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スマホやゲームパッドから靴のインソールにまで内蔵? ゲーム用途に使えるセンサーデバイスを「CEATEC JAPAN 2016」でチェック
そこで今回注目したのは「センサー」関連の技術だ。
ゲーム機本体やスマートフォン,ゲーム用の周辺機器などでは,さまざまセンサーが活躍している。スマートフォンやゲームパッドに内蔵された加速度センサーやジャイロセンサーでゲームを操作するというのは,誰しもが体験したことがあるだろう。また,VR HMDは,位置や向きのトラッキング用としてセンサーを内蔵しているなど,ゲーマーにとってもセンサーは当たり前の存在になっているのだ。
CEATECでは数多くのセンサーが出展されていたのだが,はっきりとゲーム用途をターゲットにして,ゲームパッドへの組み込み用途や,機器に内蔵してゲームに活用するといった用途提案をしているものもあった。そうしたセンサー技術をチェックしてみよう。
モバイル製品に搭載されるセンサーも低消費電力化が進む
まずはセンサー単体をまとめて見ていく。
スマートフォンやゲームパッド,あるいはウェアラブルデバイスといった機器は,小型であるゆえに,内蔵するプロセッサや通信機器だけでなく,センサー類にも低消費電力性能が求められる。日々使用するものである以上,バッテリー駆動時間は長いほうが,充電の手間が減って助かるというのは,誰しも同意してくれるだろう。
キーとなったのはバッファメモリの増量で,KXG03の容量1KBから,KXG07とKXG08では,容量4KBに増やしたことが低消費電力化に寄与したそうだ。
TDKブースでは,「高精度TMR角度センサー」のデモとして,バランスボードを体験するという展示があった。
バランスを取るときの微妙な角度変化を継続して取得できることを示すデモとのことだが,その見た目が,1999年にナムコがアミューズメント施設向けにリリースしていた「バランストライ」(関連リンク)そのものであり,思わず懐かしくなってしまった。
高精度TMR角度センサーの応用事例としては,ランニングシューズに内蔵することで,走行データを取得したり,特定の高さまで踵が上がってるかを検出したりするといったものが挙げられていた。
ゲームに使うとなると,やはりバランスボード的な用途か,デバイスの角度センサーといったものになるだろうか。
靴のインソールがゲームデバイスになる?
CEATEC会場を回ってみると,靴にIoTデバイスを組み込んだものの展示がいくつかあった。「スマートシューズ」と呼ばれることもあるもので,2014年くらいから,この種の展示会で見られるようになったものだ。
これらのスマートシューズは,靴とセンサーが不可分なものだが,CEATECで筆者が注目したのは,愛用の靴にも組み込める「デバイス内蔵型インソール」(靴の中敷き)の展示だ。
富士通が参考出展していた「次世代センサーシューズ」(正確にはセンサーインソールと呼ぶべきもの)は,加速度センサーとジャイロセンサーを内蔵したインソールである。インソールなので,専用の靴を買わなくても,履き慣れた靴で使えるのが大きな特徴だ。
加速度や角速度だけでなく,温度や湿度,気圧も取得できるそうで,デモでは,足裏のどこに体重がかかっているか,重心がどんな状態かを可視化する様子が披露されていた。
また,足を上げたり蹴り上げたりといった動作の加速度を検出して,特定値以上であればサウンドで通知するといった機能も備えている。
次世代センサーシューズは,「VR ZONE Project i Can」のようなVRアミューズメント施設に適するだろうと感じたが,一方で,VR向けフットコントローラ「3DRudder」のようにも使えるのではないか。
3DRudderは,円盤状のデバイス内に加速度センサーやジャイロセンサーを内蔵し,傾きや向きから動きを入力できるというものだ。浮遊しているような感覚を覚える不思議な入力デバイスなのだが,VR HMDを装着して3DRudderを使っていると,自分の位置を見失うことがあった。その点インソールであれば,そうした問題は起きないだろう。靴でなくてもスリッパでもいいので,VRゲーム向けの入力デバイスとして使えるのではないか。
実際にインソール型デバイスを利用するスマートフォン用ゲーム「PetaPeta」の展示もあった。DesignCatが開発したこのゲームは,「頭脳戦鬼ごっこ」とも呼ばれており,鬼ごっこをしつつ移動距離を稼ぐというものだ。
インソール型デバイスには加速度センサーが内蔵されており,参加者の移動状況を取得して,鬼に捕まることなく移動して得たポイントによって勝敗が決まる。
面白いのは,走って移動すると,ゲーム内の地図に自分の足跡が残るので,鬼役のプレイヤーに居場所がバレてしまうが,歩いている状態では足跡が出ないので,姿を隠せるというところ。ポイントを多く稼ぎたければ走るほうが有利だが,そうなると鬼に捕まるリスクも高まるという仕組みだ。
ちなみに,鬼役がほかの参加者を捕まえるには,リアルな鬼ごっこのような物理的接触は不要である。鬼が参加者の3m以内に近づくと,Bluetoothを利用して捕まえたと判定されるそうで,捕まった参加者は新たな鬼役になるとのことだ。つまり,参加者同士がお互いを知らない状態でも,鬼ごっこが成立するというわけである。
専用インソールが必要になるため,誰でもサクッと遊べるわけではないのが残念だが,直近では2016年10月22日に静岡県下田市で開催される防災系イベント「下田遊ぼう祭2016」で体験できるそうだ。興味のある人は,足を運んでみてはいかがだろうか。
PetaPeta 公式Webサイト
CEATEC JAPAN 公式Webサイト
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