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木谷高明氏が「バンドリ!」のヒットの道のりをとおしてメディアミックスコンテンツ作りを語った,バンタンゲームアカデミーでの講演会をレポート
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印刷2019/07/29 15:32

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木谷高明氏が「バンドリ!」のヒットの道のりをとおしてメディアミックスコンテンツ作りを語った,バンタンゲームアカデミーでの講演会をレポート

 2019年7月16日にバンタンが運営する総合エンターテイメントスクール「バンタンゲームアカデミー」の東京校にて,ブシロード取締役の木谷高明氏を招いた特別講演会が行われた。

 講演会のテーマは「現在を突き抜くメディアミックスコンテンツの道」。同校の生徒や入学希望者といったゲーム業界を目指す学生たちに向け,「BanG Dream!」プロジェクト(以下,バンドリ!)の道のりをとおして,アニメ,ライブ,そしてゲームといったさまざまな展開を行うメディアミックスコンテンツの作り方が説明された。

ブシロード取締役 木谷高明氏
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 1994年にブロッコリーを設立し,2007年に退社ののちブシロードを設立した木谷氏。現在は取締役の職務だけではなく,カードゲームコンテンツやモバイルオンラインゲーム事業と各種広報宣伝に従事し,子会社となるブシロードミュージックの代表取締役社長を兼任している。
 受講者の中には,熱心なバンドリ!のファンがたくさんいる一方,同プロジェクトの作品を見たことがないという人がいるのを知り「まだ開拓の余地がある」と笑いを誘った木谷氏は,バンドリ!の企画立ち上げ時について話した。

 「キャラクターとリアルライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト!!」というキャッチフレーズで2015年にスタートしたバンドリ!の企画が動き出したのは,2014年3月ごろ。のちにバンドリ!で戸山香澄役を担当することになる声優の愛美さんが,ある作品のライブでギターを弾いており,それを見たブシロードの社員が「愛美さんにガールズバンドをやってもらいたい」と嘆願してきたことから始まったという。

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 かねてから音楽コンテンツに対して大きな可能性を感じつつも,「ただバンドをやるだけではなく,コンテンツにしなくてはダメだ」と考えていた木谷氏は,プロジェクト立ち上げ時点から1年後のライブ実施,アニメとゲームでの展開も計画。実際にライブを行うため,まずは楽器演奏ができる声優を探した。そこからは,声優それぞれの雰囲気に合わせたキャラクターデザインを進め,並行して世界観設定やストーリーを中村 航氏に依頼したという。

 ほかにもさまざまなメディアミックスコンテンツを手掛ける木谷氏は,自身が手がけるプロジェクトはすべてバンドリ!同様に,複数の会社と連携した形でのアニメ化やゲーム化を見据えて立ち上げているという。10〜20億円という大きな金額が動くものだが「そういった覚悟がなければ大ヒットは生まれない」と断言している。

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 音楽クリエイター集団「Elements Garden」に楽曲制作を依頼したときは,音楽プロデューサーの上松範康氏に「忙しい声優の皆さんがバンドとしてデビューするには,圧倒的に練習量が足りない」と指摘された。
 それでも「“声優が実際に楽器を演奏するライブ”という新しいエンターテインメントを実現するためにはElements Gardenのサウンドが絶対に必要だ」と説得し,現在に続く信頼関係が生まれた。なお,各バンドの声優たちは,このときの上松氏の言葉にならい,現在も毎日欠かさず練習を行っているそうだ。

 2015年1月の企画開始とともに漫画連載をスタート。4月にはバンド「Poppin'Party」のライブ活動が始まったが,2015年内に行われた4回のライブはまだ実験的な段階で,ファンや観客からのフィードバックを元に洗練することを考えていたという。
 2016年にあらためて“ファーストライブ”となる「BanG Dream! First☆LIVE Sprin'PARTY 2016!」を開催し,アニメ化を発表。1年後の2017年1月にTVアニメが,3月にスマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」iOS / Android。以下,ガルパ)がスタートした。

 「(アニメやゲームは)高いクオリティが求められる時代なので,何事も計画的にやることが大事」と,あらためて企画立ち上げ当初から企画していたアニメとゲームについて語った。

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 木谷氏はバンドリ!における数字の面についても解説。ガルパは,リリースされた2017年3月でユーザー数100万人(重複なし)を突破。現在は国内だけで950万人を超えているという。
 とくに力を入れていているというSNSは,バンドリ!公式Twitterのフォロワーが53万人,ガルパの公式Twitterはフォロワー143万人を記録。「ユーザーが常に遊びに来たくなるような更新を常に心がけている」という公式YouTubeチャンネル「バンドリちゃんねる☆」のチャンネル登録者数は約50万人で,マンスリーユーザーも200万人前後が存在しているとのこと。
 また2019年2月に6枚同時リリースしたシングルCDのすべてがオリコンウィークリー10位以内に入ったことを挙げ,「ニュースはあるものではなく,作り出すもの」と説き,アイデアを少しひねるだけでもニュースとしてのバリューが生み出せることを述べた。

