日本eスポーツ連合会長の岡村氏が功労賞，「MONSTER HUNTER: WORLD」が優秀賞を授賞した第24回AMDアワード授賞式をレポート

　デジタルメディア協会（Association of Media in Digital。以下，AMD）は2019年3月4日，「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー'18/第24回記念AMDアワード」の授賞式を東京都内で開催した。
　AMDアワードは，コンテンツ制作者の立場からデジタルコンテンツ産業の発展のために，デジタルメディアの質的向上ならびに人材育成を目的として制定されている。


　今回は，2018年1月1日から12月31日の間に，日本国内で発売/発表されたデジタルコンテンツおよびサービスの中から，「江並直美賞（新人賞）」「功労賞」「リージョナル賞」「審査員特別賞」のほか，「年間コンテンツ賞『優秀賞』」として10作品が受賞作品/受賞者として選出され，2月21日に発表されている。
　そして，「優秀賞」の中から「大賞/総務大臣賞」「AMD 理事長賞」が授賞式で発表される。

デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー‘18／第24回AMD アワード 年間コンテンツ賞「優秀賞」の受賞作品10作品が決定（PDFファイル）

授賞式の冒頭に主催者を代表して，デジタルメディア協会 理事長の襟川惠子氏が登壇。「ストリーミング配信はこれから5Gが始まりますが，デジタルとアナログが融合したコンテンツが重要視されている」と述べた

　今回，「功労賞」として，一般社団法人日本eスポーツ連合（JeSU）会長である岡村秀樹氏が授賞した。
　「全世界で熱狂を生みながら国内では火がつかない状況であったeスポーツジャンル発展のための基盤整備のために，JeSUを設立。会長に就任され，国内市場ができつつあるeスポーツ発展のために奔走されている。その献身と功績を讃えて」というのが授賞理由だ。


　登壇した岡村氏は，「1年前に日本eスポーツ連合を立ち上げ，日本でもeスポーツをメジャーにし，できれば産業化や選手の育成などをしていこうと現在も献身中です。eスポーツという言葉自体は，かなり浸透してきたと感じているが，まだまだ課題も山積みなので，これからも頑張ってやっていきたい」と話した。


　また，「年間コンテンツ賞『優秀賞』」をカプコンの「MONSTER HUNTER: WORLD」（PC / PlayStation 4）が授賞した。
　授賞理由は，「国内のみならず全世界に向けて放たれ，リアルな生態系の営みまで再現された濃密な世界を構築し，世界でも唯一無二のゲームへと昇華した。全世界累計出荷本数は2018年8月時点で1000万本を突破し，大型拡張コンテンツ「ICEBORNE」（関連記事）も発表されるなど，これからのさらなる進化に大きな期待をこめて」の授賞となった。


　「モンスターハンター」シリーズのプロデューサーであるカプコンの辻本良三氏が登壇。辻本氏は「モンスターハンターも今年で15周年を迎えますが，このMONSTER HUNTER: WORLDは，最新技術を使ってモンスターハンターというものを描き，全世界のプレイヤーに届けようというコンセプトがありました。発売前から発売された現在まで，世界中の多くの方々やプレイヤーに支えられており，本当に感謝しています。これからも日本から世界中のプレイヤーの方々に，良いゲームを提供できるように開発チーム一同，頑張っていきたい」と語った。

3DCGによる「バーチャルYouTuber」（VTuber）の草分けとして「キズナアイ」が優秀賞を授賞。会場にはキズナアイの授賞コメント映像が流された

口コミで広がり2018年に大ヒットした映画「カメラを止めるな！」が優秀賞を授賞。登壇した主演の濱津隆之氏は「デジタルかアナログかで言ったら振り切れるくらいアナログでして……」と会場の笑いを誘った

江並直美賞（新人賞）は，「パラデル漫画」が授賞。作者である，よしもとクリエイテイブ・エージェンシーの本多 修氏が登壇した

リージョナル賞は，熊本復興ドラマ「ともにすすむ サロン屋台村」が授賞。熊本県東京事務所の成尾雅貴氏が登壇した

審査員特別賞を2人組ユニットAmPm（アムパム）が授賞。音楽配信サービスSpotifyを使いレコード会社や大手事務所の力を借りずに世界進出を果たした

　最後に「優秀賞」の中から「AMD 理事長賞」「大賞/総務大臣賞」が発表され，「AMD 理事長賞」をライジングプロダクションのDA PUMPが，「大賞/総務大臣賞」をNHKの「チコちゃんに叱られる！」が授賞した。



　「AMD 理事長賞」を授賞したDA PUMPは，U.S.A.ダンスのステージパフォーマンスで会場を盛り上げた。DA PUMPのリーダーISSAさんは，これからも日本を元気にできるようなパフォーマンスを目指して頑張っていきます」と語った。

「チコちゃんに叱られる！」プロデューサーの水高 満氏とチコちゃんが登壇。総務副大臣の佐藤ゆかり氏より賞状とモノリスが贈呈された

　「大賞/総務大臣賞」を授賞した「チコちゃんに叱られる！」は，プロデューサーの水高 満氏とチコちゃん（永遠の5才）が登壇した。コメントを求められたチコちゃんは，お礼を述べた後，「ずっと気になっているんだけど，TBS，教えてくれない？」と授賞式の司会を務めていたTBSの笹川友里アナウンサーに「デジタルって日本語にすると何？」と質問。「電子的なもの」と答えた笹川アナを「ボーッと生きてんじゃねえよ！」と叱った。「デジタルとは，物質やシステムなどの状態を数字や文字などの信号で表現する方式です」とチコちゃんが解説した。

AMDアワード審査員長の夏野 剛氏

　今回の授賞式の総評として，審査員長を務めた慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野 剛氏は，「授賞作品は日本のコンテンツの幅の広さと底の深さが出ているバリエーションだと感じた。どんなジャンルのコンテンツであっても，当然のようにデジタルとアナログが使われていて，デジタルとアナログが融合された本当に良い作品が並んでいる」とコメント。「デジタル技術により，組織を使わずに個人でも限りない可能性を広げられる時代になり，これは個人にとって幸せなことで，これをどうやって組織の力にするかが問われている。組織が，その個々の力，技術の力を活かせる社会システムを作っていくことが強烈に後押しされているのかなと感じている」と語り，授賞式を締めくくった。