[SIGGRAPH 2002#14]新作映画「Reign of Fire」と「スパイダーマン」で見た新技術 | - 07/26 21:17 |
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ディズニー系列のブエナビスタ社によって7月上旬から上映されている,Spyglass Entertainment社制作の「Reign of Fire」(日本での公開予定なし)は,現代のロンドンに火を吹くドラゴンが出現するという内容のSFアクション映画で,アメリカで大きな話題を呼んでいる。SIGGRAPH 2002ではSpyglassの制作者達が非公開画像を披露しつつトークを行い,Reign of Fireで使用した技術について解説した。 この中で,「Contour Mapping」というゲーム技術では聞きなれない用語が出てきた。実はこれ,ドラゴンのウロコをリアルに表現するために開発された技術で,同じくドラゴンの出番の多いゲームにもいつしか利用されるかもしれない。 Contour(コントゥアー)とは"輪郭"を意味する言葉で,つまりContour Mappingはウロコの輪郭をテクスチャ化する技術である。皮膚のデコボコを表現するほかのテクスチャ技術と異なっているのは,まずウロコの輪郭を規程し固定化しておくことで,元のモデルがどのような動きをしようとも,ウロコの形状を保ちつつウロコとウロコの間だけを伸ばせること。そのため,ドラゴンが動くたびにウロコの大きさが変わるなんてことが起こらず,リアリティ溢れる皮膚を表現できるのである。 この技術は,4年前に公開された「ダイナソー」に登場したテナガザルの体毛を表現するために,Spyglass社が「FurTool」として開発したものを応用して制作されている。 さらに同じ日には,大ヒット作品となった「スパイダーマン」を制作したSony Pictures Imageworks社の制作スタッフも講演し,ニューヨークの街並みを再現した技術を解説した。 「どこまでが実写で,どこまでがCGか分からないようにするのがボクらの仕事」 と開発者の一人が話していたように,映画スパイダーマンは,実写からCGに切り替わるときの判断が非常に難しい。ちなみに,ほとんどのビルはCGで制作されていた。 タイムズスクウェアのシーンでは,CG,実写(ニューヨーク),セット(ロサンジェルス)という3段階による複雑なものだったそうだ。その一方で,ビルの窓の中の風景は,魚眼レンスで撮影したスチール写真を四角く引き伸ばしたというゲーム以下のローテクさで,会場の笑いも誘っていた。 ところで,スパイダーマン自身には1種類のシェーダしか使用していないという話には驚いた。これは開発者が「バウンス・シェーダ」と呼んでいたもので,周囲の照明加減を自在に反射し,モデル上の照り返しの強い部分にスペキュラー効果を与えるなどの処理をすべてまかなう。スパイダーマンが,全身ツルツルのスペンデックスを身に纏っているからできる芸当である。(Okutani) |