「HyperThreading」対応のゲームエンジンが登場 「GDC 2003」スペシャルレポート #13 - 03/10 19:08

Text & Photo by トライゼット西川善司

■「HyperThreading」機能に対応したゲームエンジンが登場
 2002年秋に登場したPentium 4/3.06GHzは,HyperThreading(HT)と呼ばれる新機能を搭載している。これは簡単に言えば,物理的には1CPUしかないPentium 4(以下,P4)を論理的に2CPUに見せかけて,マルチスレッドを実行させるテクノロジーだ。
 Windows XPは元々マルチスレッドに対応したOSだし,HT対応のP4は低クロックな製品も出てくるため,これからはより多くのユーザーがHTテクノロジーの恩恵を受けられるようになる。ちなみに,デュアルCPUに対応していないWindows XP Home Editionでも,マルチプロセッサ用HALがインストールされるので問題ない。

 ところで,ゲームはHTテクノロジーの恩恵が受けられるのだろうか?
 HTテクノロジーは,実行するプログラムがマルチスレッド動作を前提にして作られていないとあまり意味がない。多くのゲームエンジンはシングルタスクを前提に作られているため,HT対応P4のポテンシャルをフルに発揮できなかったわけだが,今回GDCのIntelブースで展示されていた「Lejendary Adventure」(LA)エンジンは,かなりアグレッシブなマルチスレッド設計となっていることで注目されている(注:LegendaryではなくLejendaryとしているのはわざと)。
 さて,では実際にどのようにマルチスレッド化されているのかが気になるところ。現在のバージョンでは,

・レンダリングエンジン
・シーン生成,マップマネージメント
・動的LOD処理(テッセレーション処理)


がそれぞれ独立したスレッド設計になっているという。
 なお,これまでのゲームエンジンでマルチスレッドに対応したものとしては「QuakeIII」エンジンが思い起こされるが,デュアルCPU環境で動作させても,あまりパフォーマンスが向上しなかった。その後継となる「DOOM III」エンジンはマルチスレッドに対応しているとのことだが,どの程度マルチスレッド化されているかは明らかにされていない。その意味では,このLAエンジンが世界初の"本格的なマルチスレッド設計のゲームエンジン"といえるだろう。
 気になるLAエンジンの性能だが,エピックスケールで表示される地形は美しく,影生成も非常に凝っている。プログラマブルシェーダにも対応しており,そのビジュアルクオリティは数ある現行のゲームエンジンの中でもかなり高いといえるだろう。
 このゲームエンジンを採用したゲームタイトルの第一号はDreams InteractiveのMMORPG「Lejendary Adventure」だ。これはTRPG「ダンジョン&ドラゴンズ」の生みの親Gary Gygaxが手がける大作。現在開発中とのことでリリース時期は未定だ。

「Lejendary Adventure」エンジン使用タイトルの開発中の画面。屋内/屋外シーン共にビジュアルクオリティは高い。ちなみに,公式Webサイトは「こちら」


(写真)「Lejendary Adventure」エンジンはIntelブースに展示し,HyperThreadingへの対応を強調


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