[Vivendi#4]「War of The Ring」の詳細が見えてきた。体験版も現地時間の9月22日にリリース - 2003/09/17 16:28

 小説「指輪物語」を題材にしたファンタジックRTS「Lord of The Ring:War of the Rings」は,Starcraftブームなどで知られる韓国のプレスが多かったせいもあってか,今回のプレスカンファレンスで最も注目されていたタイトルだろう。題材が指輪物語ということで,"いわゆる版権モノ"としての印象が強いが,モニタに映し出されるゲームの画面を眺める限りでは,その注目されるゆえんは,むしろしっかりと作り込まれたゲーム性や高品質なグラフィックスにあるといってもよさそうに思える。
 そもそも本作の開発を手掛けるのは,知る人ぞ知る名作「Battle Realms」でお馴染みのLiquid Entertainment社。同社は「Command & Conquer」を開発した主力メンバーで構成されるゲームデベロッパで,その開発レベルの高さは折り紙付きである。

 Liquid Entertainment社の社長兼クリエイティブディレクターのエド・デル=キャスティロ(Ed Del Castillo)氏によれば,War of the Ringsの開発コンセプトは,大きな二つの軸によって構成されているという。つまり,「コアなRTSファンが遊んで楽しい特徴」と「コアな指輪物語ファンが遊んで楽しい特徴」,この二つを盛り込むことを,本作における開発の命題として掲げているというのだ
 またWar of the Ringsは,基本的にマルチプレイ部分の開発からスタートし,マルチプレイにフォーカスした開発が6〜8か月に及んだと,キャスティロ氏は語る。なぜマルチ部分を中心した開発スケジュールを組んだかについては,氏曰く「マルチプレイをまずしっかりと作り込むことによって,ゲームとしての深みや熟成度が増すと考えている。その深みをシングルモードにも反映させることで,シングルプレイゲームもまた深いゲーム性を持つものになると思う」との話であったが,これには非常に納得させられる。
 つまり,まずはハードコアなRTSファンを満足させるべくゲームのシステムやルールを練り上げ,その次に指輪物語のファンに訴える要素として,原作の世界観をふんだんに取り入れたシングルプレイモードを構築していくというわけだ。マルチプレイは"ユーザーの要求"が厳しいというのが定説だが,あえてそこをベースにした開発を行うというところに,高品質を追い求める開発者達の志の高さがうかがえる

 指輪物語ファンを満足させる内容だというシングルキャンペーンでは,全21のミッションが用意されており,"善"か"悪"のいずれかの勢力で,12〜14のHeroユニットを駆使しながら戦っていくことになる。
 キャスティロ氏が語るシングルキャンペーンの話の中でとくに興味を引いたのは,「Place of Power」という占領ポイントの概念と,それに関連する戦術的なルールについてだろう。具体的に説明すると,Place of Powerとは,ある地域の領有権を左右する地点のことで,そこを占領すると戦略マップ上の一定の地域を確保できるのである。面白いのは,領地を奪われてしまうとルール的に負け(補給線が断たれる判定?)になってしまうという点だろう。従来のRTSでは「軍隊」と「建物」の二つの攻撃目標しかなかったところに,「目標地点」という三つめの攻撃目標を加えることによって,より戦術的な面白味が生まれるのだという
 Heroユニット周りのシステムは,一見すると「Warcraft III」のそれに酷似している印象なのだが,その辺をキャスティロ氏に伺ってみると,「思うにWarcraft IIIのHeroは,"あまりに重要すぎる"のではないかと感じている。よってWar of the Ringsでは,通常のユニットと半々くらいの重要度にしようと考えている」との答えが返ってきた。またWar of the RingsにおけるHeroユニットは,指揮官的な側面が強く,率いている部隊がいる状態では強力な力を発揮するものの,一人ではそれほどの活躍が見込めないとも話していた。

 本作は2003年の11月の発売を予定(英語版)しているが,現段階の完成度は約85%とのこと。とはいえ,"The Siege of the Iron Hills"と"Pursuit of Gollum"という二つのキャンペーンミッションが楽しめる体験版が,9月22日にリリースされるようなので,興味がある人は,体験版が公開され次第ダウンロードしてみるとよいだろう。(TAITAI)


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