ニュース
香川県弁護士会が「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」の廃止を求める声明を発表。自己決定権の侵害,論拠の不明瞭さなどを指摘
声明の趣旨は,同条例の廃止,特に“1日のコンピューターゲームの利用時間”に関する18条2項の即時削除を求めるものになっている。
即時削除を求める具体的な理由として「憲法13条が定める子ども及びその保護者の自己決定権を侵害している」といった条例の立法事実の欠如や,ネット・ゲーム依存症と成人の薬物依存と同視する明確でない論拠,そして生活や教育におけるインターネットとコンピュータゲームの有用性などが挙げられている。
香川県議会によって3月18日に可決(関連記事),4月1日に施行された「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」は,“ゲーム依存症対策”としてインターネットとコンピュータゲームの利用時間を規制するもの。
今回の声明では,これに対する立法事実の正当性の欠如,インターネット・ゲームの持つ有用性への考慮の欠如,憲法13条による自己決定権への介入のほかに,1989年に国連総会で採択された「子どもの権利条約」をこの条例が損なうことについても触れられている。
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例には奇しくも,昨今の世論でゲームを“嫌う”人たちのテンプレ的な拠り所が凝縮されており,その根拠の危うさがこういう形で民意として現れてくる。香川県の問題としてでなく,我々一人ひとりがゲームに関わっていく未来を踏まえて,ぜひ一度目を通しておいてほしい。
「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」に対する会長声明
- この記事のURL: