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[TGS 2014]スマホゲームのキーパーソンが日本と世界のゲーム市場を語る基調講演「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」聴講レポート
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印刷2014/09/18 16:50

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[TGS 2014]スマホゲームのキーパーソンが日本と世界のゲーム市場を語る基調講演「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」聴講レポート

 TGS 2014の初日となる本日(2014年9月18日),「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」と題する基調講演が行われた。この講演では,国内外のスマートフォンゲーム市場で成功している企業のトップ5名と,CESA(コンピュータエンターテインメント協会)の会長を務める鵜ノ澤 伸氏がグローバルビジネスについてのパネルディスカッションを行った。

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●パネリスト
エイリム 代表取締役COO 高橋英士氏
コロプラ 代表取締役社長 馬場功淳氏
セガネットワークス 代表取締役社長 CEO 里見治紀氏
バンダイナムコゲームス 取締役 浅沼 誠氏
King Chief Marketing Officer Alex Dale氏
コンピュータエンターテインメント協会 会長 鵜之澤 伸氏

●モデレータ
日経BP社 取締役 浅見直樹氏


左から浅見直樹氏,高橋英士氏,馬場功淳氏,里見治紀氏,浅沼 誠氏,Alex Dale氏,鵜之澤 伸氏
画像集#003のサムネイル/[TGS 2014]スマホゲームのキーパーソンが日本と世界のゲーム市場を語る基調講演「多角化するゲームプラットフォーム×グローバル化するゲーム=成功の道筋」聴講レポート


 最初のテーマは,2013年から2014年にかけての日本のゲーム市場の動向について。エイリムの高橋氏は,スマートフォンで動画を鑑賞するという行為が一般的になってきたことを指摘し,とくにゲームでは実況動画の配信が活発になっていることを挙げていた。同社でもプロモーションに動画や実況を導入することを検討しているとのことだ。

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 コロプラの馬場氏は,ソフトバンクがSupercellを買収したことがもっとも印象に残っているという。またキャリアの通信制限によって自身がゲームプレイ中に不便を感じたことから,スマートフォンでサービスを提供する側として,今後,どうやって折り合いを付けていけばいいのか考えているそうだ。

 セガネットワークスの里見氏は,日本のスマートフォンゲームの売上が世界でトップであることを挙げた。里見氏は「ここのところ,世界のゲーム市場において,日本が話題になることはほとんどなく,興味深い」と説明。また「モンスターストライク」iOS/Android)が,「パズル&ドラゴンズ」iOS/Android)を抜いてセールスランキングのトップに立ったことにも触れ「ついに王者が陥落したか」と思ったそうだ。
 里見氏は双方をまとめて,「これも日本のスマートフォンゲーム市場が伸びているからではないか」と分析し,セガグループでは今後いっそうスマートフォンゲームとさまざまなコンテンツとの連携を図っていきたいと展望を述べた。

 バンダイナムコゲームスの浅沼氏もまた,日本のゲーム市場の売上のことを挙げる。さらに中国市場が一気に伸びていることを指摘し,日本のゲーム業界がどのように対応していくのかが大きな課題であるとした。

 KingのDale氏は,増加するスマートフォン/タブレットユーザーの中でも,とくに50代以上の高齢者が増えていることと,App StoreとGoogle Playの台頭により,誰でも新しいゲームを立ち上げられるようになったことを挙げる。
 またKingが,日本,韓国,中国でそれぞれ異なるマーケティング手法を採用していることを示し,そうした国ごとの展開が重要になっているとした。
 さらにDale氏は,世界から見た日本市場の魅力として,ゲーム文化の発祥の地であること,売り上げおよびダウンロードの規模が大きいこと,「パズドラ」に代表されるようにゲームプレイやプロモーションの新しい手法が生まれていることを挙げていた。

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 そうしたDale氏の弁を受けて,次の話題は,日本から世界市場にどう展開していくかについて,ほかの4名が意見を述べた。
 高橋氏は,まず日本で訴求できるコンテンツを作り,次にアジア展開を考えるという。また「ブレイブ フロンティア」iOS/Android)の世界的な成功は,ローカライズにあたって単に翻訳するだけではなく,各海外拠点がそれぞれに合わせたカルチャライズを行ったからであるとの見解を示した。

 馬場氏は「世界市場はどんどん人が入れ替わっていくので,広くて深い。ある意味,怖い」と表現。その一方では,まだ日本展開しかしていない「白猫プロジェクト」iOS/Android)が,香港や台湾でプレイされ,売り上げも結構な額に達していることを紹介し,「コロプラのコンテンツは世界で勝負できるのではないか」と自信を見せた。

 里見氏は,スマートフォンゲーム市場が世界で同時に成長していることを指摘。アーケードゲームやコンシューマゲームでは,まず先進国から伸びていったが,スマートフォンゲームの場合は,アジアや南米の諸国も同じように伸びているというわけだ。
 またスマートフォンゲームでは,App Store/Google Playの登場により,世界各国へのディストリビューションが劇的に簡単になっていることも指摘。加えて,コンシューマゲームのような嗜好の多様化がまだ見られないので,かつての「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のように,世界同時にヒットするタイトルが登場するチャンスがあるとした。

