[E3 2002#35]RTSに対する新機軸のアプローチが光る「Impossible Creatures」 - 05/24 19:20

 生物の遺伝子を操作して強力なユニットを作り出していく「Impossible Creatures」は,あの「Homeworld」の開発を手掛けたRelic Entertainmentの最新作だ。チーターやシマウマなど50種類以上用意された動物達を組み合わせて配合させながら,敵よりも強力な生物(ユニット)の作成を目指す。当サイトでも何度か取り上げてきた作品なので,細かいゲームの概要については「ここ」を参考にしてほしい。

 一長一短ある多くの動物達(ユニット)の中から二種類の動物を選んで配合し,それぞれの動物が持つ特殊能力をうまく組み合わせていかなければならない点が,本作を最もユニークたらしめている要素だろう。つまり,移動速度の高いユニットを作りたければ馬やチーターのような動物を組み合わせ,何か特殊なアビリティを攻撃に付加させたければ,電気ウナギやスカンクのような一芸(?)のある動物を組み合わせていくといった具合である。
 動物の配合は頭部,腕,腹,足,尾などの体の部位単位で決定することができ,例えば,ゴリラの体にチーターの脚部を合成して素早さと耐久力を両立させるユニットを目指してみたり,敵に発見されにくくなるカメレオンの能力に飛行能力を持つユニットに掛け合わせ,扱いやすい偵察ユニットを作ってみたりと,その組み合わせのバリエーションには限りがない。マルチプレイでは,専用のユニットビルダーモードにてあらかじめ配合種を作成しておき,それらを使って対戦を行うのだが,シングルプレイでは,主人公のキャラクターを使って動物を捕獲し,配合のためのサンプルを集めたりしていく"動物採集"の要素が設けられている。収集癖のある人にとっては堪らない作品となっている雰囲気というか,「ポケットモンスター」や「女神転生」に近い感覚を持たせる要素である。

 同作は,ユニットの配合による駆け引きを前面に押し出しており,RTS的な戦闘の部分はむしろ極力簡易化されているような雰囲気を受ける。要するに,このImpossible Creaturesにおけるストラテジー部分というのは,あくまで自分の考えた生物の試験場でしかないのである。また内政面のみならず,戦いに直接関わる戦術的な要素すらも簡略化されている点は,好みと意見が分かれるところかもしれない。
 とはいえ,比較的短い時間でゲームの決着が付きそうな点と,Age of Empiresでいう文明特性を自分で考えていく(あちらは戦略的,こちらは戦術色の濃いロジックだ)ような面白さは大きく期待の持てる部分。バランスの調整さえしっかりと行われていれば,かなり"化ける"可能性のあるタイトルだといえる。発売は2003年の頭あたりと,以前の情報と比べてかなり延びてしまったようだが,期待して待ちたいところである。(TAITAI)

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