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LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
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印刷2014/10/30 14:00

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LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場

34UC97-S
画像集#021のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
 2014年10月30日,LG Electronics(以下,LG)は,アスペクト比21:9の湾曲型液晶パネルを採用した34インチ液晶ディスプレイ「34UC97-S」と,解像度4096×2160ドットの映像制作者向け液晶ディスプレイ「31MU97-B」の2製品を発売すると発表した。メーカー想定売価は,両製品とも13〜15万円程度とされている。

 本稿では,沖縄県那覇市で開催の事前説明会で公開された情報を基に,新製品の特徴をレポートしたい。

記事での登場順とは逆だが,左が解像度4096×2160ドットの31MU97-Bで,右が湾曲型液晶ディスプレイの34UC97-S
画像集#002のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場


日本初上陸の34インチ湾曲液晶ディスプレイ

34UC97-S


 まずは34UC97-Sから見ていこう。本製品は日本市場には初投入となる湾曲型の液晶ディスプレイである。

 画面解像度は3440×1440ドットで,アスペクト比の公称値は21:9(=2.33:1)とされているが,厳密にいうなら21.5:9(=2.39:1)とするのが正しい。LGはアスペクト比21:9の液晶ディスプレイを積極的に訴求しており,その中には解像度2560×1080ドットの製品もラインナップされているのだが(関連記事),いずれも本当は横が少し大きいのだ。

34UC97-Sは,近い視距離からワイドな大画面を楽しむために湾曲デザインを採用した製品だ
画像集#004のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場

LGが注力するアスペクト比21:9の液晶ディスプレイ製品の基本コンセプトは,シネスコサイズの映画で黒帯のない全画面表示を実現するため
画像集#003のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
 さて,なぜLGは公称アスペクト比21.:9(=2.33:1)の液晶ディスプレイを推進しているのかといえば,それはアスペクト比「2.35:1」,いわゆるシネマスコープ(シネスコ)サイズの映画コンテンツとの親和性が高いからだ。
 現在,市場に流通している多くの洋画系Blu-rayコンテンツは,デジタルテレビや液晶ディスプレイで一般的な16:9ではなく,シネスコサイズで記録されている。しかし,16:9のディスプレイで横いっぱいにこれを表示させるには,上下に黒帯を付けたり,左右端を少しカットしたりといった具合で,肝心の映像が少し小さく表示されてしまう。
 それならば,最初からアスペクト比2.35:1に近いディスプレイを作ればいいというのが,アスペクト比21:9のディスプレイに共通したコンセプトというわけだ。

34UC97-Sをやや上から見たところ。弓なりに湾曲しているのが分かる
画像集#005のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
 話を戻そう。34インチサイズで解像度3440×1440ドットの液晶ディスプレイといえば,すでにLG自身が「34UM95-P」という製品を発売している。34UC97-Sは,これと同じサイズと解像度で,湾曲型液晶パネルを採用しているのが大きな違いだ。

 説明会会場にあった34UM95-Pと見比べてみたが,湾曲した34UC97-Sのほうが,視界としてはフラットに見えるのが面白い。
 両製品とも液晶パネル部分の横幅は0.8m程もあるのだが,フラットな34UM95-Pの画面中央を約0.5m程度の視距離で見ると,画面の左右端が遠ざかってしまうので,若干小さくなったように見えてしまう。それに対して,画面端が湾曲した34UC97-Sなら,そのような現象は起こらないため,むしろフラットな印象を受けるというわけである。

液晶パネルはAH-IPS液晶を採用。RGBの各サブピクセルはきれいな縦長方型だ
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 採用する液晶パネルは,LGの液晶パネル部門であるLG Displayが製造する,AH-IPS(Advanced High-transmittance IPS)方式のものだ。IPS方式のパネルらしく,視野角は水平垂直ともに178度と広い。中間調(Gray-to-Gray)の応答速度は5msと,最近のIPS液晶パネルとしては標準的なもので,その他のスペックは,最大輝度が320cd/m2,コントラスト比100万:1(バックライト制御有効時),色域はsRGB色空間カバー率99%となっている。

34UC97-Sのインタフェース部分。USB 3.0(Type-B)の左隣にある2系統のThunderbolt 2が特徴的だ
画像集#007のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
 映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.2×1,HDMI 1.4×2,Thunderbolt 2×2を装備。Thunderbolt 2はディジーチェーン接続にも対応しており,34UC97-Sの先にもう1台のThunderbolt 2対応ディスプレイを接続可能だ。異なる2系統からの入力映像を同時表示させるピクチャー・バイ・ピクチャー機能も備えている(※HDMI同士の2画面表示は不可)。USB 3.0×3ポートによるUSB 3.0ハブ機能も装備するなど,インタフェース類は豊富だ。

 なお,3440×1440ドットでの60Hz(60fps)表示は,DisplayPort接続時とThunderbolt 2接続時に限られており,HDMI 1.4接続時は3440×1440ドットの50Hzまでとなるという。同時発色数は,DisplayPort接続時はRGB各10bitカラー,10.7億色表示がサポートされるが,HDMI 1.4とThunderbolt 2接続時は8bitカラーの1677万色表示までである。

液晶ディスプレイとしては高出力のスピーカーを備え,Waves AudioのMaxxAudioにも対応する
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 内蔵されるサウンド機能も特筆すべきポイントだろう。液晶ディスプレイとしては出力の大きな7W+7Wのステレオスピーカを内蔵するうえ,Waves AudioのPC用サウンド補正技術「MaxxAudio」にも対応することで,パワフルなサウンドが楽しめるという。カジュアルな映像や音楽鑑賞なら,本機とPCのみで完結するというわけだ。