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 こういった仕掛けにおいて課題として,保守的な世の中となっていて新しいものが受け入れられづらく,消費者が慎重になっているという点を挙げた。
 「1人ひとりの受信できる情報量は昔からあまり変わらないのに,世の中に流れている情報量がとんでもなく増えている」と話す木谷氏は,多くの情報をまともに受けていたらおかしくなってしまうので,無意識のうちに頭を使わないようにしている人も多く,その結果,流行りに乗るだけになっている人も多いのではないかと考えているそうだ。
 「勝っているものがより勝つのが今の世の中。単なるヒットでは続かないので,大ヒットにしないといけない」と,コンテンツを継続するうえでの苦労を語った。

 また,ここでは,47年の歴史があり,2012年にブシロードの子会社となった「新日本プロレスリング」を例に,“続いているコンテンツを大事にする”という考えが重要であることを語った。
 これからのコンテンツ作りにおいて,昔から変わらない感動できる文化や習慣をもう一度磨いて出すのも1つの手。実はバンドリ!や「ラブライブ!」がヒットしている理由の1つに,かつての「スポ根モノ」における成長物語が込められている点を挙げた。

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 講演会の後半では,事前に募った疑問や受講者からの質問に答える質疑応答のコーナーが設けられた。そのいくつかをピックアップして紹介したい。

 まずは「コンテンツ作りにおいて,プレイヤーが求めているものをどのように調べるのか」という質問について。木谷氏は「マーケティングでは大ヒットは作れない」と回答した。
 仮にアンケートを取ったとしても,それで得られる結果は必ず過去の事例があり,あくまで現状における最適解という程度の参考にしかならない。本当の大ヒットにつなげるには,「表に出ない潜在需要をくみ取る」「需要を作り出すこと」が重要だと話す。
 バンドリ!の立ち上げ時も,ジャンルに強いスタッフほど「ガールズバンドは売れない」と話していたが,その事情をあまり知らなかった人たちの半ば“思い込み”で進めた結果,成功につながったという。

 「ゲームをデザインするうえで気をつける点や,ありがちなミスはなにか」という質問についても,「アニメやコミック,小説などの知識がある人間ほど,意外にもヒットが出せない」と話した。その理由は「避けるから」。いろいろなものを知っているほど隙間を狙う傾向が強くなってしまうのがその理由で,知らない人のほうが好き勝手に作ってヒットを飛ばしていると述べる。
 また,ヒットしないからといって脇道に逸れていくのではなく,堂々と王道を行くべきで,いいと思ったものは尊敬を持って模倣することも必要だと答える。クリエイティブにおいていちから想像されるものはほとんどなく,多くのものが何かしらの模倣から派生しているというのがその理由だ。

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 「プロデューサーとして最も重視していることは」という質問には,「関わっている人のパッションや,突破する力」と答え,それによって生まれるオリジナルコンテンツを作るうえでの苦労を話した。
 原作という「神」が存在し,判断を原作サイドにゆだねることもできる版権モノに対し,オリジナルはその神を作るところから始まるため,立ち上げに関わっているスタッフそれぞれに正義がある。そのため,とくに初期段階では小さなことからぶつかり合いが発生し,会社を辞めるスタッフが出ることも珍しくない。木谷氏はこれを仕方がないことではあるとしつつ,そういったスタッフの考えを上手くマネージメントするのがプロデューサーの仕事であることを説明し,プロデューサーを目指す人に「最初は版権モノから経験し,作ることに慣れるといい」とアドバイスを送った。

 「学生のうちに身に付けておくべきことは」と聞かれた木谷氏は,「若いうちにいろいろな経験をしてください」と説いた。とくに海外へ行くことを強く勧めており,「入国審査から始まる独特の緊張感は,ぜひ味わってもらいたい」と話した。
 「新卒に求められるスキルはなんだと思うか」という質問については,「パソコンを使った作業というのは,現在は必要不可欠」いうことに加え,「コミュニケーション能力は身に付けておいたほうがいい」と話した。
 「大きな声で挨拶・返事をする」「報告・連絡・相談はしっかりと」「身だしなみは(ある程度は)ちゃんとする」といった社会人としての常識を踏まえつつ,さらに「気が利く人間は重宝される」とも話した。「ゴミが落ちていたら拾う」「机が散らかっていたら片付ける」といった行動は必ず誰かが見ていて評価される。そういった行動は恥ずかしがらずに実行するべきだと語った。

 最後に木谷氏は,「新しい作品を作り出すのは本当に大変な時代だが,新しいものが出てこなければ停滞して,そのジャンルは滅びてしまう。働き方改革で労働時間が短くなっていく中,それでできた時間を楽しむエンターテインメントは成長産業だと考えているので,ぜひ皆さんの力で新しいアイデアをどんどん生み出していってほしい」と受講者を激励し,講演を締めくくった。

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「ブシロード」公式サイト

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