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人気ストリーマーのPewDiePie氏がYouTubeでの活動中止を予告。動画規制に対する不満を表明
今年で30歳になったPewDiePie氏は,「Minecraft」や「Call of Duty」などをプレイしていた2011年からの長きにわたって活動してきた。オンライン動画配信サイトでは最大のフォロワー数を持つコンテンツクリエイターで,奇声やコミカルな表現を使ったゲーム実況の第一人者とも言える人物だ。2019年だけでも40億にも達するPVを獲得しており,ここ数年は毎年12億円を超える収入を,YouTube広告から得ていると言われている。
最近のPewDiePie氏はゲーム以外のコンテンツも配信しているが,特にここ数日間はYouTubeに対する批判を増やしている。YouTubeは,12月11日に行った公式ブログのアップデートで,ハラスメントに対するポリシーをアップデートしたが,これに対し,毒気のあるコメントで人気を呼んできたPewDiePie氏は,同じような“オンラインコメディアン”達の投稿が削除されたり,退会してしまったことを嘆いているようだ。
元々13歳以上でないとアカウントを取得できず,決して子供向けではないというスタンスをとってきたYouTubeだが,動画視聴用のデバイスやアカウントを家族で共有することも多くなってきた。ここ最近はファミリー向けのコンテンツを増やしている。
そんな中,消費者団体などから「子供のデータを不法に取得している疑いがある」や「子供が大人向けのコンテンツに晒された」という苦情が相次いでいることによって,昨年からYouTubeはFTC(米国連邦取引委員会)とニューヨーク州司法当局から調査を受けており,今年9月には1億7000万ドル(約186億円)もの制裁金を課せられた。
YouTubeは,これまでにも「YouTube Kids」という子供向けアプリを公開したり,制裁後も子供向けのターゲティング広告(ユーザーの視聴コンテンツの内容から,最適な広告をプッシュすること)などを行わないよう改善しており,今回のハラスメント規制の強化も,その一環であると思われる。
ただし,2017年に起きた,YouTuberのローガン・ポール(Logan Paul)氏の「青木ヶ原自殺者撮影事件」※のように,明らかに子供向けコンテンツでないものの規制について積極的に行動せず,大人向けのコンテンツの中でのジョークだと分かる言葉の表現だけに反応し,広告収入で生活しているYouTuber達の投稿動画を削除してしまうYouTubeの規制方法について,PewDiePie氏は納得していないようだ。何をもってハラスメントとするのかは,PewDiePie氏の言う“YouTubeの中のハゲタカたち(コンテンツの監視担当者)”の裁量にかかっており,さらに基準も明確ではないことは,以前から指摘されていることである。
※2017年にローガン・ポール氏が青木ヶ原樹海で,自殺者の遺体をネット上で公開した事件。配慮に欠けるとネット上で物議を醸した。
そんなYouTubeに対する批判のあとで,「もう決めた。嫌になっちゃった。オレが嫌になってるってのがわかるでしょ? 2020年の早い段階にYouTubeでの活動をしばらく休止することについて,まだ時期を見て発表することを予告しておくね」とし,“しばらくの間”という条件付きではあるものの,これまで自分の休暇までをメシのネタにしてきた人気YouTuberが,活動休止の宣言を行ったのだ。
過去にもYouTubeから足を洗うというようなコメントは何度か発している彼だが,動画配信そのものを行わないとは言っていないので,別の配信サービスに居場所を変えることは考えられる。氏の正式発表を待ちたいところだ。
PewDiePie氏のチャンネルページ
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