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Intel,次世代移動通信「5G」に対応するモデムチップを発表
ゲーマーの立場からすると,将来的にモバイルのゲーム環境と関わってくる可能性のある話なので,ここに概要をお伝えしたい。
2017年に出揃うIntelの5G対応チップセット
第5世代移動通信システム規格,通称5Gは,いま広く利用されているLTE(=4G)に対して10倍以上の通信速度を実現するとされている。そこに向けては,各国各キャリアが積極的な取り組みを行っていて,日本ではNTTドコモとKDDI,ソフトバンクが5Gの実用化に向けて走り出している段階だ。
5Gは各国の事情やアプリケーションによってされる周波数帯がいくつかに分かれているが,日本では「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯を使った5Gの実用化を目指している。一方,世界的には6GHz以下の周波数帯を使う5Gが本命視されているといった状況である。
そんな中で,Intelは2016年に「Intel 5G Mobile Trial Platform」というテスト向けのプラットフォームを発表するなど5Gに向けて着々と歩みを続けてきた。そして,今回,発表となったのが(Intelによれば)世界初となる5G対応のモデム「5G Modem」およびRF(Radio Frequency,無線)チップ「5G RFIC-5G Transceiver」である。
5G Modemは開発コードネーム「Gold Ridge」(ゴールドリッジ)と呼ばれてきた製品で,モデムの高速動作により,低い遅延と高いスループットを実現しているとのこと。サンプルは2017年下半期の出荷を予定しているそうだ。
ポイントとして挙げられるのは,5G Modemが文字どおり5G専用だということだろうか。4G通信はサポートしていないため,端末を5Gと4Gの両対応とするためには,Intelの従来製品である4G対応モデル製品「XMM 7360 LTE Modem」と組み合わせる必要がある。
そうした仕様上の制限もあり,当面の間,5G Modemはやや大型の端末,つまり広義のPCや車載端末といったあたりを中心に普及していくこととなりそうだ。
一方,5Gモデムとペアを組んで電波の送受信を行う5G RFIC-5G Transceiverは,最初の製品として6GHz以下の周波数帯とミリ波に対応し,28GHz帯には対応しない製品「Mounmental Summit(モウメンタルサミット,開発コードネーム)が登場し,追って,28GHz帯対応の「Segula Peak」(セグラピーク,同)がリリースとなる予定という。
Segura Peakの日本国内におけるテストはすでに始まっており,サンプル出荷も2017年1月には始まる予定とのことである。
ところで,冒頭で述べたようにIntelはモバイル向けのSoCから撤退しており,これらの5G対応製品を,自社の持つほかの製品とどのように連係させるのかが課題となる。
そんな疑問に答えるべく今回,Intelが明らかにしたのは,「GO Automotive 5G Platform」と呼ばれる,車載情報システムプラットフォームだ。GO Automotive 5G Platformは,5Gの広帯域を活かして車載情報システムをクラウドと結びつけ,自動運転などを実現する新しいプラットフォームという位置づけで,Intelとして,2020年の実用化を目指して開発を進めていくという。
以上,おおまかにIntelの発表をまとめてみたが,とりあえずゲーマーのところに5G環境がやってくるのはまだ少し先の話になるのかな,というところだろうか。
モデムやRFチップの実製品が2017年に出揃うことにより,5Gの普及加速が進み,ゲーマー向けのモバイル端末でも利用できるようになることを期待したい。
Intelの5Gプロモーションページ
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