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デジタルガジェット「X-TAG」のメディア先行体験会レポート。光線銃とスマホのタッグで次世代サバイバルゲームが誕生する?
2003年には後継機「サバイバーショット リボルブ」がリリースされ,2006年までにいくつかのバリエーションが発売されるほどの人気作品となっているだ。
X-TAGは,タカラトミーとライバーが共同開発中の商品で,2019年2月28日にタカラトミーモールにて,クラウドファウンディング形式で予約受付がスタートしている。光線銃とスマホを組み合わせ,現実世界で次世代感あふれるバーチャルなバトルロイヤル対戦ゲームが楽しめるという商品だ。
「X-TAG」公式サイト
光線銃とスマホでどんな遊びが可能になるのか気になる読者もいるだろう。そこで今回,3月1日に東京都内で開催されたメディア向けの先行体験会に参加してきた。まだα版ということもあり,製品の見た目はこれからといったところだが,実際にプレイしてきた感想やプレイフィールをお届けしよう。
体験会の前に,開発者であるタカラトミー ニュープロダクト事業部プロデュース課の大沢 孝氏から,本プロジェクトについての説明があった。それによると「YouTuberをはじめとするインフルエンサーと協力して,若者が本当に欲しいものを作っていこう」というのがX-TAGプロジェクトだという。かつてトミーから発売された光線銃サバイバーショットとその技術をスマホと連動させることでIoT化し,ゲームとして活用するというのが今回のコンセプトとのことだ。
共同開発したライバー X-TAGプロジェクト担当コンテンツプロデューサーの関口ケント氏も,「X-TAGは通常のおもちゃ作りとは違い,YouTuberやTwitterなどのインフルエンサーから,いま何が面白いかをヒアリングし,それをおもちゃとしてどう提示できるかという観点で開発を進めてきました。あまりおもちゃに触れない人達や,おもちゃを触らなくなった人達に,X-TAGとアプリを通じて,遊んでもらえれば」と意気込みを見せた。
スマホの画面で情報を得ながら光線銃を撃つ! 多彩な弾種を任意に変更できる面白さはデジタルならでは
今回の体験会で使用された銃筐体とアプリは,開発度で言えば40%程度のものだ。とくに銃筐体は,サバイバーショットに基盤やバッテリーなどを追加した,いかにも試作品らしい代物となっていた。しかし,機能的には製品版と同等のものを備えているという。
こちらが体験会で使用した銃筐体。いかにも開発中という姿だが,これはこれで……とメカ心がくすぐられる。機能的に問題はないが,スマートフォンホルダーがないため,右手に銃,左手にスマホという感じで,それぞれを手に持って対戦した |
こちらが商品となった場合のデザイン。銃口から赤外線が発射され,上部にある透明の筒がセンサーで,ここに赤外線がヒットするとダメージを受ける。スマホは銃の後方にセットして操作する |
サバイバーショットでは,センサーを頭に装着してゲームが行われていたが,X-TAGでは銃に360°全方位からの攻撃を感知する「フルレンジセンサー」が付けられている。
スマホをセットするホルダーの場所は銃の後方に固定となっているが,「銃の横にスマホを展開できるように付ければ,『デビルサマナー ソウルハッカーズ』のGUMPみたいにできるのでは」と,つい考えてしまった。GUMPはともかくとして,そういう要望もありそうではと大沢氏に聞いてみたところ,デザイン時にそういう意見もあったという。しかし,ヒンジなどの強度問題や,右利きか左利きかで不便になるといった問題があるため,センター後方に落ち着いたのだとか。なるほど,納得の理由だ。
実際のところ,銃とスマホはBluetoothで接続されているため,今回の体験会のように銃に直接ホールドしなくても問題ない。ならば,アタッチメントで腕にスマホを装着すれば「真・女神転生」ごっこができるのではないかと,懲りずに考えてしまうのだった。
銃と対になるアプリは,ゲームのルールを司ると同時に,プレイヤーの装備やHPを管理する機能を持っている。各プレイヤーのデータやステータスはスマホを通じてサーバー上で管理されるのだ。
ゲームの大まかな流れは,プレイヤーがルームを作り,そこに最大64人のプレイヤーが入場してゲームスタート。フィールド上のアイテムを拾いながら銃撃戦を繰り広げ,最後まで生き残ったプレイヤーが勝者となる。
試合の時間はルームを作成したプレイヤーが設定できる。入場後からスタートまでの間に数分間の余裕があるが,この間に散らばって有利なポジションを取るのが生き残るためのポイントになるだろうか。