 浅沼氏は,バンダイナムコゲームスが得意とするキャラクターIPを武器に,アジア展開を優先的に考えているという。具体的にどう展開するか,どうゲームを遊んでもらうかを考えることが,今後の課題であると話していた。

 以上をまとめて鵜ノ澤氏は,「この1年,すべてを把握できている人がいないほど,多種多様なことや変化が起きている」とし,業界の垣根を越えてさまざまなコンテンツが融合していると,現状を説明した。

 続いて,日本/米国/フランス/インドネシアのApp Storeのトップセールスランキングが示され,パネリストがそれぞれの見解を述べた。
 Kingの「Candy Crush Saga」iOS/Android)は,各国で高い順位に入っているが,その理由をDale氏は,それぞれの国においてまずユーザーを獲得することを優先し,そのあとでマネタイズを考えるようにしていると話す。
 Dale氏によれば,ユーザーを獲得する手法として,米国やフランスではFacebookをはじめとするSNSの活用が重要であるとする。一方,日本のような国では,パブリッシャなどのパートナー選びが重要とのことだ。

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 浅沼氏は,日本のランキングが独特である反面,売上が世界一であることに触れ,まだまだ日本の企業には世界でランクインするチャンスがあるとする。もちろん,逆に世界からの有力タイトルが日本でランクインしてくる可能性もあるので,どう対応するか,どう共存していくかが重要になると語った。

 里見氏は,米国などのランキングでは,日本のタイトルであっても,そのときどきのイベントの内容によって上位に食い込むことを挙げ,セガネットワークスで全体の売り上げが世界のトップ3に入ることを目標にしていると明かした。とくに「ブレイブ フロンティア」の世界的な成功により,セガネットワークスでは「チェインクロニクル」iOS/Android)の世界展開にかなり前向きになっているそうだ。

 これに関連して馬場氏は,世界的にはPvPの人気が高く,里見氏が示したような運用による波のないタイトルが強いとし,現在,コロプラでもそうしたタイトルを手がけていることを紹介。市場の比率を考えると,この先1〜2年でコロプラの売り上げの4〜5割を海外からのものにしたいと展望を語った。

 高橋氏は,日本のタイトルの世界展開に関して,どの言語に対応するかが需要だとする。当然ながら英語に対応すれば,世界のさまざまな国で展開可能となるが,1か国でしか使われていない言語では,その国にしか展開できないというわけである。 
 一方,鵜ノ澤氏は,バンダイナムコゲームス社内で,「なぜスマートフォンゲームでは,コンシューマゲームのように多言語同時展開を試みないのか」と疑問を投げかけたところ,「スマートフォンゲームでは運用が重要となるので,コンシューマゲームのように言語を翻訳しただけでは通用しない」と諭されたとのことだ。

 さて,それでは企業がグローバルカンパニーとして展開するための課題とは何だろうか。
 Dale氏は,日本で展開し始めた頃の「Candy Crush Saga」は非常に翻訳が悪かったことを示し,そのあと広告に日本人ディレクターを起用したあたりから売り上げが伸びていったことを紹介。ここまでのディスカッションで挙がっていたとおり,きちんと各国にフォーカスしたローカライズや広告展開を行うことが重要であるとした。

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 高橋氏もまたプロモーションの重要性を挙げ,現地でメディアに関与しているスタッフの力を借りないとうまくいかないとする。またローカライズにしても,ときにはゲーム的な意訳をしないと,なかなかプレイしてもらえないという。

 里見氏は,日本のコンテンツは,まず日本で受け入れられるものでなければならないし,それは他国も同じだとする。セガネットワークスでは,それぞれ自分のテリトリーでヒットして初めてほかの拠点に展開したり,現地のパートナーを考えたりといったことを検討するとのことだ。
 これに関連して浅沼氏も,それぞれのコンテンツに適した手法をきちんと検討する必要があるとし,馬場氏はそもそも面白いゲームでなければヒットしないと話していた。

 最後のテーマは,「2015年,それぞれどのような展開を見せたいか,課題は何か」というもの。
 鵜ノ澤氏は,日本のスマートフォンゲーム市場全体を見据え,浅沼氏が語ったように,まだまだ日本企業が世界市場に食い込むチャンスは多いと語る。
 馬場氏は,企業として継続的に事業を継続していく中で,面白い新作をリリースしていきたいとした。
 浅沼氏はMobageにおける「ワンピース」の新タイトルリリースと,中国および北米への展開を挙げる。
 高橋氏は「ブレイブ フロンティア」の継続と,話題性のある新タイトルのリリースを挙げる。
 またDale氏は2015年内に,新タイトルを日本でリリースすることを発表した。

 そして里見氏は,上記で述べた世界のトップ3を目指すため,セガネットワークス全体で最低でも1000億円の売上を目指すという。また業界的には,「日本のタイトルが世界でこれだけ注目を浴びるのは10年振りくらいではないか」とし,2015年は日本発のタイトルが世界を席巻するくらいの勢いがほしいとまとめた。

 ディスカッションの最後には,モデレーターの浅見氏が,これまでの世界の歴史を踏まえ,「産業は,多様性を許容することにより,一段と大きく強くなっていく」とコメント。さらに「今,ゲーム業界は転換期にあるが,その中で議論を重ねることで,さらなる高みに上れるのではないか」と述べて締めくくった。

4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト

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