"World of Warcraft"の話題に押されているが,このシリーズの本家本元最新作といえば,やはり
「WarcraftIII:Reign of Chaos」だ。
なかなか製品となって姿を表さないこのWarcraftIIIは,人間とオークの紛争が絶えないアズロスの世界に,突如デーモン族が降り立つことから始まるRTSの最新作だ。
完全3Dで細部まで描き込まれた世界が美しく,ディテールに富んだユニットのアニメーションが魅力的な一品。前作と大きく異なるのは,マップ上にはモンスターが徘徊しているだけでなく,中立を保つ街や砦が存在することだ。プレイヤーが勢力を維持していれば,資源をトレードしたりNPCと会話したりということもでき,ヒーローユニットも主に街でリクルートしていく。RPG的なこれらの演出により,
ユニットを大量に作って大量に消費するのではなく,ヒーローに引率させて攻撃をしかけるようなゲームプレイに改良されているのが大きな特徴だといえるだろう。
さてECTSでのデモンストレーションを見た限りでは,E3でのデモから変更点がいくつかあった。
まずインタフェースで目に付くのは,画面左横にあるアイコンだ。これは"ヒーローアイコン"と呼ばれており,このボタンをクリックするだけで,カメラが瞬時に動かしたいヒーローユニットに移動してくれる。
ヒーローユニットは,雇用するのにマナストーンや金鉱が大量に必要になる。1プレイヤーにつき最大で6ヒーローをキープできるようだが,マナストーンは金鉱や木材のような通常の資源とは違い,
NPCのモンスターを倒すことによってのみ得られるという仕組みだ。このため,マルチプレイヤーモードではプレイヤーがお互いを攻撃し合うだけでなく,モンスターを争奪してヒーローを雇えるのに十分なマナを集めなければならないというわけだ。
ヒーローユニットは三つのレベルのスペルを3種類保有しており,使用できるスペルのチョイスは,そのヒーローの種族に関連しているという。さらに,
ヒーローはただ一つだけ"究極スペル"というのを発動でき,無敵に近い存在となって敵を蹴散らしてくれる。そうはいっても,この究極スペルには"体力がいっきに1になってしまう"という大きなマイナス点がある。どこで使うか,使うときは十分な数のユニットで守られているか,などを考慮しなければ,たちまち敵のユニットに倒されてしまう。人間族とオーク族は昼夜を問わず少しずつ体力が回復していくのに対し,アンデッド族とナイトエルフ族は夜のみは急速に回復する,という違いを持っているなど,使う種族でさまざまな差があることを知っておかなければならないだろう。
E3のデモから変更されたほかの点は,当初予定されていた
カメラのローテーション機能が最終的には取り払われることが決定しており,より普通のRTSぽくなっているということ。また建物も3段階にアップグレードできるようになっており,スペースや費用の面を考慮してリサーチをしていかなければならないはずだ。Starcraftのテラン(人間族)にいたメディックのような役割を,WarcraftIIIでは"プリースト"が担ってくれる。ただしプレイヤーのコマンド次第では,
治癒ばかりでなく防御魔法を繰り出して敵の進行防止を優先的に行うなど,思考ルーチンでも改善が見られるようだ。
ところで,
ナイトエルフ族の詳細も公表されたので書いておこう。ナイトエルフはその名の通り夜に強い森の種族で,WarcraftIIIのほかの種族と比較すると隠密行動を得意としている。また彼らの建物ユニットの内50%は木の妖精であり,Tree of Eternity(ベースメント),Ancient of the Moon(飛行ユニット作成?),Ancient of the Earth(蒸気発電所)などに変化したり,モンスターに戻って移動したりすることが可能だ。また"ウィスプ"というユニットは,これらツリーユニットに寄生して生産効率を向上させることができるなど,ほかの種族のユニットとは大きく異なる特徴を持っているとのこと。また,World of Warcraftにも登場することになっているTreantと呼ばれるモンスターは根っこで中距離攻撃をおこなうことができ,ほかの種族ではタワーに相当する存在であるようだ。
ナイトエルフ族は,ある種非常に"Starcraft"を連想させる種族になっているといえるだろう。
なんにせよ,発売にはまだ若干の時間がかかりそうだ。Blizzardのことだし完全な製品を登場させてくることを期待して,気長に待つことにしよう。