 外形寸法は831(W)×226(D)×473(H)mmで,重量は約8.3kg。スタンドは−5〜15度の上下回転(チルト)に対応するだけで,左右回転や高さ調整などはできない。

34UC97-Sの背面(左)。ディスプレイとスタンドとは2本のネジで固定されている(右)。標準ではVESAマウントの取り付けはできないが,別売りのVESAマウントキットも用意されるとのこと
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 さて,シネスコサイズに合わせたアスペクト比と聞けば,「34UC97-Sは映画鑑賞向けの液晶ディスプレイなのか」と思うかもしれないが,それだけではない。横長の大画面は,「複数ディスプレイを設置するほどのスペースはないが,広いデスクトップを使いたい」というビジネスユーザーやコンテンツクリエイターにも訴求力が高い,とLGは分析している。
 ゲーム用途においては低遅延や残像感の低さが求められるので,34UC97-Sが向いているかどうかは実機で検証してみないことにはなんともいえないのだが,高解像度の大画面が湾曲しているおかげで,複数ディスプレイを並べたサラウンド画面のような印象を受けることもあり,オープンワールド系のゲームではより高い没入感が得られそうだと感じた。

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製品に付属する専用ソフトウェア「LG Monitor Software」をインストールすると,横長大画面を分割してアプリケーションをそれぞれにレイアウトするユーティリティが利用できる(左)。右写真は3つのアプリケーションを分割した画面に並べたものだ


デジタルシネマ向け4K解像度のプロ用液晶ディスプレイ

31MU97-B


 同時に発表された「31MU97-B」は,ゲーマー向けどころかコンシューマ向けですらないので,簡単な紹介としたい。
 冒頭でも触れたが,31インチサイズの31MU97-Bは,一般的な4Kディスプレイが採用する解像度3840×2160ドットではなく,横方向に256ドット分だけ広い4096×2160ドットとなっているのが最大の特徴だ。

4096×2160ドットの液晶パネルを採用する31MU97-B
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DCIが策定したデジタルシネマ向けの4K解像度に対応する
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 この4096×2160ドットという解像度は,ハリウッドの映画業界が構成する標準化団体「Digital Cinema Initiatives」(以下,DCI)が規定したもので,16:9や2.35:1,「1.85:1」といったさまざまなアスペクト比の映像コンテンツを表示したときに,可能な限り多くの画素を映像に割り当てられるようにと決められたという。業務用シネマプロジェクタは,ほぼすべてがこの4096×2160ドットの方を採用しており,実のところ,映画業界で4Kといえば,4096×2160ドットが事実上の標準なのだ。
 そんな背景もあって,映像制作者などのプロユースを狙った31MU97-Bには,「Digital Cinema 4K」というサブブランドが付けられている。

31MU97-B従来型のIPS型液晶パネルを採用する。画素が“く”の字型形状なのがその証拠だ
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 採用された液晶パネルは,一般的なIPS方式のもので,プロ用途を想定してか,対応色空間のバリエーションが豊富だ。sRGBカバー率99%は当然として,AdobeRGBカバー率99.5%,DCIの色空間規格「DCI-P3」のカバー率も97%が謳われている。
 さまざまな色空間規格に対応する能力を生かして,画面の左右で異なる色空間モードを選択表示させられる「Dual Color Space」という面白い機能を持っているのも特徴といえよう。

画面の左半分はAdobeRGB,右半分をsRGBといった具合に,異なる色空間で表示できるDual Color Space機能を搭載する
画像集#017のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場

 ハードウェアカラーキャリブレーションに対応するのは当然だが,カラーキャリブレーションソフトウェア「True Color Pro」も製品に付属している。キャリブレーション用センサーは別売りだ。

背面のインタフェース部分。DisplayPort入力は標準サイズとミニサイズの2系統を備える
画像集#018のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
 スペックもチェックしてみよう。最大輝度は320cd/m2で,ネイティブコントラスト値は1000:1,中間調応答速度は5ms,視野角は水平垂直ともに178度となっている。
 映像入力インタフェースとしては,DisplayPort 1.2×1,Mini DisplayPort 1.2×1,HDMI 1.4×2を装備。なお,4096×2160ドットでの60Hz表示ができるのはDisplayPortおよびMini DisplayPortでの接続時に限られ,HDMI接続時は3840×2160ドットで30Hzまで,4096×2160ドットでは24Hz(24fps)までに制限されるのは,一般的な4Kディスプレイと同じだ。HDMI 2.0には対応しないので,DisplayPort接続が前提の製品と理解していい。
 34UC97-Sと同じく,USB 3.0×4ポートのUSBハブ機能や5W+5Wのステレオスピーカーも搭載されている。スピーカーがMaxxAudio対応なのも変わらずだ。

 なお,スタンドは−5〜15度の上下回転と上下140mmの高さ調整,縦回転(ピボット)に対応しているものの,ニーズの多そうな左右回転(スイーベル)には対応していない。

本体背面とスタンド部分(左)。スタンドは縦回転にも対応する(右)
画像集#019のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場 画像集#020のサムネイル/LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場

 さて,実際に31MU97-Bの表示を見てみてたが,IPS液晶らしく,画面全域で均一な色の表現を実現できていた。コントラスト重視なテレビ的絵作りではなく,階調再現性や情報量重視の画質設計となっているのもプロユース向け製品らしい。
 4096×2160ドットでWindowsのデスクトップを表示すると,視距離50cm程度でも「アイコンや文字がやや小さいな」と感じるが,画素密度では15〜16インチ級で解像度1920×1080ドットの液晶パネルと大差がない程度ではあるので,支障はあるまい。むしろ,これ以上画面サイズを大きくするなら,34UC97-Sのような湾曲ディスプレイが欲しくなりそうだ。

LG Electronics 日本語公式Webサイト

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