対戦人数は先述したように最大で64人だが,64人によるバトルロイヤルのほかに,16人を1チームとした4チームによるチーム戦も可能だという。複数人が残った場合は,倒した人数やヒット数などを集計したうえで勝者が決まるそうで,いずれはランキング制度などを設けたいとのことだった。なお,未定のものだが,フラッグバトルというモードも予定しているという。
また,サーバーを介さずにオフラインでも対戦も可能となっている。オフラインの対戦では,後述する弾種とレーダー機能が一部制限される。
銃から発射されるのは赤外線だが,発射する弾種をスマホで変えられるのがX-TAGの特徴だ。弾種は単発のハンドガン,連射が可能なマシンガン,強力なレーザー,超強力なミサイルの4種。弾種というよりは,銃の形態の変更というのが正しいのかもしれない。これをスマホの画面でタッチしながら切り替えて戦うことになる。ハンドガンとマシンガンは弾切れの概念があり,弾切れ時に画面をタッチすることでリロードできる。
X-TAGにはGPSを使ったレーダー機能も搭載されている。自分を含めたプレイヤーがレーダーに表示されていて,どこにいるかが分かるというものだ。もちろん,現実世界の障害物は反映されないため,どの方向に誰がいるということしか判断できない。このレーダーと目視を併用して,戦うのが勝利への鍵となりそうだ。
また,このレーダー画面からは,手榴弾を放つこともできる。画面上の手榴弾をドラッグして,レーダー上のプレイヤーの上に動かしてドロップすればOK。ただし,手榴弾の爆発は自身にもダメージを与えるので,使う時は慎重に行いたい。
大沢氏と関口氏からX-TAGの基本的なレクチャーを受け,いよいよ体験してみることになった。
実際にプレイしてみると,銃とセンサーが一体化していることもあり「やられるまえにやれ」的なプレイになっていまいがちなところがある。それでも,サバイバルゲームのように,撃っては隠れ,そして弾種を変えて再度攻撃,などバリエーションのある戦いが楽しめた。
GPSによるレーダー機能は,今回の体験会は少し会場が狭かった(測定距離を切り替えても,密集した状態になってしまった)ためにあまり活用できなかったが,もっと広いエリアでプレイすると戦術的な面白さが生まれるのではないかと思う。なお,室内でプレイした場合,レーダー機能の反応が悪いかもしれないということで,そこについては課題でもあるとのこと。今回の体験会ではレーダーが随時表示されていたが,製品版ではレーダーアイテムを入手しないと機能が使えないようなバランスにするかもしれないとのことだった。
また,弾種の変更については,面白みがあるものの,どの弾種でも射程距離は約50メートルと変わらないのが気になった。例えばアイテムを拾うと射程が伸びるようなギミックがあってもいいのではと聞いてみたところ,やりたかったが赤外線の有効射程は伸ばせないという,アナログ的な限界で断念したという。ならば逆にハンドガンやマシンガンの有効射程を下げることはできないかと思うが,おそらくそういったものも検証済みで難しいのだろう。弾種による差を,残弾や威力以外の形で表現できれば,よりバリエーションのある戦いができるのではないだろうか。
今回の体験会で用いられた銃筐体やアプリは,まだまだ開発中のもので,これからどんどんアップデートされていく。銃筐体は発表されたデザインどおりに商品化するだけだが,アプリについては,よりサバイバルゲームらしさが追求されていくという。今後,以下のような機能が追加される予定とのことなので,開発中の画面と共に紹介しよう。
X-TAGプロジェクトによって生まれた光線銃とスマホによる現実とデジタルの融合は,現実世界でのサバイバルゲームに新たな可能性を見せてくれた。デジタルゲーム側の視点で見ると,弾種などの扱いに分かりやすいバリエーションがあれば,もっとゲーム的になるのではないかと思える。正式版に実装されるフィールド上でのファーム(アイテム集め)をはじめとした,デジタル寄りのゲーム性がどう転ぶか興味は尽きないところだ。
もっとも,デジタルでできてもリアルに反映できない。またはその逆といったように,アイデアがあっても両立できないことも多いそうだ。そこを乗り越えて,面白い結果が導き出されることに期待したい。
なお,クラウドファウンディング形式で予約受付がスタートしたX-TAGは,受注数が1万個を超えた時点で正式に商品化される予定だ。予約期間は,2019年5月7日の13:00までで,価格は1台につき5000円(税別)。かつて光線銃で遊んでいた人や,一風変わったデジタルがジェットが好きだという人,本稿を見て興味が湧いた人は予約してみてよう。
「X-TAG」予約ページ(タカラトミーモール)
「X-TAG」公式サイト
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