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東京ゲームタクト2019の公演「吹奏楽で響かせるアクションゲームの音楽」をレポート。ほかのプログラムとは一味違うノリのいいステージが展開
タイトルの通り,吹奏楽によるアクションゲーム楽曲のコンサートとなったわけだが,演奏だけではなく,指揮者の松元宏康氏やスペシャルサポーターによるトークも弾み,楽しいステージとなった。
「吹奏楽で響かせるアクションゲームの音楽」
2019年6月2日(日) 11:30開演
指揮:松元宏康 演奏:ゲームタクトウィンドオーケストラ / ブリッツ フィルハーモニック ウインズ
スペシャルサポーター:オザワ部長 / さんしろう吹奏楽部
■セットリスト
「真・三國無双2」より
・ARENA
作曲:コーエーBGM部 編曲:木原 塁
ゲスト奏者:中條謙自
「PATAPON」より
・パタポンの伝説
・ギョロッチのテーマ
・ポンベラボ〜!
・ずんじゃかホイ!〜凱旋〜
作曲:足立賢明 編曲:葛西竜之介
「悪魔城ドラキュラ」より
・Vampire Killer
「ドラキュラII 呪いの封印」より
・Bloody Tears
「悪魔城伝説」より
・Beginning
作曲:コナミ矩形波倶楽部 編曲:葛西竜之介
−休憩−
「クラッシュ・バンディクー2 〜コルテックスの逆襲!〜」より
・クラッシュ万事休す
作曲:岡田 徹 編曲:永井秀和
「風のクロノア door to phantomile」より
・I'M ON YOUR SIDE
・THE WINDMILL SONG
・THE RONGO LANGO
・GRANPA'S CHAIR
・WEEPING KARAL
・BALADIUM'S DRIVE
・RESURRECTION
作曲:井村絵里子 / 小沢純子 / 中西哲一 / 高橋弘太 / 辰田朋子 編曲:成田 勤
「塊魂TRIBUTE」より
・ 灼熱のサバンナ高等学校
作曲:BNEI(矢野義人 / 三宅 優 / 境亜寿香 / 戸部田英樹 / 三角由里 / 遠山明孝) 編曲:高橋宏樹
「NiGHTS into dreams...」より
・DREAMS DREAMS
作曲:ササキトモコ 編曲:木原 塁
「超魔界村」より
・Kidnap
・Map
・Level1
・Level1 Boss
・Level2
・Gameover
・Continue
作曲:カプコン・サウンドチーム 編曲:木原 塁
「ロックマン2 Dr.ワイリーの謎」より
・GAME START
・METALMAN STAGE
・FLASHMAN STAGE
・QUICKMAN STAGE
・Dr.WILY STAGE 1
・STAGE CLEAR
作曲:カプコン・サウンドチーム 編曲:木原 塁
※アンコール
「モンスターストライク」より
・モンスターストライクテーゼ
作曲:桑原理一郎 編曲:江原大介
(敬称略)
コンサートは「真・三國無双2」の「ARENA」で開幕した。演奏には本楽曲を手掛けた中條謙自氏も参加し,吹奏楽がヒロイックなメロディを奏でるなか,ギターで盛り上げていたのが印象的だった。
1曲目の終了後,指揮者の松元宏康氏がマイクを取り,客席に向けて「この公演は演奏会ではなくライブです」と宣誓。前日に行われたオーケストラコンサートとは趣が違うことをアピールしていた。
また,演奏に参加した中條謙自氏も登壇。「真・三國無双2」の楽曲はゴリゴリのハードロックがメインではあるが,「ARENA」はギターで奏でるロックでありつつもメロウな雰囲気が漂う楽曲となっていると解説した。
