[ECTS 2002#13]Lionhead Studios独占スクープ (1):RTS風味満載「Black & White 2」が正式に発表 - 08/30 18:48


 ECTS会場から程近いホテルの一室で,本誌スタッフはイギリスの奇才ピーター・モリニュー(Peter Molyneux)氏を始めとするLionehad Studios社の面々と会談。「Black & White」の続編として発売直後から話題に上がっていた,「Black & White 2」のデモを見せてもらうことができた。
 モリニュー氏によると,Black & Whiteシリーズは「Black & White 5」まで制作される予定となっており,Lionhead Studios社のウィングとしてB&W Games社を設立。そこで,まだ若いジョンティ・バーンズ(Jonty Barnes)氏がリーダーとなって,続編やアドオンのデザインを行っている。Black & Whiteシリーズは,更新していくたびに時代が進んでいくという設定で,それに従い部族民たちの文明も進化していくというものになっていくらしい
 「Black & White 2」では,神々の存在を知った地上の民が知恵を付け,その神の化身であるクリーチャーから戦いによる征服を学んだことになっている。人々が武器を発達させることによりエデンの大陸に争いが頻発し,血で血を洗う世界になってしまっているのだ。実世界の歴史で例えれば,中国の三国時代やヨーロッパの暗黒時代あたりの時代設定となるのだろうか。
 そこで立ち上がるのが,ほかでもないプレイヤーだ。自らのソーサラーとしての能力やクリーチャーを駆使し,この世界を統一することによって平和をもたらそうと決意し,歯向かう部族を蹴散らしていくという内容となる。
 もちろんBlack & Whiteというゲームの性格上,自分の配下の部族民たちを平和に統率して,地上を緑輝く楽園にしても良いし,魔法と暴力で武力支配することも可能だ。クリーチャーばかりでなく,世界の情景や天候までもが,プレイヤーのプレイスタイルによって変化していくということだ

 開発が今年に入って始まったばかりということもあり,今回はオリジナルの「Black & White」のグラフィックスエンジンに,新物理モデルや各種機能を盛り込んだものだったが,まずグラフィックスに関して話しておくと,「Black & White」を初めて見たときの驚きが蘇ってくる。大雨や3Dで表現された雲が漂い,「Black & White」以上にカリっとした色彩が見事だ。我々に提供された画面写真も古いバージョンで,テクスチャーは前作よりも16倍の密度になるという。これは,例えば200×200の解像度を持つテクスチャーを,800×800にするようなもので,相当な細かさになるのが理解できるだろう。
 とくに驚いたのが「Black & White 2」での海の表現で,3D Marks 2001の波や川のグラフィックスが比較にならないほどリアリティ溢れるものになっている。筆者は,CGの見事さを理解させるために,最初に水辺の実写を見せているのだと勘違いしたほどだ。このあたりのシミュレーション技術の高さは有能なLionhead Studios社ならではだが,「Black & White 2」では陸地ばかりでなく海上もゲームに深く関わってくるのだとモリニュー氏は語る

 しかし「Black & White 2」の中でも一番凄いのが,画面に数千という部族民を表示可能にしたことだ。部族の誇りと信仰を賭けた大掛かりな戦闘が,「Black & White 2」の醍醐味になっているのである。彼らは剣や槍を持って戦い,何百,何千という弓矢が空を飛び交う。それぞれの矢もすべて3Dでモデリングされているため,地面や建物の屋根はもちろん,クリーチャーの体にも突き刺さり,大きな体に血を滴らせながら前線で戦うクリーチャーの姿が痛々しい。これらの武器もミッションが進むごとに進化して,スリンガー(石をヒモの先につけての投石)から弓,そして火を射掛けるというように発展していくこととなるという。これに合わせて,部族民のモデリングは,それぞれのタイプに合わせたものに細かく作り返られ,アニメーションの量も各段に増加されている
 通常の戦略ゲームのような雰囲気を想像するだろうが,このゲームにはユニットを生産する建物は存在せず,村人をリクルートして訓練することで部隊を作らなければならない。それも,プレイヤー自身が直接手をかけるのではなくて,信者の中からリーダーとなる存在を引き抜いて,彼に指導させるというやり方になるらしい。クリーチャーは,彼らの守護神として戦場に赴き,「兵士たちのモラルは,日頃からプレイヤーがどれだけ部族民たちの信仰を得ているかによって変化する」(モリニュー氏談)らしい。例えば,500人の相手に200人の部隊では味方の戦意が一気に落ちて逃げ出してしまったりするが,そこにクリーチャーが加わっていれば,死をも省みないような戦い方もしてくれるのだ。女性の村人も兵士にできるが,戦闘能力では男性には劣るようになるとのことだった。このあたりから推測すると,男性と女性の間で仕事の分担なども必要になってくるのだろうか。
 戦闘に重点を置いているため,建物を建築,修復したり,壁を作ったりもできるようになった。壁は,地面の上に白線を引くだけで,後は村人に指示して作ってもらう。詳しくは語ってもらえなかったものの,戦闘やこの建築の要素が加わったことで,新しい資源も登場するということだ。ともあれ,何千という敵の兵士が,突然山の向こうから姿を表す,という光景を想像するだけでもワクワクしてくる。
 前作で開発期間に5年という時間をかけたという前科があるが,今回もすでに情報を出してくるあたりは失敗を重ねない公算が十分にあるというところか。残念ながら,発表時期についてはまったくの未定ということで,来年のE3あたりでは大々的に成果が公表される模様だ。あまり続編を作らないモリニュー氏だからこそ,続編の登場には目を光らせておく必要があるだろう。(Okutani)


友達にメールで教えよう!
←Back to Daily News
←Back to News Archive