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VRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」発表会レポート。ソニーのモーションキャプチャデバイス“mocopi”との連携も
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印刷2022/11/30 16:58

イベント

VRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」発表会レポート。ソニーのモーションキャプチャデバイス“mocopi”との連携も

 HIKKYは2022年11月29日,同社が12月3日から18日にかけて行うVRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」の発表記者会見を,東京都内で開催した。この会見では,本イベントに出展する企業5社によるトークセッションが行われ,またHIKKYの今後の事業展開が発表された。

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「バーチャルマーケット 2022 Winter」公式サイト



急成長し,さまざまな企業から注目を集めるメタバースと「バーチャルマーケット」


 バーチャルマーケットは,HIKKYが主催するバーチャル空間上でのマーケットイベントで,2018年夏より年2回行われている。10回目の開催となる今回は,「Next Journey」を掲げ,パリ,名古屋,札幌の3都市をVR空間上に再現し,会場としている。

 会見の冒頭には,主催者を代表してHIKKY 代表取締役社長 舟越 靖氏が登壇した。舟越氏はメタバースがGartnerのハイプ・サイクルにおいて,現在は“「過剰な期待」のピーク期”にあり,そう遠くない将来に“幻滅期”に入るとされているが,自身はそう考えていないと発言。その理由として,メタバースというワードはバーチャルやAI,場合によっては普通のアプリサービスなどさまざまな要素を内包しており,それらすべてを一括りにした流れについて議論をするのは無理であることを挙げた。

舟越 靖氏
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 さらに舟越氏は,メタバースはまったく新しいジャンルであり,既存の基準では測れないとも指摘する。クリエイター達がこれまで作り上げてきたコンテンツこそがメタバースの本質に近いものであり,現在それらは減衰することなく,むしろ盛り上がり続けている状態であると語った。

 そうした状況の中,HIKKYは非常に成長しているとのこと。舟越氏は,クリエイターが“もの”を作り,HIKKYが“もの”を作るきっかけを与えるというサイクルにより,クリエイターとともに会社が成長してきたと説明した。

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 加えて舟越氏は,ユーザー体験として「友達と一緒にデジタル空間に入って買い物をする」「企業や個人が店舗を構えて作ったアイテムなどを販売する」「人がデジタル空間の中で働いて報酬をもらう」といったことが実際に存在していることを紹介した。
 また,現在のバーチャルマーケットは出展サークル数が1000を超え,出展企業数も80社を超えているそうだ。出展を希望するサークルや企業は実際にはもっと多く,HIKKY側で精査しているとのこと。

 舟越氏は,そうした成長の要因がHIKKYの掲げる“Creative Revolution”にあるとする。“ものを作ること”自体に改革を起こす力があると考え,それらにフィーチャーしたことが成長のきっかけだったという。

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 トークセッションには,バーチャルマーケット 2022 Winterに出展する企業から,以下の5名が登壇した。

東海旅客鉄道(JR東海) 執行役員 事業推進本部 副本部長 川田啓貴氏
ヤマハ ブランド戦略本部 マーケティング統括部 部長 浦川美穂氏
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 取締役常務執行役員CSO 堀川賢治氏
大丸松坂屋百貨店 常務執行役員経営戦略本部長 兼 リスク管理担当 西阪義晴氏
ビームスクリエイティブ ビジネスプロデュース部 ビジネスプロデュース3課 課長 木村 淳氏
左から木村 淳氏,西阪義晴氏,堀川賢治氏,浦川美穂氏,川田啓貴氏
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今回,JR東海がメタバースに参入することになったきっかけを問われた川田氏は,同社が新幹線を筆頭に,多くの人にとって馴染みのある資産を持っていることを挙げる。それらをバーチャルで再現し,リアルと融合することにより,新しい体験やサービスを提供できるのではないかと考えたと回答。またバーチャルマーケットに参加する多くの若年層や海外のユーザーにアプローチを図る意味もあるとのこと。
 また,バーチャルマーケット出展を通じて実現したい未来について問われると,川田氏は「正直,未知数」としたうえで,インターネットが生活に不可欠なツールとして定着したように,メタバースもコミュケーションツールとして生活の一部になっていくのではないかと見解を述べた。

 浦川氏は,メタバース参入の理由を,新規顧客の開拓と回答。ヤマハは歴史の長い会社なので愛好者も多いが,バーチャル空間を通すことで若年層やクリエイターへのアプローチを期待しているという。
 バーチャルマーケット出展を通して,リアルと異なる楽器との接し方や楽しみ方を知ってもらい,新しい価値の提供につなげていきたいと話していた。

