「デビル メイ クライ 5」公式サイト

整理券はすぐになくなり，会場はコアなファンで一杯に

　発売記念イベントは，「DMC5」のパッケージ版ソフトを購入した人が対象で，あらかじめ整理券が配布されたのだが，定員の48名分はすぐになくなったという。
　イベントは岡部氏と伊津野氏が開発秘話を明かすミニトークショーでスタートした。「DMC5」では，杖をついて魔獣を操る病弱な新キャラクターVが話題を集めたが，驚いたことに，開発の初期段階では小説版「Devil May Cry」で描かれた謎の男ギルバを登場させる予定だったそうだ。小説通りの包帯男としてデザインが進められたが，物語にどうしても矛盾が出てきてしまうため，Vというキャラクターが生まれたという。

伊津野英昭氏

岡部眞輝氏

　デザイナーの吉川達哉氏には病弱なキャラクターを頼んだものの，どうしても筋肉質になってしまうため，「カッコいい猫背」をキーワードにして作業を進め，デザインの最終段階では，ネロやダンテと差別化するため，全体のシルエットをAライン（立っているとき姿がアルファベットのAのようになる）としたそうだ。伊津野氏は「男の子の感覚としての格好いいとは少し違いますが，キャラクター性を出すために（Aラインにすることが）絶対に必要」という判断によってシルエットを変更したことを明かした。興味深いことに，開発チームの女性陣には好評だったという。

来場者全員にプレゼントされた特製サコッシュ

　続いて，体験版を使ったゲーム大会が行われた。
　内容は「体験版の時点で購入できるスキルをすべて持ったネロを使い，ミッション1をクリアする」というものだ。会場代表2名を募り，どちらもSランクでクリアできれば，来場者全員に特製サコッシュがプレゼントされるとのこと。そのため，代表の責任はきわめて重大だ。
　多くの来場者が名乗りを上げる中，男女1名ずつの代表が選出され，ミッション1にトライした。全員が固唾をのんで見守る中，代表2名は伊津野氏も唸らせる巧みなプレイを見せ，見事にSランククリアを達成した。伊津野氏によれば，「ランク判定に関係してくるのは固定の敵との戦闘結果だけで，レッドオーブは取っても取らなくても大丈夫です。また，ボタン連打で技を出してくれるオートマチックアシストを使ってもSランクは出せます」とのこと。


　最後に伊津野氏は，「さっきは全員でプレイの様子を見て盛り上がりましたが，これは，昔からテレビの前にあった光景です。僕はこんな幸せな空間を作り出すためにゲームを開発しているんです。これからも，ずっとこうした光景が存在してほしいし，自分でも幸せな空間を作れるゲームを生み出していきます」と熱く語り，イベントを締めくくった。

イベント後にはサイン会が行われた

初代のポスターにサインしてもらう人も

店内のキャッチャーでは，「トレーディングアクリルキーホルダー」（左）と「レッドオーブグミ」（右）が景品に

　最後に，会場で行われた岡部氏と伊津野氏への合同インタビューの様子をお伝えしよう。


――よろしくお願いします。発売日を迎えての心境をお願いします。

岡部眞輝氏（以下，岡部氏）：
　E3 2018での発表からが長く，やっと発売日が来たという感じです。新情報を明かすたび，とにかくユーザーの反応が熱かったですね。高い評価をもらえているようなので，そこは一安心です。

伊津野英昭氏（以下，伊津野氏）：
　ファンに向けた仕掛けもあるので，プレイの感想を聞きたくて仕方なかったんですが，いざ発売となると忙しくて……。ゆっくりと反響をチェックしたいですね。

――前作から変化したところを教えてください。

岡部氏：
　素晴らしい絵作りができているので，一目で分かってもらえると思います。5年，10年としっかり遊べるゲームにしたいと考えて作りました。カプコンにとって大事なタイトルですから，継続的に要望に応えていけるよう，頑張っていきます。

伊津野氏：
　今のゲームは，1つの作品のバージョンアップを長く続けたり，多機種に展開していくというビジネスになっています。おざなりに作品を作ると，結局は損をするので，そうした意味で，今後のカプコン作品にも期待してほしいと思います。

岡部氏：
　「DMC5」も，1回クリアして終わりではなく，2周目，3周目とより楽しめるものになっていますよ。

――では最後に，とくに新しい世代のプレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。

伊津野氏：
　言われたことだけをやる，という大人にはなってほしくありません。与えられた環境の中，自分で工夫してやりたいことをやっていく。ゲームも同じで，自分の力で乗り越えた先に充実感があるわけです。こうした部分は世代を越えても変わらないという信念のもと，「DMC5」を作りました。1回試してダメでも，あきらめずに自分で答えを見つけて乗り越えてください。そのときの感動がアクションゲームというものの醍醐味ですので，ぜひ味わってもらえればと思います。

――本日はどうもありがとうございました。

「デビル メイ クライ 5」公式サイト