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中国産のB2B向けVRシステム「Project Alice」がSVVR2016に出展。ヘッドマウントディスプレイを装着したまま,バスケットボールを投げ合ってきた
同社は元々,モーションキャプチャアニメーション技術を専門にしており,業界では一定の知名度を持っているメーカーだが,これまでに培った独自のセンサー技術や解析技術を応用し,既存のハードウェアの感度をさらに高めることに成功したという。SVVR2016の出展ブースには,5人1組で参加できるデモが用意されており,「Rift」のDK2とWiiリモコンを使ったVR体験が可能になっていた。
DK2とWiiリモコンにはマッチ箱程度のIMU(Inertial Measurement Unit/慣性計測装置)が装着されているほか,バーチェアやソファ,ごみ箱,バスケットボールなどにもパチンコ玉ほどのモーショントラッキング用マーカーが付いていて,周囲の専用カメラ6台でトラッキングする仕組みだ。各体験者のDK2はノートPCにつながれており,そこからさらにメインコンピュータに情報が送られることで,5人のアバターがVR空間に出現する。
デモの内容は,Wiiリモコンをレーザー銃に見立てて,数メートル先を飛んでいく風船を撃ったり,積み木を並べてみたり,さらにウイスキーのボトルで周囲の人に殴りかかるといったものだ。箱やバスケットボールにもマーカーが付いているので,箱やボールをほかの参加者に投げても,タイミングが狂うことなく受け取れる。
このデモを担当した開発者は,バスケットボールの指スピンを特技にしているようだったが,そのアニメーションまでもしっかりと再現されていた。こうした動きをVRヘッドマウントディスプレイを装着したままでできるのだから,その感度の高さをうかがい知れるようだ。
現時点でVRゲームと言えば,1人で遊ぶタイプが圧倒的に多いが,複数のプレイヤーが1つのVR空間に存在するという「Project Alice」の趣向は面白い。デモには,8気筒エンジンをVR空間で再現するというものもあったのだが,1人の体験者が触れた途端,無数のパーツに飛び散ってしまうという仕掛けになっていた。
それらのパーツを1つ1つ拾うことも可能で,このアイデアを突き詰めれば職業訓練などにも役立ちそうだ。それぞれ離れた場所にいる参加者がVR空間に集まって共同演習するといったことも,将来的には可能になるかもしれない。
「Silicon Valley Virtual Reality Conference & Expo 2016」公式サイト
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