[E3 2003#003]飛行機100年の歴史がつまった「Flight Simulator 2004」 - 05/15 18:21


 Microsoft社"Flight Simulatorシリーズ"は,今更説明するまでもなく,最も有名なフライトシムの一つだ。その最新作となる「Microsoft Flight Simulator 2004:A Century of Flight」(以下,FS2004)が,E3 2003で展示されている。その開発者の一人Bruce Williams氏に話を聞けたので,その詳細をお伝えしよう。

 FS2004の特徴を挙げる前に歴史のおさらいを。
 1903年12月17日といえば,ライト兄弟が世界で初めて動力飛行に成功した日である。つまり本年2003年は,飛行機の誕生からちょうど100年めにあたるわけだ。
 FS2004は,この100周年を記念して,このライト兄弟の「Kitty Hawk」や1927年に大西洋無着陸飛行をやってのけたチャールズ・A・リンドバーグの「Spirit of St.Louis」など,飛行機史に残る機体9機を収録している。のみならず,本作ではその歴史的瞬間を再現した環境でのフライトも可能だ。ライト兄弟になりきって,人類初の"フライト"を体験するというのも,FS2004の楽しみ方の一つだろう。
 ただし当然のことながら,基本的に飛行機は,昔のものほど操縦が難しい。筆者にFS2004のデモを見せてくれたBruce氏も,難度"Hard"では,Kitty Hawkを一瞬宙に浮かせるだけでも大変そうだった。"Easy"なら問題なく飛べるようだったが,あえてHard以上の難度を選び,ライト兄弟の偉大さ(?)に思いを馳せるのもいいかもしれない。

 本作のグラフィックスエンジンは,前作「Microsoft Flight Simulator 2002」からほとんど変更がない。それなのに画面写真に画質の向上を感じるのは,背景やエフェクト部分が改善されているため。とくにリアルタイムに形が変わる雲は必見である。Combat Flight Simulator3もそうだったが,なぜMSの開発者は雲にこだわるのだろう。
 変わるのは雲の形だけではない。天候は刻一刻と変化しており,前作と同様に,この天候変化を現実のフライト場所の天気とリンクさせることが可能だ。例えばデモではE3開催中のロサンジェルスの上空を飛んでもらったのだが,年に20日しか雨に降られない,"晴天"のイメージが強いロサンジェルスだというのに,あたり一面雲だらけ。それもそのはず,今年のE3も昨年同様,ロスでは珍しい曇り空の下で行われているのだ。
 ちなみにデモを見せてもらったPCが"GeForce FX 5800"を搭載していたためか,1280×1024ドット,最高画質でも,ストレスなくプレイしていた。その画質は前作のエンジンを流用していることを疑ってしまうほどで,自慢の雲はもちろん,機体に映る光と影も非常にいい感じであった。さらに参考のために画像クオリティを半分にまで落としてもらったが,背景こそ若干ぼやけた感があったものの,機体の持つ美しさは,ほぼ変わらず。GeForce FXがなくとも,十分に楽しめそうだ。

 そのほかGPSの強化(ルーティングを示すナビゲーション機能などが追加されている),コクピット内の3D化など,FS2004は細かいながらもマニア心をくすぐる要素満載だ。
 もちろん初心者へのフォローもバッチリで,FS2004についてのあらゆる情報を網羅した"Learning Center"のデータ量は,"圧巻"のひと言。テキストや音声,さらにはムービーを使って,フライトの基礎知識から実際の操作まで分かりやすく解説される。その情報量の多さのため,検索方法も"Key Topics" "Site Map" "Index"と三つに分類されているほど。Indexに至っては,数百もの項目が用意されているようだ。

 初心者,マニアの両方への気配りを忘れていない点は,さすが人気シリーズといったところ。なお日本での発売は未定だが,米国では2003年7月に発売予定。だから順調にいけば,今年の秋頃にも日本語版が発売されることだろう。飛行機の満百歳の誕生日を前に,FS2004で飛行機の歴史を体感していただきたい。(Iwahama)

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