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Google,ディープラーニングにより“自ら学ぶ”囲碁プログラムでプロ棋士に初めて勝利。3月には“世界最強”と目されるイ・セドル氏との対局へ
プレイヤーが考えうる囲碁の打ち手は,将棋やチェスに比べて桁違いに多く,チェスと比較するとグーゴル倍(10の100乗倍)にもなるという。「将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER」などでコンピュータ将棋に興味を持った人なら直感的に分かると思うが,この圧倒的な検討パターンの多さにより,可能性のあるすべての手をコンピュータプログラムが“総当たり”で検討する方式では,どうしても限界があるわけだ。
しかしアルファ碁は,従来からあるモンテカルロ木探索(※1)とディープニューラルネットワーク(※2)を組み合わせたシステムを採用し,この問題を突破した。具体的には,囲碁の達人達による3000万を超す打ち手を用いたトレーニング,そしてアルファ碁自らのニューラルネットワーク間での対局によって,アルファ碁自身が新たな戦略を学びとり,強くなっていくというアプローチがとられたわけだ。
※1 筆者自身が詳しくないため詳細は省くが,大雑把にいうと“コンピュータ囲碁において非常に有用”とされるアルゴリズム
※2 こちらも同様に詳細は省くが,多層化されたニューラルネットワークのことで,これを利用した機械学習のことをディープラニーングと呼ぶ
樊麾(ファン フイ)氏 |
李 世乭(イ・セドル)氏 |
今回の成果としてGoogleが強調するのは,アルファ碁が,特定の問題を解決するためのアルゴリズムだけでなく,「普遍的な機械学習技術によって囲碁を自らマスターした」という点である。ディープニューラルネットワークによる機械学習技術には汎用性があり,将来的には,気候モデリングや,複雑な疾病分析に応用できるかもしれないというわけだ。
いずれは,こういった技術の恩恵を強く受けたゲームも登場することだろう(最後にとってつけたようで恐縮だが)。未来的な技術に関心の高いゲーマーは,3月に行われる頂上決戦も含め,技術の動向に注目しておくといろんな未来が見えてきて楽しめるかもしれない。
Google Japan Blogのエントリ「AlphaGo: マシンラーニングで囲碁を 」
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