BioWare社の
「NeverWinter Nights」に続く,
「Dungeons & Dragons」公式ルールブック第3.5版に則ったルールセットをベースにした最新RPG
「Temple of Elemental Evil」が,Atari社によって開発されていることが判明した。 Temple of Elemental Evilの開発を手がけるのは,最近では「Arcanum」を制作した
Troika Games社。「Fallout」シリーズで定評のあるRPGの専門チームだけに,本作も,最近発表されているD&Dシリーズと同等か,それ以上のクオリティを期待してよさそうだ。
Temple of Elemental Evilは,D&Dのキャンペーンでも最も人気といわれる
"グレイホークの世界"(the World of Greyhawk)を舞台にした,初めてのコンピュータゲームとなる。このキャンペーンは,D&Dの生みの親でもある
ゲイリー・ガイガックス(Gary Gygax)氏自らがデザインしたものであり,さまざまな世界や文化,大陸から人物までを擁した,第3版の中でも最大規模のものだといわれている。
この世界観を使ったTemple of Elemental Evilのストーリーは,仲間と共に人助けをしたことから物語が大きく展開していき,フラネースの地やホムレット村,ヌルブの庄を経て,世界を希望のかけらもない闇と失望の土地に変えようとしている,エレメンタルイーブルの神殿へと向かっていくことになるという。
リザードマンやヒルジャイアント,トロールなど,D&Dシリーズでお馴染みのモンスター達が数多く登場するほか,テーブルトークの伝統を継承してか,
戦闘システムはターンベース制が採用される。3年前に発表されたD&Dルールブック第3版も,第3.5版へと大きく変化したことで,パーティの仲間達が協力し合うことを基本とした濃厚なアドベンチャーを楽しめるようになった。もちろん
第3.5版に登場するスキルやフィートは,このゲームにはすべて標準実装されるとのことだ。
操作性に関しても非常にシンプルかつ機能的に設計されており,ほとんどの行動が左クリックとそこから引き出す円形のインタフェースで行える。事前に決められた形式のないフォーメーション設定画面などを見る限り,
全体的に自由度はかなり高めになりそう。100種類のマップ,140人のNPCなどなど,ボリューム感もたっぷりで,プレイヤーは合計で8人までのパーティを組んでグレーホークの世界を冒険していくことになる。
今回が始めての公開となるTemple of Elemental Evilだが,Atari社の発表では
今秋(10月)発売としている。しかし,ECTSの会場に出展されていたバージョンはβ版でもないのか,操作性やキャラクターの挙動に問題があり,完成にはまだまだ程遠いという印象。ただ開発はかなりの急ピッチで進められている模様で,すでに拡張パック
「Against the Giants」の開発案も浮上しているようだ。
Temple of Elemental Evilは,キャラクターのレベル上げは"遅め"に設定されており,成長自体もレベル1からレベル10までの間に限られている。本作における拡張パックは,いわばシナリオの続きというような位置付けで,つまり次の拡張パックであるAgainst the Giantsを導入することで,レベル10からレベル20までの成長を楽しめるという仕組みを採用。こういうエピソード方式にすることによって,拡張パックがリリースされる頃にはすでにプレイヤーのキャラクターが上限レベルに達してしまっている……という状況を防ぐのである。
ともかく,そろそろNeverwinter Nightsを遊び尽くしたであろうコアなRPGファンにとって,本作は願ってもない新作。予定通り10月に発売されることを期待したいところだ。(奥谷海人)