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外見もルールもパーティーライクに。協力カードゲームのリメイク作「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」の先行体験イベントをレポート
前作のシリアスなパッケージから一転,本作では人気イラストレーターの326(ミツル)氏によるアート―ワークを採用し,独自ルールの追加によりパーティーライクなゲームへと生まれ変わった。
本稿では,そんな本作のゲームルールとプレイフィールを紹介するとともに,本作のイラストを手がけた326氏も登場したイベントの様子をお届けしていく。
「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」商品ページ
会場となったカラオケパセラの一室には複数の体験卓が用意され,ボードゲームブロガーなどを含む約40名ほどの招待者が参加。ちょっとオシャレな雰囲気の中,イベントが始まった。
今回は先行体験会ということもあり,イベントの開始に合わせてさっそくゲームがスタート。というわけで,まずはゲームのルールを紹介していこう。
ゲームの参加プレイヤーは幼馴染の悪ガキ集団。とあるお化け屋敷を探索していたところ,ふとした瞬間に「呪われた本」の封印を解いてしまう。本からは呪いが放たれ,いままさに封印されていた悪魔が復活しようとしている。
プレイヤーは最大6人で協力してカードをすべて使い切り,悪魔が完全に解き放たれる前に封印せねばならない。ただし,本が解放された直後に振りまかれた呪いによって,プレイヤーは“数字を口に出せない”という呪いを受けている。限られた意思疎通手段の中で,なんとか悪魔を封印しよう――というのが,本作の筋書きとなる。
まずは,2〜99までの数字が書かれた数字カードをすべてシャッフルして,全員に人数に応じた初期手札(ほとんどの場合は6枚)を配る。その後,残ったカードを山札としてゲームシートの中央に配置し,その近くに手番順を「時計回り」「反時計回り」で示すカードを置く。
手番が回ってきたプレイヤーは,ゲームシートに表示された4か所の“封印の結界”に向けて,毎ターン手札を2枚以上出し,手札と山札をすべて使い切ることを目指すのだ。
結界は,だんだんと数字が上がるようにカードを置かなければならない「UP(昇順)」と,逆にだんだんと数字が下がるように配置せねばならない「DOWN(降順)」の2か所ずつに分けられる。このルールに従えなくなったらプレイヤー全員の敗北となってしまうので,可能な限り順繰りにカードを出していきたい。
ただし,先述の通り本作には「数字を口にしてはいけない」というルールがあるため,確実な意思表示は不可能だ。カードをうまく処理するためには「高めの数字がだぶついてるから,高い数字は残しといて!」とか「近い数字を持ってるからこの結界には出さないで!」といった“ファジーな意思疎通”をもとに行動を決める必要がある。
これだけだと運要素の強いゲームなのだが,ゲームに深みを与えているのが“必殺ワザ”の「10もどし」。これは「場に出ているカードからちょうど10だけ離れているカードは,結界のルールを無視して配置できる」という特殊なルールだ。
たとえば昇順結界の最後に置かれた数字カードが90だった場合,そこに80を置くことで81〜89までの数字を置けるようになる。数字を逆行させられる唯一の手段なので,いかに10もどしを発動させるかが勝利のカギとなるだろう。
ここまでのルールは,原作のTHE GAMEとほぼ同じだ。また,THE GAMEの拡張である「エクストリーム」や「オン・ファイア」にあった,プレイヤーの行動を制限するカードもいくつか用意されているが,それとは別に本作ではプレイヤーを有利に導いてくれる可能性を秘めた特殊カードもいくつか追加されている。
■特殊効果カード一覧
名称 | 枚数 | 効果 |
---|---|---|
リバース | 4枚 | 手番順カードを裏返し,手番順を逆にする |
スキップ | 4枚 | 次のプレイヤーの手番を飛ばす |
ショット | 4枚 | 自分以外で,次の手番プレイヤーを指定する。指定前にほかプレイヤーとの相談も可能 |
ドロー2 | 4枚 | 次の手番プレイヤーは山札からカードを2枚引く |
サイレント | 4枚 | このカードがいずれかの結界の一番上にある限り,プレイヤーは会話禁止。ジェスチャーは可 |
死の宣告 | 4枚 | 次のプレイヤーの手番が終了するまでに,このカードの上に別のカードが置かれていなければ,プレイヤー全員が敗北する |
実際に遊んでみると,この特殊能力に助けられるシーンは少なくない。あまりに数字が大きく飛んでしまう場面を特殊効果を活用して乗り越えた時は,かなりの“協力感”が味わえる。
自分の持っている数字を直接言えない以上,「ここに置きたい/ここに置かないでくれ」といった端的なやりとりに終始しやすいTHE GAMEだが,本作では特殊能力を絡めることでゲームが有利に進むということもあり,原作よりもコミュニケーションが重要になった印象だ。
手持ちのカードを検分しながら,「近い数字のショット持ってるけど,誰か出したい人は?」「次の人,出せる数字がなければスキップするけどどうする?」といった具合に,戦略を決定する要素自体が“会話のタネ”となっているため,自然に会話が楽しめる。
目標に向けて全員が協力し合うという原作の楽しさをしっかりと残しつつ,よりパーティーライクに進化している。THE GAMEに魅力を感じていた人はもちろんのこと,より手軽に楽しめるゲームを探している人にもオススメできそうだ。
ゲーマー向けの協力ゲームの名作を,ファミリーでも楽しめるパーティーゲームに
体験会が続く中,本作の編集を担当した刈谷圭司氏と,パッケージや追加ルールデザインを担当した326氏がステージに登壇。本作が発売されるまでの経緯を含むトークステージが披露された。
アークライトと326さんのタッグで制作された作品としては,2017年に発売された正体隠匿型ゲーム「タイムボム」を連想するボードゲームファンは少なくないだろう。
実は「オバケやしきとすうじのアクマ」はそれ以前から制作が進められており,後から着手したタイムボムが先にリリースされる形になったようだ。
もともと高い評価を得ていたTHE GAMEのリメイクに関しては,326さんから提案が行われたものだという。誰にでも楽しめる協力ゲームにしてはファミリー層が手を出しにくいパッケージや,国内においてはシンプルなタイトルが検索性の低さにつながっているという点を指摘。これらを解消する工夫として,タイトルやパッケージングの変更が実施されたのだという。
326さんは「僕は子供たちが集まるイベントもよく開催しているのですが,子供向けに提供できるものは少なかったんです。そこで,友達と仲良くなる素敵さを学べるような,知育にも役立つゲームを目指しました」と,プロジェクトの目指す先を語ってくれた。
それに合わせてゲームシステムにも手を加え,特殊効果カードを組み込むことでパーティーライクに楽しめる仕組みを追加。結果としてプレイ可能な人数も6人まで増え,よりとっつきやすい製品となった。
また,本作の企画を原作のメーカーであるNSV(Nurnberger-Spielkarten-Verlag)に相談したときにも,ふたつ返事でOKを貰えたとのこと。いつの日か,本作が逆輸入という形で海外に流れていく可能性もあるかもしれない。
ちなみに,本作のカードに描かれたアクマたちは数字の下一桁に対応しており(4なら死神など),その組み合わせには語呂合わせや小ネタが隠されているとのこと。中にはかなり難しいものも存在するので,気になった人は探してみよう。
そしてイベントの終盤には,カラオケパセラによる特製ハニートーストも登場。さらには,来場者全員に「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」の本体が配布された。なんとも太っ腹なイベントだが,今回の評判次第では今後も同じようなイベントを開催する可能性があるとのことなので,ボードゲームファンは期待しておこう。
以上で今回のイベントは終了となった。本作はすでに,全国のボードゲーム取扱店にて販売が開始されている。ゲーム内容が気になった人は,通販や店頭で手にとってみよう。
また,アークライトの公式Twitterでは「326さんにLINEスタンプを作ってもらうぞ! キャンペーン」が開始されている。こちらは,Twitterを通じてキャラクターのセリフを投稿し,それをLINEスタンプ化しようという企画だ。興味がある人は,そちらも要チェックだ。
「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」商品ページ
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