プレイレポート
ロボットトイの新サービス「toio Do」を紹介。サンプルで遊んで,自由に改造しながらプログラミングの基礎を覚えられる
toio Doは,toioのビジュアルプログラミング機能を活用して,配信されているtoio用のゲームを遊んだり,サンプルプログラムを改造したりしながら,プログラミングの基礎を習得できるプラットフォームだ。
本稿では,toioで利用できるビジュアルプログラミング機能の概要に触れつつ,toio Doで提供されるサービスの内容と特徴を紹介していく。
「toio Do」公式サイト
自由に改造できるサンプルプログラムで
遊びながらプログラミングの基礎を習得しよう
まずは,プログラムを運用するハードウェアにあたる「toio」について,軽く紹介しておこう。toioは,加速度検出システムを含む各種センサーなど,多数の機能が詰め込まれた32mm角のキューブ型ロボット「コアキューブ」を中核とした知育玩具だ。
リング状のコントローラを使ってコアキューブをラジコンのように動かせるほか,別売りの専用ソフトウェアと組み合わせることで,デジタルとアナログを組み合わせた独特な遊びが楽しめる。
ゲームも工作もプログラミングも楽しめる! ソニーの小型ロボット「toio」体験レポート
2019年3月20日,SIEから「toio(トイオ)」が発売された。toioは,“子どもの創意工夫を引き出す”というコンセプトのロボットトイで,工作やプログラミングを通じておもちゃを作り,操作することで,枠にとらわれない自由な遊びを楽しめる。本稿ではそんなtoioの体験レポートを紹介しよう。
toioを活用したボドゲ「大魔王の美術館と怪盗団」のメディア対抗戦をレポート
SIEは2020年11月19日,同社が展開する「toio」の専用タイトル第7弾「大魔王の美術館と怪盗団」を発売する。それに先駆け,東京都内にて豪華賞品をかけた“メディア対抗戦”が実施された。本稿では,ゲームの詳細な情報を紹介するとともに,メディア対抗戦の様子をお届けしていく。
toioでは以前から,命令が書かれたカードをロボットに読み込ませてプログラムを実行する「GoGo ロボットプログラミング 〜ロジーボのひみつ〜」など,プログラミング学習をテーマにしたタイトルも展開されており,それが大きなウリのひとつとなっていた。
ビジュアルプログラミングシステムもtoioのリリース直後からβ版という形で提供されており,toioユーザーであれば誰でも利用できる。今回紹介するtoio Doは,そんなビジュアルプログラミングの活用法を遊びながら習得できるサービスだ。
toio Doでは,世界中のクリエイターがtoioのビジュアルプログラミング機能を用いて作成したサンプルプログラムを自由にダウンロードし,それを使って実際にtoioを動かせる。ダウンロードしたプログラムのソースは自由に観覧・編集できるので,配信されたプログラムを組み変えながらゲームやツールを楽しめるのだ。
ちょっとだけ数値を変えて変化を楽しむのはもちろん,提供された遊びをベースにして,新しい遊びを考えることもできるだろう。完成されたコンテンツをもとに工夫して遊び,そこで触れたプログラムを把握して改造するループを繰り返すことで,プログラムの仕組みを段階的に理解できる。
公開されているサンプルプログラムは,単体で楽しめる「あそぶ」と,プログラムを学ぶのに最適な「つくる」にカテゴリ分けされている。そして後者には,構造の複雑さや調整の難度に応じた“STAGE”が設定されているので,順番通りに触れていくだけでプログラムの構造を理解できるという寸法だ。
それらのサンプルプログラムには,制作したクリエイターによる“プログラムのいじりポイント”が記載されているので,どこから手を付ければ良いかを迷う心配もない。
ゼロから組み上げて動作させるのが難しいプログラムであっても,画面に表示するオブジェクトを変更してみたり,速度を変えてみたりといった調整を行うのは,さほど難しくはない。完成されたゲームに自分で手を加え,それが反映される様子を実感するのが理解への第一歩だ。
パズル感覚で楽しめるビジュアルプログラミング
できあがったゲームをいじってプログラムの基本的な構造が分かってきたら,今度は自分でプログラムを組んでみよう。toio Doのトップページから「ビジュアルプログラミングでゼロからつくる」を選べば,すぐにプログラムを組める。toio本体と常に接続している必要はなく,動作させる段階になったら接続するだけでOKだ。
toioのビジュアルプログラミングは,プログラミングアプリ「Scratch」をベースに開発されたもので,多種多様な「コード」を自由に組み合わせることで機能する。
組み合わせるコードは「動き」や「見た目」といった種類に分けられ,各コードは種類ごとに組み合わせられる形状が決まっており,ドラッグ&ドロップするだけでプログラムに加えられるため,パッと見で直感的に組み合わせ方を理解できる仕組みになっている。
コードの名前を覚える必要もなく,ブロックパズルのような感覚でプログラムを組み上げられるので,初心者でもプログラムの構造を考えることに集中できるだろう。
三角関数などの難しい制御を行うためのコードについては,多数用意されているサンプルプログラムの一部を流用することで運用できる。
内部的にどんな処理が発生しているのかは置いておいて,「動作のためには何が必要で,どんな順序で作用すれば動くのか」さえ理解すれば,目的の動作を得られるというわけだ。実際に動かすことができた経験は,使った要素を後に学ぶ助けにもなるはずだ。
個人的に面白く感じられたのは,コードの名前(X秒考える,タイヤを止める,など)は理解しやすさを優先して作られているのに対し,プログラミングにおいて重要な用語(変数,定義など)はそのまま使用されている点だ。
ビジュアルプログラミングで実際にどこまで学習を進めるかは人それぞれだが,基本的な構造を理解した時点でプログラミングにおける基本的な概念を理解できるようになっているはず。toioで培った知識は,本格的なプログラミングの道に進む際にも役立ってくれるだろう。
toio Doではサンプルプログラムだけでなく,ユーザーやクリエイターが参加できる無料のオンラインコミュニティスペースが4月に開設されることも発表されている。Chromebookアプリでのリリースや,プログラミング教育の現場でも活用を予定しているとのことで,toio Doを中心としたプログラム学習は,これからより活発になっていきそうだ。
また,toioは子供のプログラミング教育に有用なだけでなく,大人にとっても“ゲームづくりゲーム”として十分な独自性をもったアイテムだ。ビジュアルプログラミングでアイデアを形にしてみたい人は,この機会にtoioに触れてみるのも良いかもしれない。
「toio Do」公式サイト
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