続く「PATAPON」のパートでは,演奏者のかけ声に来場者が応えるという,ゲームと同様にコール&レスポンスをするという演出が設けられていた。直前に少し練習をしただけにもかかわらず,本番では「ポンポンパタポン!」「ウゥ〜ヤッホッホイッ!」といった見事なかけ声が決まり,ステージと客席の一体感が高まっていく。打楽器のリズムに合わせて流れる民族音楽風の楽曲も相まって,大きな盛り上がりを見せていたのが印象的だった。
松元氏も初めて行ったというこの演出がいたく気に入ったようで,「コール&レスポンスコンサートとかどうです?(笑)」と尋ねると,客席から大きな拍手が上がっていた。
前半最後のパートは「悪魔城ドラキュラ」初期3部作のメインテーマをメドレーにて演奏。ファミコンゲームミュージックの中でも,とくに有名な楽曲群を吹奏楽アレンジのメドレーで楽しめた。
休憩を挟んで後半は,スペシャルサポーターである吹奏楽作家のオザワ部長さんと吹奏楽芸人のさんしろう吹奏楽部さんが,演奏の合間に松元氏とともにトークを展開。また,ここからは一般公募によって全国から集まった100名以上の吹奏楽奏者が「ゲームタクトウィンドオーケストラ」として壇上へと上がり,ブリッツ フィルハーモニック ウインズと共演した。
「クラッシュ・バンディクー2 〜コルテックスの逆襲!〜」と「風のクロノア door to phantomile」のパートでは,合計88名が登壇し,重厚な演奏を展開した。前者はCMでもおなじみの同じフレーズを速いテンポで繰り返す楽曲で,松元氏は客席を煽って拍手を求めた。
一方の「風のクロノア」のパートでは,爽やかさと明るさが強調された楽曲のメドレーとなっており,緩急のある選曲はゲーム体験を意識させる内容に仕上がっていた。
「塊魂TRIBUTE」のパートでは,ゲームタクトウィンドオーケストラの一部メンバーを入れ替えて演奏。「灼熱のサバンナ高等学校」は「みんな大好き塊魂」に収録されている「灼熱のサバンナ」の吹奏楽アレンジ曲で,ゲームにも生演奏した音源が収録されており,本公演にはぴったりの選曲となった。
そして「NiGHTS into dreams...」からは,メインテーマの「DREAMS DREAMS」をチョイス。サクソフォーンによるボーカルパートのソロ演奏がムーディーな雰囲気を演出し,来場者を楽しませていた。
「NiGHTS」パートでゲームタクトウィンドオーケストラは降壇。公演最後のパートでは,カプコンの名作アクション「超魔界村」「ロックマン2 Dr.ワイリーの謎」の楽曲を使用したメドレーが演奏された。
「超魔界村」は,デモ画面とゲームスタートからステージ2までのゲームプレイを想定したメドレーで,プレイ経験がある人ならニヤリとできたのではないだろうか。
そして最後のパートとなった「ロックマン2 Dr.ワイリーの謎」は,前年の東京ゲームタクト2018でも演奏されたが「ファンから再演の要望が多かったタイトルで,今回それが実現した」と松元氏は語る。各ステージの名フレーズを管楽器のソロ担当が演奏するという演出も盛り込まれ,同作でも屈指の人気を誇る「Dr.WILY STAGE 1」で盛り上がりは最高潮に達した。
アンコールでは公式サイトで告知されていた来場者参加型の企画が実施された。これは会場に楽器を持参すれば,客席前方で演奏に参加できるというもので,ブリッツ フィルハーモニック ウインズに加え,ゲームタクトウィンドオーケストラ,オザワ部長さん,さんしろう吹奏楽部さん,「ARENA」でギターを演奏した中條謙自氏,作曲者の桑原理一郎氏,さらに楽器を持参した来場者が全員で「モンスターストライクテーゼ」を演奏した。軽快な楽曲に合わせて手拍子も鳴り響き,ホール全体が一体化した演奏で全演目は終了となった。
「東京ゲームタクト 2019」公式サイト
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