 堀川氏は,これまで三菱UFJモルガン・スタンレー証券がインターネットを通じた事業に積極的に取り組んで来なかったことを反省し,2022年4月からさまざまなことにチャレンジするよう舵を切ったことを紹介した。その一環としてメタバースに取り組もうと考えたが,最大の理由はデジタルアセットとの親和性が非常に高いことだったという。
 現在,金融資産でデジタル化されているのは,不動産などごく一部だが,今後はさまざまな金融商品,あるいは飛行機やロケットなどが投資対象となり,デジタルトークンに変わっていくのではないかと予想を語った。
 バーチャルマーケットでは,顧客がバーチャルとリアルをどう使い分けるのかをチェックしたいとのこと。上記の新たな金融商品サービス提供の準備に加え,金融教育を実現し,中長期的な投資に興味を持ってもらえるようにしたいと話していた。

 大丸松坂屋は今回で5回目の出展となる。その出展内容の変遷と,出展で得られた結果を問われた西阪氏は,2020年の初出展以来,百貨店の楽しさを知ってほしいという想いのもと,その歴史や空間価値をバーチャル空間の中で表現してきたと語った。また同社ブースでは,実際の社員がインフルエンサーとして接客を行うなど,さまざまな仕掛けを使ってリアル店舗の認知促進を図っているそうだ。
 そうした取り組みで得られた結果は,数字としては公表していないが,来客数は飛躍的に伸びているという。コロナ禍において,同社は経営課題として「時間と場所の制約を克服する」を掲げていたとのことだが,バーチャル空間における取り組みには手応えを感じており,デジタル上のタッチポイントの拡大および高度化を進めている最中であることを紹介した。

 木村氏は,ビームスクリエイティブがeコマースの延長線のイメージでメタバースに参入したと語った。しかし実際に取り組んでみると,メタバースにはECサイトとは異なるコミュニケーションがあり,感動体験を生み出せると感じたという。そこでリアルの店舗が存在するという強みを活かし,総勢50名のリアルスタッフがバーチャル空間内で接客し,顧客とコミュニケーションを図ることに決めたそうだ。
 この取り組みはバーチャルで完結することなく,顧客がリアルの店舗を訪れる導線になっているとのこと。また,共通体験ができる場所作りを意識しているため,UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出につながっているところがバーチャルショップの強みになっていると話していた。


HIKKYが手がけたプロジェクトと今後の事業展開



 会見の終盤には,HIKKYがこれまでに手がけたプロジェクトと,今後の事業展開が紹介された。
 まず「パラリアルワールドプロジェクト」は,世界100都市をバーチャル化する取り組みで,現在までに渋谷,秋葉原,大阪,ニューヨーク,沖縄が作られ,今回の「バーチャルマーケット 2022 Winter」で新たに名古屋,札幌,パリが追加される。

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 この取り組みは,まだメタバースという名称がない頃から始まっており,舟越氏は「これまでにも日本で都市をバーチャル化した事例はあるが,多くの人が来て遊んだ事例はHIKKYが初めて」と述べた。

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 このときは,長期入院中の患者がSHIBUYA 109のアパレルショップでバーチャル店員となり,接客するという試みを行ったとのこと。その結果を受け舟越氏は「メタバースでショップを開き接客する」という,一連の流れをソリューション化して提供することを考えたという。

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アウディやJR東日本などの事例も示された
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 続いて,同社独自のメタバース開発エンジン「Vket Cloud」(ブイケットクラウド)と外部デバイスを連携させるソリューション「unlink」が発表された。連携デバイスの第1弾は,ソニーが会見当日の11月29日に発表したモバイルモーションキャプチャー「mocopi」(モコピ)となる。

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 会場では,Vket Cloudで構築されたバーチャル空間内にいるキャラクターが,unlinkを介し,mocopiを装着したパフォーマーの動きに同期してダンスするデモがお披露目に。舟越氏によると,unlinkとmocopiを連携させることにより,Vtuberの屋外撮影など,さまざまな遊びをスマートフォン1つでできるようになるという。汎用性が極めて高く,今まで考えられなかったようなことも実現できるとのことで,クリエイターの表現の幅が広がり,まさに“Creative Revolution”につながっているそうだ。

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unlinkが今後さまざなデバイスに対応していくことも示された
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 さらに,2023年夏には,バーチャルマーケットと「リアルバーチャルマーケット」が秋葉原にて同時開催されることも発表された。このイベントではunlinkを活用し,店舗での接客やタレントのパフォーマンスなどをリアルとバーチャルの双方で対応するという。

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 会見の最後に舟越氏は「我々は“メタバースの次”に向けて全力でチャレンジします。今まで培ったノウハウだけでなく,クリエイターの皆さんや企業の皆さんのお力を借り,楽しそうだと思っていただける人達を巻き込んでいきたい」と意気込みを見せていた。

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